増量期の16時間断食は有効?12週の試験で筋肉は同等に増え、体脂肪の増加は半分以下
増量期に食事を8時間の枠に収める「16時間断食(16:8)」を12週間続けても、除脂肪量の増加は+1.34kgで通常の食べ方(+1.38kg)と同等、体脂肪の増加は+2.00kgと通常群(+4.36kg)の半分以下だった。ただし断食群は目標より摂取カロリーが約15%少なく、脂肪が増えにくかったのは食べる量が減ったためと考えられる。
筋トレ経験者が増量期に「16時間断食」を取り入れても、筋肉と筋力の伸びは通常の食べ方と変わらず、体脂肪の増え方は半分以下にとどまった。ドイツ体育大学ケルン(German Sport University Cologne)などの研究チーム(筆頭著者:サイモン・ガバンダ〈Simon Gavanda〉氏)が、23人を対象にした12週間のランダム化比較試験の結果を米栄養学誌『The Journal of Nutrition』(2026年7月13日オンライン公開、9月号掲載)に発表した。
どんな試験だった?対象者と方法
対象は6カ月以上続けて週3回以上の筋トレをしている健康な男女23人(男性17人・女性6人、平均年齢は約30歳)。全員が週3回・12週間の全身トレーニング(デッドリフト、ベンチプレス、ラットプルダウンなど)を行い、1日の必要エネルギーより300〜500kcal多く食べる「増量」を指示された。
- 時間制限食(TRE)群:食事は12時〜20時の8時間のみ(16:8)
- 対照(CON)群:食事時間の制限なし
- たんぱく質の目標:体重1kgあたり1.4〜1.8g
- 測定:体組成(生体電気インピーダンス法)と1RM(最大挙上重量)を4週ごと
16時間断食で筋肉は減る?結果の数字
12週間の変化は次の通り。除脂肪量・筋肉量・1RMの伸びは両群でほぼ同じだった一方、体重と体脂肪量の増加は時間制限食群のほうが有意に小さかった。
| 項目(12週間の変化) | 時間制限食群 | 対照群 |
|---|---|---|
| 除脂肪量 | +1.34kg | +1.38kg |
| 筋肉量 | +1.07kg | +1.13kg |
| 体重 | +2.19kg | +3.90kg |
| 体脂肪量 | +2.00kg | +4.36kg |
| デッドリフト1RM | +26.36kg | +26.04kg |
| ベンチプレス1RM | +12.95kg | +11.04kg |
ホルモン値や、毎日記録した体調の質問票の結果にも両群で目立った差はなかった。
なぜ体脂肪が増えにくかったのか
理由は単純で、時間制限食群は「食べきれなかった」からだ。同群の実際の摂取量は、目標の体重1kgあたり37.50kcalに対して31.86kcalと約15%少なかった。たんぱく質も目標1.60g/kgに対し1.44g/kg、炭水化物は5.27g/kgに対し3.97g/kgにとどまった。
研究チームは、体脂肪の増加が小さかったのは8時間の枠内でカロリー超過を守りきれなかった結果だと説明している。つまり「断食そのものが脂肪を燃やした」わけではない。それでも筋肉と筋力の伸びを支えるだけの栄養は摂れていた、というのが結論だ。たんぱく質の目安については「体重1kgあたり1.6g」を示したメタ分析の記事も参考になる。
この研究の限界は?
- 参加者は23人と少なく、女性は6人だけだった
- 体組成は簡易な生体電気インピーダンス法で測っており、DXAなどより誤差が大きい
- 期間は12週間で、それ以上の長期の影響は分からない
- 両群の摂取カロリーがそろっていないため、「食事時間の効果」と「カロリー差の効果」を切り分けられない
減量期の16:8については、筋トレ経験者8週間の実験を紹介した記事で解説している。
よくある質問
増量中に16時間断食をすると筋肉は落ちますか?
この12週間の試験では落ちなかった。除脂肪量は+1.34kgで、食事時間を制限しない群(+1.38kg)と同等だった。
16時間断食をすると脂肪がつかずに増量できますか?
体脂肪の増加は小さかったが、主な理由は摂取カロリーが目標より約15%少なかったことだ。食事時間の制限自体に脂肪を減らす特別な作用があると示されたわけではない。
食事の時間帯は何時から何時でしたか?
12時〜20時の8時間で、それ以外の16時間は食事をとらない方式だった。
KINNIKU TIMESの視点
「増量=1日中だらだら食べる」と考えがちだが、今回の結果は、食べる時間を区切っても筋肉と筋力は十分に伸びうることを示した。体脂肪を増やしすぎたくない人にとって、食事時間の枠は「食べすぎのブレーキ」として使える可能性がある。
一方で、時間制限食群はたんぱく質も目標を下回っていた。取り入れるなら、8時間の中でたんぱく質を先に確保する意識が欠かせない。食事だけで足りない場合はプロテインで補う方法もある(価格比較は筋トレ最安ナビ・プロテイン)。体重が増えないときは枠を広げるなど、体重の推移を見ながら調整したい。
出典:Gavanda S, et al. The Journal of Nutrition 156(9):101722(2026年7月13日オンライン公開)/German Sport University Cologne 研究業績データベース