現王者ニック・ウォーカー「クレアチンは6年以上摂取せず」発言を検証
Mr. Olympia現王者のニック・ウォーカー(Nick Walker)選手が、ポッドキャストで「クレアチンは6〜7年摂取していない」「自分には効果を感じなかった」と語ったことが分かった。
科学的には、摂取前の筋内クレアチン量が多い人ほど補給による増加の余地が小さいとされ、個人差が影響した可能性がある。
Mr. Olympia現王者のニック・ウォーカー(Nick Walker)選手が、2026年10月8日公開のポッドキャスト番組で「クレアチンは6〜7年摂取していない」と明かした。サプリメントブランド「Morphogen Nutrition」のオーナー陣に加わった経緯を語るインタビューの中での発言で、米フィットネス専門メディアFitness Voltも10月13日(日本時間14日)にこの発言を報じた。
何を語ったのか 発言の詳細
発言があったのは、サプリメント業界メディア「PricePlow」が配信するポッドキャスト第238回(2026年10月8日公開、「Mr. Olympia Nick Walker on Morphogen Nutrition, His Signature Line, and What He Actually Uses」)。番組内の「22:45 Nick's Creatine Answer and the SKU Math」と題された区間で、ウォーカー選手はクレアチンについて次のように述べた。
「I just don't feel like it ever did anything for me. Genetically, what do I need it for?」(自分には効果を感じたことがない。遺伝的に、自分にそれが必要なのか)
「I just don't think it ever served me a benefit besides making me feel watery」(水っぽく感じさせる以外に、自分への恩恵を感じたことはないと思う)
番組20:30の区間では、クレアチンを「6、7年」摂取していないと語っている。共演したBen Kane氏が「肉からクレアチンを摂っているのでは」と冗談を言うと、ウォーカー選手は「I eat plenty of meat」(肉はたくさん食べている)と応じた。また13:00の区間によると、ウォーカー選手の希望により、Morphogenのプレワークアウト製品「VOLUGEN」には速効性とパンプ感を重視するためクレアチンを配合していない。共演したHartman氏は、毎日の継続摂取が前提となるクレアチンはプレワークアウト製品としては優先度の低い要素だとの考えを示し、2027年初頭にクレアチン配合フレーバーを追加する可能性にも触れている。
「水っぽさ」の正体は何か
クレアチンは筋細胞内に水分を取り込みやすくする性質があり、体重や見た目の張りに影響することが一般に知られている。ウォーカー選手が挙げた「水っぽく感じる」という感覚は、この細胞内への水分保持と関連する可能性があるが、本人がどの程度体組成の変化を測定した上での発言かは、番組・記事内では確認できなかった。
科学的には「効果がない」と言えるのか
クレアチンの筋力への効果は、サプリメントの中でも研究が最も多い部類に入る。KINNIKU TIMESが既報の14研究・523人を対象にしたメタ分析では、レジスタンストレーニングと併用した場合に筋力が有意に向上したと報告されている。
一方で、個人差があることも学術団体の見解として示されている。国際スポーツ栄養学会(ISSN)が2017年に発表したポジションスタンド(Kreider氏ら、Journal of the International Society of Sports Nutrition)は、「ベジタリアンは筋内クレアチン貯蔵量が低いと報告されており、補給による増加の余地が大きい可能性がある」と指摘している。逆に言えば、肉をよく食べるなど摂取前の筋内クレアチン量が元々多い人は、補給による増加量が小さくなりうるということになる。ウォーカー選手自身「肉はたくさん食べている」と述べていることから、この個人差が関係した可能性はあるが、血液・筋生検などで本人のクレアチン量を実測した情報は確認できず、断定はできない。
よくある質問
クレアチンに「効果が出ない人」は本当にいるのか?
個人差はあるとされる。ISSNの見解では、摂取前の筋内クレアチン貯蔵量が多い人ほど、補給による増加の余地が小さいとされている。
ウォーカー選手はクレアチンの代わりに何を摂っているのか?
番組内では、Morphogenのプレワークアウト「VOLUGEN」はクレアチンを含まず、速効性とパンプ感を重視した設計になっていると説明されている。
一般の人もクレアチンの摂取をやめるべきか?
いいえ。メタ分析は平均的には筋力向上効果を示している。クレアチンは腎機能に不安がある場合などは注意が必要なため、持病がある人や常用薬がある人は、自己判断で摂取量を変えず医師に相談した上で判断するのが望ましい。
KINNIKU TIMESの視点
トップ選手の発言は説得力があるが、1人の体験談は「効果がある・ない」を証明するものではない。クレアチンは数十件規模のメタ分析で平均的な効果が示されている一方、個人差が存在すること自体は学術的にも認められている。摂取して「効果を感じない」場合、まずは体重の変化や扱える重量などを数週間単位で記録し、自分に合うかどうかを確認するのが現実的だ。腎機能に不安がある場合や常用薬がある場合は、自己判断で摂取量を増減させず、医師に相談してから判断してほしい。詳しいクレアチンの基礎知識はクレアチンナビでも解説している。
出典:The PricePlow Podcast Episode #238(2026年10月8日)/Fitness Volt(Doug Murray、2026年10月13日)/Kreider et al., Journal of the International Society of Sports Nutrition(2017)/KINNIKU TIMES既報:クレアチンの筋力効果メタ分析
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