ベジタリアンでも筋トレで筋肉は増える?高齢者108人の12週試験、増加量は雑食の約6割
乳製品と卵を食べるベジタリアン食でも、12週間の筋トレで高齢者の手足の筋肉量は0.38kg増えた。ただし雑食の0.66kgと比べると約6割で、たんぱく質の摂取量も少なかったとオランダの研究チームが報告した。
乳製品と卵を食べるベジタリアン食でも、12週間の筋トレで高齢者の手足の筋肉量は有意に増えた。ただし増加量は肉や魚を含む食事の約6割にとどまった。オランダのアムステルダム応用科学大学などの研究チームが、66歳前後の108人を対象にしたランダム化比較試験「IMPACT試験」の結果を、2026年9月22日に米栄養学誌『The American Journal of Clinical Nutrition』で発表した。
どんな試験だった?対象者と方法
対象は健康な高齢者108人で、年齢の中央値は66歳、女性が58%、BMIは25.7だった。参加者を「ラクトオボ・ベジタリアン食(肉や魚を食べず、乳製品と卵は食べる食事)」と「雑食(肉や魚を含む食事)」の2群にランダムに分け、どちらの群も食事指導を受けながら、週3回の筋トレを12週間行った。
- たんぱく質の目標:両群とも体重1kgあたり1日1.2g以上
- ベジタリアン群:たんぱく質の60%以上を植物性食品から
- 雑食群:たんぱく質の60%以上を動物性食品から
- 主な評価項目:たんぱく質摂取量と、DXA(二重エネルギーX線吸収法)で測った手足の筋肉量
試験は「ベジタリアン食が雑食に劣らないか(非劣性)」を確かめる設計で、臨床試験登録番号はNCT06172725である。
ベジタリアン食で筋肉はどれだけ増えた?
| 項目 | ベジタリアン群 | 雑食群 |
|---|---|---|
| 手足の筋肉量の変化 | +0.38kg | +0.66kg |
| たんぱく質の目標(1.2g/kg/日) | 達成 | 達成 |
| レッグプレスの筋力・椅子立ち上がり | 両群とも同程度に改善 | |
両群とも筋肉量は統計的に有意に増えた。一方、群間の差は筋肉量が−0.33kg(95%信頼区間−0.69〜0.03)、たんぱく質摂取量が体重1kgあたり1日−0.33g(同−0.49〜−0.17)で、いずれも「ベジタリアン食は雑食に劣らない」とは結論づけられなかった。ベジタリアン群は目標の1.2gを超えていたものの、雑食群よりたんぱく質の摂取量が少なかったことになる。
ビーガン食の試験とは何が違う?
同誌では、乳製品や卵も除くビーガン食に切り替えた高齢者の筋肉量が減ったとする別の試験も報告されている(関連記事)。今回のIMPACT試験は、乳製品と卵を認めたうえで参加者全員が筋トレを行った点が異なり、その条件では筋肉量・筋力・身体機能はそろって向上した。
研究の限界は?
食事は参加者が自分で選ぶ方式だった。期間は12週間と短く、対象は健康な高齢者に限られるため、若い世代やより長期の結果にそのまま当てはまるとは限らない。また筋肉量の差は信頼区間がゼロをまたいでおり、「雑食の方が確実に筋肉が増える」と言い切れる結果でもない。
よくある質問
ベジタリアンでも筋トレで筋肉はつく?
つく。今回の試験では、ベジタリアン群も12週間で手足の筋肉量が0.38kg増え、筋力と身体機能も雑食群と同程度に改善した。
高齢者はたんぱく質を1日何g摂ればよい?
この試験の目標は体重1kgあたり1日1.2g以上で、両群とも達成していた。植物性中心の場合は、同じ目標でも実際の摂取量が少なくなりやすい点に注意が必要である。
KINNIKU TIMESの視点
植物性中心の食事を選ぶこと自体が筋トレの妨げになるわけではない。ただ、今回の結果は「同じ目標を掲げても、植物性中心では実際のたんぱく質量が不足しがち」という現実も示した。ベジタリアンの人は、卵・乳製品・大豆製品を毎食に組み込み、目標量を意識的に上回ることが筋肉を増やす近道になる。食品だけで足りない場合は、ソイやホエイのプロテインも選択肢になる(プロテインの最安比較)。植物性と動物性のたんぱく質の比較はこちらのメタ分析の記事も参考になる。
出典:van Oppenraaij SL, Weijs PJM, Verlaan S. The American Journal of Clinical Nutrition(2026年9月22日)/ClinicalTrials.gov NCT06172725