重曹とカフェインは一緒に飲むと効く?14試験のメタ分析、併用でパワーの上乗せなし
14件のランダム化比較試験をまとめたメタ分析で、重曹にカフェイン・クレアチン・βアラニンを併用しても、重曹単独と比べて平均パワー(SMD 0.11)やピークパワー(SMD 0.08)の上乗せは確認されなかった。重曹とクレアチンの組み合わせでは血中乳酸が低かったが、パワーの向上には結び付いていない。
重曹(炭酸水素ナトリウム)をカフェインやクレアチン、βアラニンと一緒に摂っても、重曹だけの場合と比べて無酸素パワーの上乗せは確認できなかった。14件のランダム化比較試験をまとめたメタ分析の結論である。モハンマド・マフディ・エイディヤン=カフキ(Mohammad Mahdi Eidiyan-Kakhki)氏らが、学術誌「Sport Sciences for Health」に2026年6月30日付で発表した。
重曹と他のサプリを組み合わせる狙いは?
重曹は血液をアルカリ性に傾け、激しい運動で生じる酸を中和する「緩衝能」を高めるとされる。βアラニンは筋肉内の緩衝物質カルノシンを増やし、クレアチンは短時間の爆発的なエネルギー供給を支え、カフェインは中枢神経に働く。仕組みの違う成分を重ねれば効果も足し算になる、という発想から併用は広く行われてきたが、その上乗せ効果ははっきりしていなかった。
どんな研究をまとめたのか?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研究の種類 | 系統的レビューとメタ分析 |
| 対象研究 | ランダム化比較試験14件 |
| 検索データベース | PubMed、Web of Science、Scopus(2025年1月16日まで) |
| 比較 | 重曹の単独摂取 vs 重曹+βアラニン/クレアチン/カフェインの併用 |
| 主な評価項目 | 平均パワー、ピークパワー、血中乳酸、血中の重炭酸イオン濃度 |
併用で無酸素パワーは上がる?
併用の効果をまとめて評価した結果は次の通り。数値は標準化平均差(SMD)で、0に近いほど差が小さく、95%信頼区間が0をまたぐ場合は統計的に差があるとはいえない。
| 評価項目 | SMD(95%信頼区間) | 判定 |
|---|---|---|
| 平均パワー | 0.11(−0.08〜0.30) | 有意差なし |
| ピークパワー | 0.08(−0.17〜0.32) | 有意差なし |
| 血中乳酸 | 0.34(−0.24〜0.92) | 有意差なし |
| 重炭酸イオン濃度 | −0.16(−0.57〜0.25) | 有意差なし |
平均パワーとピークパワーは研究間のばらつき(I²)が0%で、結果は一貫していた。例外は重曹とクレアチンの組み合わせで、血中乳酸が重曹単独より低かった(SMD −0.405、95%信頼区間 −0.725〜−0.086)。ただし、これがパワーの向上には結び付いていない。
この研究の限界は?
血中乳酸(I²=84.5%)と重炭酸イオン濃度(I²=77.3%)は研究間のばらつきが大きく、解釈には注意が要る。また、比較の相手は「重曹の単独摂取」であり、重曹そのものに効果がないという意味ではない。重曹単独の効果については別のメタ分析の記事で紹介している(重曹と筋持久力の記事)。
よくある質問
重曹とカフェインは一緒に飲むと効果が高まる?
このメタ分析では、併用による平均パワーやピークパワーの上乗せは確認されなかった。
重曹とクレアチンの併用で乳酸が減るのは良いこと?
血中乳酸は重曹単独より低くなったが、無酸素パワーの向上は伴っておらず、実際の運動成績への意味ははっきりしない。
KINNIKU TIMESの視点
サプリを重ねるほど効果が増えるとは限らない、という結果である。重曹を使う人がさらにカフェインやβアラニンを足しても、短時間の全力運動のパワーが上がるとは期待しにくい。複数を組み合わせる前に、それぞれの目的と根拠を個別に確認したい。カフェインの量の目安は国際学会の見解の記事が参考になる(カフェインの国際学会見解の記事)。
出典:Eidiyan-Kakhki MM, et al. Sport Sciences for Health(2026年6月30日)