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上腕三頭筋は頭上で伸ばして鍛えると1.4倍太くなる。12週間の左右比較研究

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 4分
ディップスで腕を鍛える男性
SUMMARY|この記事の要約

片腕は頭上、もう片腕は体側で同じ肘伸展トレーニングを12週間行った研究で、頭上で行った腕の上腕三頭筋が約1.4倍大きく肥大した。扱える重量は軽かったにもかかわらずである。

同じ肘を伸ばす運動でも、腕を頭上に上げた姿勢で行うと上腕三頭筋の肥大が大きくなる――。2023年に欧州の学術誌に掲載された研究は、筋肉を長く伸ばした状態で鍛えることの価値を、MRIによる筋体積の測定で示した。「ストレッチ種目」を重視する近年の流れを後押しするデータとして注目されている。

ジムでダンベルを手に腕を鍛える男性
写真はイメージです(Unsplash)

なぜ腕の位置で差が出るのか

上腕三頭筋は長頭・外側頭・内側頭の3つからなる。このうち長頭だけは肩関節と肘関節の両方をまたぐ「二関節筋」で、腕を頭上に上げると肩の側でも引き伸ばされる。つまりオーバーヘッドの姿勢では、長頭がより長く伸びた状態で力を発揮することになる。研究チームはこの点に着目し、腕の位置の違いが筋肥大に影響するかを検証した。

研究デザイン:片腕ずつ条件を変える

Maeo氏らの研究チームは、成人21人を対象に、ケーブルマシンを使った肘伸展(肘の角度90度から0度まで)を12週間行わせた。1人の参加者の片腕を頭上位(オーバーヘッド)、もう片腕を体側の中立位に割り当てる「左右比較」の設計で、個人差の影響を抑えている。

プログラムは1RM(1回挙上できる最大重量)の70%で1セット10回、1回5セット、週2回。前回の練習を限界に達することなく完遂できた場合は、負荷を1RMの5%ずつ引き上げた。トレーニング前後にMRIで上腕三頭筋の各部位の筋体積を測定し、最大挙上重量も評価した。

結果:扱う重量は軽くても肥大は大きい

トレーニング負荷と1RMの伸び率は、両腕とも62〜71%と同程度だった。一方、絶対的な重量は頭上位の腕のほうが常に34〜39%軽かった。それにもかかわらず、筋体積の増加は頭上位の腕で明らかに大きかった。

部位 頭上位(オーバーヘッド) 中立位(体側)
長頭 +28.5% +19.6% 約1.5倍
外側頭+内側頭 +14.6% +10.5% 約1.4倍
上腕三頭筋全体 +19.9% +13.9% 約1.4倍

興味深いのは、肩関節をまたがない外側頭と内側頭でも頭上位のほうが大きく肥大した点である。長頭だけの話にとどまらない結果となった。

研究の限界

対象者は21人と少なく、12週間という比較的短い期間の結果である。種目はケーブルによる肘伸展に限られており、ダンベルやバーベルを使った種目、ほかの筋肉にそのまま当てはまるとは限らない。また片腕ずつ条件を変える設計は個人差を抑えられる一方、左右の腕が互いに影響し合う可能性を完全には排除できない。

KINNIKU TIMESの視点

腕を太くしたいなら、プレスダウンだけでなく、オーバーヘッドエクステンションを種目に加える価値は大きい。ケーブルでもダンベルでもよいので、肘を深く曲げて三頭筋がしっかり伸びる位置まで下ろすことがポイントである。

重量が軽く感じても気にする必要はない。この研究では扱う重量が3割以上軽くても、肥大はむしろ大きかった。数字にこだわって可動域を狭めるより、伸ばされた位置でコントロールして動かすほうが得策である。肘に不安がある人は、軽めの重量から慣らしていきたい。


出典:Maeo S, Wu Y, Huang M, Sakurai H, Kusagawa Y, Sugiyama T, Kanehisa H, Isaka T. Triceps brachii hypertrophy is substantially greater after elbow extension training performed in the overhead versus neutral arm position. European Journal of Sport Science(2023)