「16時間断食」で筋肉は減るのか。筋トレ経験者8週間の実験では筋力を維持
筋トレ歴5年以上の男性34人を8時間以内に食事を済ませる「16:8」の時間制限食と通常の食事に分けた研究では、時間制限食の群で体脂肪が減り、除脂肪量と最大筋力は両群とも維持された。一方でテストステロンの低下もみられており、結果の読み方を整理する。
食事を1日8時間の枠に収める「16:8」の時間制限食を筋トレ経験者が8週間続けたところ、体脂肪は通常の食事の群より減り、除脂肪量と最大筋力は維持されていた。タチアナ・モロ氏、グラント・ティンズリー氏らの研究チームが2016年、医学誌『Journal of Translational Medicine』に発表した研究である。「断食をすると筋肉が落ちる」と心配する筋トレ愛好家は多いが、実際に筋トレを続けている人を対象に検証した研究としてよく引用されている。
研究デザイン:筋トレ歴5年以上の34人を2群に
対象は、筋トレを継続して5年以上の男性34人(平均年齢約29歳)である。参加者は時間制限食の群と通常の食事の群に17人ずつ無作為に分けられ、週3回(連続しない日)の筋トレを8週間続けた。トレーニングは午後4時〜6時に行った。
| 項目 | 時間制限食の群 | 通常の食事の群 |
|---|---|---|
| 食事の時刻 | 午後1時、4時、8時 | 午前8時、午後1時、8時 |
| 摂取エネルギー(平均) | 2,826kcal/日 | 3,007kcal/日 |
| たんぱく質の割合 | 約22% | 約21% |
両群は総エネルギーと三大栄養素の比率をそろえる設計で、違いは主に「食べる時間帯」である。
結果:体脂肪は減少、筋力は維持、ホルモンには変化
8週間後、時間制限食の群では通常の食事の群に比べて体脂肪量が有意に減少した。除脂肪量、腕と太ももの筋断面積、ベンチプレスとレッグプレスの最大筋力は、両群とも維持された。安静時のエネルギー消費量に変化はなかったが、時間制限食の群では安静時に脂質をより多く使う方向への変化(呼吸商の低下)がみられた。
一方で、時間制限食の群ではテストステロンとIGF-1(インスリン様成長因子)が有意に低下した。血糖値やインスリン、炎症に関連する指標(TNF-α、IL-1β)も低かった。
研究の限界:食事量の記録とトレーニング後の食事の違い
食事内容は参加者への聞き取りによる自己申告に頼っており、正確さには限界がある。表のとおり時間制限食の群の摂取エネルギーは平均でやや少なく、体脂肪の差にその影響が含まれる可能性もある。また、両群では食事とトレーニングの時間関係が異なっており、著者らもこの点を限界として挙げている。参加者数が34人と多くなく、期間も8週間と短い。テストステロンの低下が長期的に筋肉へどう影響するかも、この研究からはわからない。
KINNIKU TIMESの視点
この研究では、筋トレを続け、たんぱく質を含む摂取エネルギーをある程度確保していれば、8週間の時間制限食でも筋力や除脂肪量が大きく損なわれなかった。減量中に「朝食を抜く方が生活に合う」という人にとって、選択肢の一つになりうる結果である。
ただし、除脂肪量は「増えた」のではなく「維持された」結果であり、筋肉を増やすことを最優先する時期に適した方法とは言えない。時間制限食を試す場合も、食事の枠の中で十分なたんぱく質を摂り、トレーニングの前後に食事を配置する工夫が大切だろう。糖尿病などで服薬中の人や持病のある人は、食事時間を大きく変える前に医師に相談してほしい。