トレーニング前のカフェインは体重1kgあたり3〜6mg。国際学会の見解を整理
国際スポーツ栄養学会(ISSN)は2021年の公式見解で、体重1kgあたり3〜6mgのカフェインが多くの種目で運動能力を高めるとまとめた。筋トレへの効果の大きさ、摂るタイミング、個人差と睡眠への影響までを整理する。
カフェインは体重1kgあたり3〜6mgの摂取で運動能力を高めることが一貫して示されており、筋力や筋持久力にも小〜中程度の向上がみられる。国際スポーツ栄養学会(ISSN)が2021年、学会誌『Journal of the International Society of Sports Nutrition』に掲載した公式見解(ポジションスタンド)の要旨である。筆頭著者はナンシー・ゲスト氏。コーヒーやエナジードリンク、プレワークアウト飲料などで身近なカフェインについて、効果の範囲と注意点を示している。
公式見解の位置づけ:多数の研究を専門家が評価
ポジションスタンドは、個別の実験ではなく、それまでに発表された研究を専門家が検討して学会としての見解をまとめた文書である。今回の見解では、持久系運動、筋力・筋持久力、スプリントやジャンプといった瞬発系の運動に分けて効果が整理され、さらに摂取量、タイミング、摂取形態、遺伝的な個人差、睡眠への影響についても言及している。
要点:量・タイミング・効果の範囲
| 項目 | 見解の内容 |
|---|---|
| 有効量 | 体重1kgあたり3〜6mg。2mg程度の少量でも効果がみられる可能性 |
| 高用量 | 9mg/kg程度では追加の効果はなく副作用が増える |
| タイミング | 研究では運動60分前が一般的。摂取形態により最適な時間は異なる |
| 持久系運動 | 最も一貫して中〜大程度の効果 |
| 筋力・筋持久力 | 小〜中程度の向上(動作速度を含む) |
| 瞬発系 | スプリント、ジャンプ、投てきでも効果 |
カフェイン入りガムはカプセルより吸収が早く、摂取から運動までの時間が短くてよいとされる。エナジードリンクやプレワークアウト飲料でも運動能力の向上がみられたが、特に持久系運動での報告が中心である。
限界と注意点:個人差と睡眠
見解は、効果の出方には大きな個人差があると強調している。その一因として、カフェインの代謝にかかわる酵素(CYP1A2)の遺伝子の違いや、普段のカフェイン摂取量の違いが挙げられている。同じ量でも人によって効果や体感が異なるのはこのためと考えられている。
また、カフェインは睡眠の質を下げたり、不安感を高めたりする可能性がある。夕方以降にトレーニングする人がトレーニング前に摂ると、その夜の睡眠に影響しうる点には注意が必要だ。見解の多くは健康な成人やアスリートを対象とした研究に基づいており、持病のある人にそのまま当てはまるわけではない。
KINNIKU TIMESの視点
体重70kgの人なら、3〜6mg/kgは210〜420mgに相当する。ただし、いきなり上限を狙う必要はない。見解が示すように少量でも効果がみられる可能性があるため、まずは体重1kgあたり2〜3mg程度から試し、体感や睡眠への影響を確かめながら調整するのが無理のない方法だろう。
コーヒー、エナジードリンク、サプリメントなど複数の飲料や食品から同時に摂ると、合計量が思いのほか多くなりやすい。成分表示を確認して1日の総量を把握しておきたい。妊娠中の人、心臓病や高血圧などの持病がある人、服薬中の人は、使用前に医師に相談してほしい。