タンパク質1.5g/kgで筋力・IGF-1上昇、座りがち成人34人の4週間試験
座りがちな成人男性が体重1kgあたり1日1.5gのタンパク質を摂取しながら4週間のレジスタンス運動を行うと、除脂肪量・筋力・成長因子IGF-1が有意に増加することが、韓国の研究チームによる無作為化比較試験で示された。
対照群(0.8g/kg)でも体脂肪率や肝臓の脂肪蓄積は改善したが、筋力・筋肉量の増加は高タンパク質群でのみ確認された。
座りがちな成人男性が体重1kgあたり1日1.5gのタンパク質を摂取しながら4週間のレジスタンス運動を行うと、除脂肪量・筋力・成長因子IGF-1(インスリン様成長因子1)が有意に増加することが、韓国の研究チームによる無作為化比較試験で分かった。研究結果は2025年2月14日、学術誌「Scientific Reports」(電子版)に掲載された。
どのような研究か
研究チームは、普段運動習慣のない韓国・釜山在住の成人男性を対象に、二重盲検の無作為化比較試験を実施した。参加者を、タンパク質摂取量を体重1kgあたり1日0.8g(一般的な推奨量に相当)に抑えた対照群(PLA-EX、17人)と、1.5g/kg/日に増やした群(PRO-EX、17人)に分け、いずれも週6日・1日60分のレジスタンス運動を4週間続けた。体組成・筋力・血中ホルモンなどを運動開始前後で比較した。
何が分かったのか 数値で見る変化
| 指標 | 0.8g/kg群(対照) | 1.5g/kg群(高タンパク質) |
|---|---|---|
| 体重 | 有意に減少(p<0.001) | 有意に減少(p<0.01) |
| 体脂肪率 | 有意に減少(p<0.01) | 有意に減少(p<0.0001) |
| 筋肉量 | 有意な変化なし | 有意に増加(p<0.05) |
| 筋力 | 有意な変化なし | 有意に増加(p<0.001) |
| IGF-1 | 有意な変化なし | 有意に増加(p<0.05) |
体重や体脂肪率の減少は両群で見られたが、筋肉量・筋力・IGF-1の増加は1.5g/kg群でのみ確認された。研究チームは「適切なタンパク質摂取とレジスタンス運動の組み合わせが、脂肪代謝の改善と筋肉量・筋力の増加を相乗的にもたらした」と結論づけている。
肝臓の数値やホルモンにも変化
肝臓に脂肪がたまっている程度を示す指標(controlled attenuation parameter)は両群で改善したが、1.5g/kg群でより大きく改善し(p<0.0001)、肝機能に関わるAST・ALTの数値も1.5g/kg群でのみ有意に低下した(それぞれp<0.0001、p<0.001)。安静時代謝量も1.5g/kg群で有意に増加した(p<0.05)。一方でテストステロン値は1.5g/kg群で有意に低下しており(p<0.01)、研究チームはこの点について明確な理由を示していない。
この結果をどう受け止めればよいか
今回の試験は34人(各群17人)と規模が小さく、対象は韓国人の成人男性に限られる。女性や高齢者、すでに筋トレ習慣がある人にそのまま当てはまるとは限らない点に注意が必要だ。それでも、運動習慣のない人が新たに筋トレを始める際、タンパク質摂取量を平均的な推奨量(体重1kgあたり0.8g前後)から1.5g/kg程度まで増やすことが、筋力・筋肉量の獲得を後押しする可能性を示すデータといえる。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」ではタンパク質の耐容上限量は明確に定められていないが、極端な高タンパク質食を自己判断で続けることは避け、持病がある人や腎機能に不安がある人は医師に相談した上で摂取量を検討すべきである。
よくある質問
タンパク質は体重1kgあたり何gとればよいか
今回の研究では1.5g/kg/日で筋力・筋肉量の有意な増加が確認された。ただし対象は座りがちな成人男性34人の4週間試験であり、万人に当てはまる最適量と断定はできない。
テストステロンが下がったのは心配すべきか
今回の試験では1.5g/kg群でテストステロン値の有意な低下が確認されたが、研究チームは原因を明らかにしておらず、他の研究でも一貫した結果ではない。単独の試験結果であり、過度に心配する必要はないが、今後の追試が待たれる。
KINNIKU TIMESの視点
「タンパク質はとればとるほど良い」という単純な話ではなく、運動習慣のない人が新たに筋トレを始める場面で、タンパク質摂取量を意識的に引き上げることの意味を示した研究といえる。すでに高タンパク質食を実践している人には目新しい数字ではないかもしれないが、これから筋トレを始める人にとっては、体重1kgあたり1.5g前後を一つの目安にする根拠になりそうだ。プロテインの価格は日々変動するため、購入を検討する際は筋トレ最安ナビで価格を確認するとよい(筋トレ最安ナビ調べ、価格は変動します)。プロテインの摂取量については、こちらの記事<ホエイプロテインの最適量は1日30〜35g、1552人・36試験の分析で判明>も参考になる。
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