筋肉痛(DOMS)はなぜ起こる?発生のメカニズムと対処法を解説
筋トレ後1〜2日してからやってくる「DOMS(遅発性筋肉痛)」は、筋線維の微細な損傷とその後の炎症反応が主なメカニズムとされている。痛みの強さと筋肥大効果を安易に結びつける根拠は限られている。
筋トレやランニングの1〜2日後にやってくる筋肉痛は「DOMS(遅発性筋肉痛)」と呼ばれ、筋線維の微細な損傷とその後の炎症反応が主なメカニズムだと考えられている。発生の仕組みと対処法、注意すべきサインを解説する。
DOMSとは何か、いつ・なぜ起こる
DOMS(Delayed Onset Muscle Soreness、遅発性筋肉痛)は、使い慣れない負荷や普段より強い刺激を筋肉に与えた後、運動直後ではなく1〜2日たってから痛みやこわばりが強まる筋肉痛を指す。South African Family Practice誌に掲載されたZondiらのレビュー(2015年)によると、DOMSは主に筋肉を伸ばしながら力を発揮する「エキセントリック(伸張性)収縮」を含む運動の後に起こりやすいとされている。
発生のメカニズム―筋線維の微細損傷から炎症まで
同レビューによると、DOMSの発生には複数の段階があるとされる。まず強い緊張が筋線維に「微細な機械的損傷」をもたらし、筋細胞の細胞膜が壊れることでカルシウムの恒常性が乱れ、運動から48時間後にピークを迎える細胞の壊死が生じるという。損傷した組織からヒスタミンやカリウムなどの物質が漏れ出し、周囲の神経終末を刺激することで痛みが生じるほか、白血球の浸潤や肥満細胞の脱顆粒化といった炎症反応も確認されている、とレビューはまとめている。
「筋肉痛イコール効いている証拠」なのか
筋肉痛の強さと筋肥大の効果を直接結びつける考え方は根拠が限られている。使い慣れない運動をした直後や、久しぶりに運動を再開したときに強く出やすい一方、同じ種目を続けていると身体が慣れて筋肉痛が起きにくくなることもある(いわゆる「慣れの効果」)。そのため、「筋肉痛が出ないと効いていない」と思い込む必要はない。
対処法と注意すべきサイン
軽いDOMSへの対処としては、十分な休養と睡眠、軽い運動(アクティブリカバリー)などが一般に勧められている。一方で、通常のDOMSは数日で軽快していくのが基本であり、強い腫れ・むくみ、尿の色が濃くなる、痛みが1週間以上続く、動かせないほどの激痛といった症状がある場合は、横紋筋溶解症など別の状態の可能性もあるため、自己判断で放置せず医療機関に相談することが望ましい。本記事は医学的な診断や治療の代わりになるものではない。
よくある質問
筋肉痛が出ている部位は、翌日も同じ強度でトレーニングしていいか
痛みが強い間は、同じ部位への負荷を強めるより、部位を変えるか強度を落とすことが一般に勧められている。無理に追い込むことは避けたい。
ストレッチをすればDOMSは防げるか
ストレッチだけでDOMSを確実に防げるという強い根拠は限られている。運動の内容や強度そのものを急に上げすぎないことが基本の予防策になる。
筋肉痛がまったく出ないのは筋トレの効果がないということか
そうとは言えない。トレーニングを継続していると身体が慣れて筋肉痛が出にくくなることがあり、筋肉痛の有無だけでは効果を判断できない。
KINNIKU TIMESの視点
DOMSは筋トレを続けている人なら誰でも経験する身近な現象だが、そのメカニズムはまだ研究が進んでいる分野でもある。筋肉の損傷の程度と筋肥大の関係については、別記事で取り上げた研究でも、筋肥大と相関したのは損傷そのものではなく3週目以降の合成量だったと報告されている。筋トレ直後の冷水浴による回復への影響についても別の記事で解説している。強い腫れや尿の色の変化など通常と違うサインがあれば、筋肉痛と自己判断せず早めに医療機関を受診してほしい。
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