筋トレ前のウォームアップは何のため?目的と正しい行い方を解説
筋トレ前のウォームアップは体を温めるだけでなく、血流・体温・神経伝達速度を高めて筋出力を引き出す準備工程である。
NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)は、柔軟性向上を目的とする静的ストレッチとは役割が異なると説明している。
筋トレ前のウォームアップは、単に体を温めるだけの準備運動ではなく、筋出力とパフォーマンスを引き出すための工程である。NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)の教材によると、ウォームアップは血流・体温・神経伝達速度を高める効果があり、柔軟性向上を主目的とする静的ストレッチとは役割が異なるとされている。
ウォームアップにはどんな効果があるのか
NSCAが公開する解説記事「Introduction to Dynamic Warm-Up」(NSCA's Guide to Program Design、2017年)によれば、ウォームアップの目的は「血流を活動筋に増加させ、深部体温を上昇させ、代謝反応を高め、関節可動域を改善する」ことで、トレーニングや競技に体を準備させることにあるという。同記事は、こうした変化によって酸素供給が向上し、神経インパルスの伝達速度が速まり、力を発揮するスピードが改善されるとしている。
「従来型」と「動的ウォームアップ」はどう違うのか
同記事は、従来型のウォームアップを「5〜10分程度の低〜中強度の有酸素運動と、その後の静的ストレッチ(通常10〜30秒保持)」と説明する一方、動的ウォームアップはこれとは異なる位置づけにあるとしている。NSCAは「ウォームアップ(運動や競技のための準備活動)」と「柔軟性向上(静的ストレッチが主目的とする活動)」を明確に別の活動として区別しており、両者を混同しないよう注意を促している。
筋トレ前の静的ストレッチは避けるべきなのか
KINNIKU TIMESが以前報じたメタ分析の記事「筋トレ前の静的ストレッチ、60秒以上で筋力低下 跳躍には影響なし」では、60秒以上の静的ストレッチを行うと筋力の発揮に低下が見られる可能性があると報告されている。NSCAが述べるように、ウォームアップと柔軟性向上の役割が本来別物であることを踏まえると、筋トレ本番の直前には、長時間の静的ストレッチよりも、体を動かしながら温める動的な運動を優先する方が無難といえる。
具体的にどうウォームアップをすればいいのか
NSCAの解説に基づけば、ウォームアップの基本は「軽い有酸素運動で血流と体温を上げること」と「これから行う種目に近い動きを、軽い負荷から段階的に行うこと」の2点に整理できる。スクワットやベンチプレスなど本番のセットに入る前に、バーのみや軽いプレートから始めて徐々に重量を上げていく「ウォームアップセット」を挟むことも、関節や神経系を本番の負荷に慣らすうえで広く行われている実践である。
よくある質問
ウォームアップをすれば柔軟性も上がるのか
NSCAの区分では、ウォームアップは主に運動前の準備を目的とした活動であり、柔軟性向上を主目的とする静的ストレッチとは役割が異なるとされている。柔軟性そのものを高めたい場合は、トレーニング後や別の時間帯に静的ストレッチを行う方法が一般的である。
ウォームアップにはどのくらい時間をかければいいのか
NSCAが示す従来型ウォームアップの目安は、低〜中強度の有酸素運動を5〜10分程度行うというものである。動的ウォームアップの具体的な時間についてはこの資料に明記されていないため、体が温まり、これから行う種目の動きがスムーズに感じられる程度を目安にするとよい。
KINNIKU TIMESの視点
ウォームアップは「なんとなく体を動かす時間」として省略されがちだが、NSCAの整理に従えば、血流・体温・神経系を本番のトレーニングに向けて準備する工程であり、静的ストレッチによる柔軟性向上とは別の役割を持つ。長時間の静的ストレッチを本番直前に行うと筋力低下につながる可能性が報告されている以上、まずは軽い有酸素運動と、本番種目に近い動きを軽い負荷から行うウォームアップセットを優先する組み方が無難である。トレーニング内容や体調に不安がある場合は、トレーナーや医師など専門家に相談することも検討したい。
出典:NSCA「Introduction to Dynamic Warm-Up」(NSCA's Guide to Program Design、2017年)/KINNIKU TIMES「筋トレ前の静的ストレッチ、60秒以上で筋力低下 跳躍には影響なし」
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