クレアチンで腎臓は悪くなる?26試験・1,036人のメタ分析、実測の腎機能は低下せず
クレアチンを摂ると血清クレアチニンは平均0.14mg/dL上がり、それをもとに計算する推算GFRは平均10.75mL/分下がるが、Cr-EDTAで実測したGFRに有意な低下はなかった。26のランダム化比較試験・1,036人を統合したメタ分析は、数値の変化は腎臓の障害ではなくクレアチニン代謝の変化を反映している可能性が高いと結論づけた。
クレアチンを摂ると血液検査のクレアチニン値は上がるが、腎臓の働きを実際に測った値(実測GFR)に有意な低下はみられなかった。アルトゥール・デ・ソウザ・アルメイダ(Artur de Souza Almeida)氏らの研究グループが、クレアチンと偽薬を比べたランダム化比較試験26件・計1,036人のデータを統合したメタ分析を、国際学術誌「International Urology and Nephrology」に2026年7月27日付で発表した。
クレアチンで腎臓は悪くなるのか?
クレアチンは筋力や除脂肪量を高めるサプリメントとして広く使われているが、「腎臓に悪い」という懸念は根強い。その主な理由は、クレアチンを摂ると血清クレアチニンの値が上がることにある。健康診断などで使われる推算GFR(腎臓のろ過能力の推定値)はクレアチニン値から計算するため、クレアチニンが上がると、腎機能が落ちたように見えてしまう。
今回のメタ分析は、この「見かけ」と「実際」を分けて検証した。主要な評価項目は血清クレアチニンで、GFRはクレアチニンから計算した推算値と、Cr-EDTAという物質を使って実測した値を別々に分析している。
メタ分析の結果は?
| 項目 | クレアチン摂取による変化(偽薬比) | 判定 |
|---|---|---|
| 血清クレアチニン | 平均0.14mg/dL上昇 | 有意に上昇 |
| 推算GFR(クレアチニン由来) | 平均10.75mL/分低下 | 有意に低下 |
| 実測GFR(Cr-EDTA) | 平均5.89mL/分(差なし) | 有意差なし |
| 血清尿素・アルブミン尿・たんぱく尿・尿中クレアチニン | — | 有意差なし |
クレアチニンを使った推算値では腎機能が下がったように見える一方、実測値では低下がなかった。研究グループはこの結果について、腎臓の障害ではなく、クレアチンの摂取によってクレアチニンの代謝が変わったことを反映している可能性が高いと結論づけた。血液透析を受けている患者の試験に限った分析では、クレアチニンは上昇し、血清尿素は低下した。
ほかの研究でも同じ結果か?
2025年11月に「BMC Nephrology」誌に掲載された別のメタ分析(21研究を系統的レビュー、うち12研究をメタ分析)も、クレアチンの摂取で血清クレアチニンが小さいながら有意に上がる一方、GFRには有意差がなかったと報告し、「代謝の変化によるもので、腎機能の障害ではない可能性が高い」とした。期間別では、1週間以内の研究と12週間を超える研究で上昇が有意で、1〜12週間の研究では有意差がなかった。
この研究の限界は?
腎臓の障害をより正確に反映するとされるシスタチンCを調べた試験は2件にとどまり、透析を受けていない慢性腎臓病の人を対象にした試験はなかった。透析患者の試験も規模が小さい。つまり「健康な人では腎機能の実測値に悪影響はみられない」とは言えるが、腎臓病のある人での安全性はまだ確かめられていない。
よくある質問
健康診断でクレアチニンが高く出るのはクレアチンのせい?
その可能性はある。2つのメタ分析はいずれもクレアチンの摂取で血清クレアチニンが上がると報告しており、検査の際は摂取していることを医師に伝えるとよい。
腎臓病の人がクレアチンを飲んでも大丈夫?
透析を受けていない慢性腎臓病の人での試験はなく、安全性は確認されていない。自己判断で使わず、必ず主治医に相談すべきである。
クレアチンは1日何g飲めばいい?
国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解では、維持量として1日3〜5gが一般的な目安とされる(関連記事)。
KINNIKU TIMESの視点
「クレアチンで腎臓が悪くなる」という心配の多くは、クレアチニン値の上昇を腎機能の低下と読み違えることから生まれている、というのが今回の分析の示唆だ。健康な人が一般的な量を使う限り、実測の腎機能に悪影響はみられていない。一方で、健康診断の数値に影響が出る可能性はあるため、受診時には摂取を申告し、気になる場合は医師と相談して検査方法を選ぶのが現実的である。持病がある人は、始める前に主治医に確認したい。製品選びの際はクレアチンの価格比較も参考になる。
出典:International Urology and Nephrology(2026年7月27日)/BMC Nephrology(2025年11月6日)/NutraIngredients(2026年9月1日)