高タンパク質3.2g/kgで肝臓・腎臓の数値上昇、筋力は1.6g/kgと差なし
体重1kgあたり3.2gの高タンパク質摂取は、1.6gと比べて筋力・除脂肪体重の伸びに差がなく、肝臓・腎臓の血液検査値のみ上昇することが16週間の研究で分かった。
対象は筋力トレーニング経験のある18〜36歳の男性48人である。
体重1kgあたり1日3.2gという高用量のタンパク質を16週間摂取しても、1.6gの摂取量と比べて除脂肪体重や筋力の伸びに有意差はなく、一方で肝臓・腎臓の状態を示す血液検査値は高用量群で有意に上昇したとする研究結果が、国際スポーツ栄養学会誌(Journal of the International Society of Sports Nutrition)に2023年12月掲載された。対象は筋力トレーニング経験のある18〜36歳の男性48人(最終解析44人)である。
どんな研究か
研究チームは、週3回以上・1年以上のレジスタンストレーニング歴がある男性48人を、タンパク質摂取量(体重1kgあたり1.6gまたは3.2g)とトレーニング内容(レジスタンストレーニングのみ、またはレジスタンスと持久力トレーニングを併用)の組み合わせで4群に分け、16週間にわたって介入した。
| グループ | タンパク質量(1日・体重1kgあたり) | トレーニング内容 |
|---|---|---|
| CT1 | 1.6g | レジスタンス+持久力の併用 |
| CT2 | 3.2g | レジスタンス+持久力の併用 |
| RT1 | 1.6g | レジスタンスのみ |
| RT2 | 3.2g | レジスタンスのみ |
除脂肪体重・筋力はどうだったか
16週間後、除脂肪体重や筋力(最大挙上重量など)の向上は、タンパク質量が1.6gでも3.2gでも有意差がなかったと報告されている。唯一、下半身のピークパワーについては高用量群(3.2g)で優位な結果がみられたという。
肝臓・腎臓の数値はどう変わったか
一方、血液検査では、高用量群(3.2g/kg)でγ-GT・AST・ALT(いずれも肝機能に関わる酵素)と、クレアチニン・BUN(尿素窒素、いずれも腎機能に関わる指標)が有意に上昇した。中用量群(1.6g/kg)ではこれらの数値に変化はみられなかったとしている。
ここでいう「上昇」は血液検査の基準値の変化であり、この研究の中で参加者が肝臓病・腎臓病と診断されたわけではない。研究は健康な若い男性44人を16週間追跡したものであり、より長期間続けた場合の影響や、女性・中高年・持病がある人への当てはまりは、この研究だけでは分からない。
体重換算するとどれくらいの量か
体重70kgの人の場合、1.6g/kgは1日112g、3.2g/kgは1日224gのタンパク質量にあたる。一般的な国内のプロテイン製品では、1食あたり約15〜20g程度のタンパク質を含むものが多く、224gという量は食事も含めてかなり意識的に摂取量を積み増さないと到達しない水準である。
よくある質問
タンパク質は摂れば摂るほど筋肉が増えるのか
この研究では、1.6g/kgから3.2g/kgに倍増させても、除脂肪体重や筋力の伸びに有意差はみられなかった。摂取量を増やすほど効果が上乗せされるとは、この研究からは言えない。
肝臓・腎臓の数値が上がったら危険なのか
血液検査の基準値が上昇したという報告であり、直ちに病気を意味するものではない。ただし、腎臓や肝臓に持病がある人が自己判断で高タンパク質摂取量を続けることは避け、必ず医師に相談したうえで検討すべきである。
普段どれくらいのタンパク質を摂ればよいか
この研究は特定の摂取量を推奨するものではない。一般的な摂取量の目安は個人の体格や運動量によって異なるため、詳しくは医師や管理栄養士に相談したい。
KINNIKU TIMESの視点
「タンパク質は多く摂るほど良い」というイメージを持たれがちだが、今回の研究では、摂取量を倍にしても効果の上乗せは確認されず、むしろ肝臓・腎臓関連の数値だけが上昇した。プロテインやサプリメントで極端に摂取量を積み増す前に、まずは体重1kgあたり1.6g程度を目安とした食事内容の見直しから始め、それ以上を検討する場合は医師や管理栄養士に相談することをすすめる。プロテインの選び方や価格を比較したい場合は、筋トレ最安ナビのプロテイン比較ページも参考にできる。
出典:"Effects of 16 weeks of two different high-protein diets with either resistance or concurrent training on body composition, muscular strength and performance, and markers of liver and kidney function in resistance-trained males." Journal of the International Society of Sports Nutrition (2023) - PubMed/スポーツ栄養Web(一般社団法人日本スポーツ栄養協会)解説記事
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