クレアチンが効かない人(ノンレスポンダー)はいる?個人差の要因
クレアチンへの反応には個人差があり、増え方が小さい人がいると報告されています。2004年の小規模研究の数値と、食事・筋線維・開始時の貯蔵量などの要因、見直しの手順を整理します。
監修ではなく、公開されている研究・公的情報をもとにした編集部の解説です。持病・服薬のある方、妊娠中の方は医師に相談してください。
筋肉内のクレアチンの増え方には個人差があると報告されています。ただし割合は確定しておらず、まず量・期間・記録を見直すのが先です。
クレアチンが効かない人(ノンレスポンダー)は本当にいるのか
研究では、クレアチンの摂取に対する筋肉内のクレアチン量の増え方に個人差があり、増え方が小さい「ノンレスポンダー」と呼ばれる人たちがいると報告されています。ただし、その割合や定義は研究によってばらつきがあり、「何割の人が効かない」と言い切れる状況ではありません。
代表的な研究は、2004年にSyrotukとBellが発表した小規模な試験です。健康な男性11人に、体重1kgあたり0.3gを5日間摂取してもらい、筋肉内のクレアチン量(クレアチン+クレアチンリン酸)の増え方を比べました。結果は、29.5 mmol/kg(乾燥筋重量)増えた群(3人)、14.9増えた群(5人)、5.1しか増えなかった群(3人)の3段階に分かれました。
人数が11人と少ないため、この研究から人口全体の割合は決められません。ネット上では「2〜3割がノンレスポンダー」と紹介されることがありますが、そうした数字は小規模研究に基づく目安として受け止めるのが妥当です。
個人差を生む要因には何があるか
個人差の背景として、研究で示されているのは「もともとの筋肉内クレアチン量」「筋線維の種類」「除脂肪量」「食事」などです。
先ほどのSyrotukとBellの研究では、よく増えた人(レスポンダー)は、開始時の筋肉内クレアチン量が低く、速筋(タイプII線維)の割合が高く、筋肉の断面積や除脂肪量が大きい傾向がありました。反対に増えにくかった人は、開始時の量がすでに高く、速筋の割合が少なく、除脂肪量が小さい傾向でした。つまり、もともと貯蔵量が多い人は「伸びしろ」が小さいという見方ができます。
ISSNの見解(2017年)も、普通の食事(1日1〜2gのクレアチンを含む)では筋肉のクレアチン貯蔵が60〜80%ほど満たされた状態で、貯蔵の上限は乾燥筋1kgあたり約160 mmolとされています。もともと満たされている割合が高い人ほど、上乗せできる余地は小さくなります。肉や魚をよく食べる人の考え方は肉や魚をたくさん食べていればクレアチンサプリは不要?で整理しています。
研究結果を読むときの注意
ノンレスポンダーの話は、あくまで「筋肉内のクレアチン量がどれだけ増えたか」を指標にした研究が中心です。筋肉内の量が増えにくくても、競技成績や筋力の記録に変化が出るかどうかは別の問題で、研究の結果も一様ではありません。逆に、筋肉内の量が大きく増えた人でも、日常の運動で差を感じるとは限りません。
また、数日間の高用量摂取(体重1kgあたり0.3gを5日間)を条件にした研究と、1日3〜5gを数週間続ける通常の飲み方では、反応の見え方が異なる可能性があります。研究の条件と自分の使い方が同じかを意識して読み比べてください。
ベジタリアンや食事の影響はどうか
植物性食品中心の人は、筋肉内クレアチンの基準値が低めで、サプリで増えやすいことが報告されています。2003年のBurkeらの研究では、開始時の総クレアチン量は、ベジタリアンが117 mmol/kg、非ベジタリアンが130 mmol/kgでした(乾燥筋重量あたり)。8週間のクレアチン摂取とレジスタンストレーニングを行ったところ、ベジタリアンのほうが総クレアチンの増加が大きいという結果でした。
つまり、食事で肉や魚をよく食べる人は「あまり変化を感じにくい」可能性があり、逆に食事中のクレアチンが少ない人は「変化が出やすい」可能性があります。ただし、これは筋肉内の貯蔵量の話で、体感や競技成績の変化は別問題です。クレアチンの効果として報告されているものを整理するも合わせて読んでください。
「効かない」と感じる前に見直したいこと
体感がない場合、体質の差だけでなく、使い方の条件がそろっていない可能性もあります。次のチェックリストで確認してください。
| 確認項目 | 目安・考え方 |
|---|---|
| 1日量 | 研究では1日3〜5g(または体重1kgあたり約0.1g)が使われています。クレアチンの1日の摂取量をグラム数から図解でやさしく理解する |
| 期間 | 1日3〜5gの場合、筋肉内の貯蔵が満たされるまで3〜4週間かかるとされています。数日では判断できません。クレアチンの効果を感じ始めるまでの期間はどれくらいか |
| 継続性 | 飲み忘れが多いと貯蔵が安定しません。クレアチンは毎日飲まないと意味がない?飲み忘れたときの対応 |
| トレーニング | 高強度で短時間の運動(重い負荷の反復など)が中心か。有酸素中心だと変化は感じにくいことがあります。 |
| 評価方法 | 体感ではなく、同じ種目・同じ条件の記録(回数や挙上重量)で比べているか。 |
| 製品の質 | 表示どおりの量が入っているか、溶け残りが極端でないか。クレアチンの選び方:パッケージや表示で確認したいポイント |
特に多いのは、トレーニング内容が変わった時期と重なって、比較ができなくなるケースです。種目や回数、休養日数が前後で違えば、クレアチンの影響かどうかは分かりません。最低でも4週間は、同じ種目・同じ頻度で記録を取ってから振り返るのが目安です。
筋肉内のクレアチン量は、普通の生活では測れません。体感がない=ノンレスポンダーとは限らない点に注意してください。たとえば、もともと疲れや記録の変化を数値で見ていなければ、変化に気づけないこともあります。
続けても変化が分からないときの判断と相談先
正しい量で数週間続け、トレーニングの記録も取ったうえで変化が見られないなら、「自分は反応が小さいタイプかもしれない」と考えてよい状況です。その場合は、無理に量を増やさないでください。ISSNの見解では高用量の研究もありますが、それは管理された条件下での話です。量を増やしても得られる量には上限があります。
やめる、続ける、いずれの判断も自由です。コストがかかる以上、数か月ごとに記録を見直して続けるかを決めるのが現実的です。腎臓の持病、服薬中、妊娠・授乳中、未成年の方は、始める前に医師に相談してください。クレアチン摂取中に健康診断を受けると「クレアチニン値」はどう見える?のように、検査値の見え方もあらかじめ知っておくと安心です。
製品選びで迷う場合は、筋トレ最安ナビで価格を比べつつ、クレアチンの純度・不純物と品質の見方の内容も確認してみてください。
よくある質問
クレアチンが効かない人は何割くらいいますか?
はっきりした割合は決まっていません。2004年の小規模研究(11人)では3段階の反応が見られましたが、人口全体の割合を示せる規模ではありません。ネット上の「2〜3割」といった数字は目安として受け止めてください。
ノンレスポンダーかどうかを自分で判断できますか?
筋肉内のクレアチン量を直接測るには生検が必要で、一般の方には現実的ではありません。正しい量を数週間続け、同じ条件のトレーニング記録で比べて判断するのが現実的な方法です。
肉をよく食べる人は効きにくいですか?
もともとの筋肉内クレアチン量が高い人は、上乗せできる余地が小さい可能性があります。研究では、植物性食品中心の人のほうが増え方が大きいと報告されています。
ベジタリアンの人は効きやすいですか?
2003年の研究では、ベジタリアンのほうが筋肉内の総クレアチンの増え方が大きいという結果でした。ただし、体感や成績の変化は別問題なので、記録で確認してください。
効かない場合、量を増やしてもいいですか?
おすすめしません。筋肉内に貯められる量には上限があります。量を増やす前に、期間・継続性・評価方法を見直してください。持病や服薬のある方は医師に相談してください。
出典・参考
- Syrotuik DG, Bell GJ. Acute creatine monohydrate supplementation: a descriptive physiological profile of responders vs. nonresponders. J Strength Cond Res. 2004;18(3):610-617.
- Burke DG, et al. Effect of creatine and weight training on muscle creatine and performance in vegetarians. Med Sci Sports Exerc. 2003;35(11):1946-1955.
- Kreider RB, et al. International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:18.
- Antonio J, et al. Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show? J Int Soc Sports Nutr. 2021;18:13.
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