エナジードリンクはカフェインと何が違う?116人の二重盲検、注意力も筋力も差なし
カフェイン200mg入りのエナジードリンクと、同量のカフェインだけを入れた飲料を116人で比べると、注意力・記憶・握力・筋持久力の変化量に群どうしの差はなかった。カフェイン以外の成分による上乗せは確認されず、米ノバ・サウスイースタン大学が2026年8月に報告した。
カフェイン200mgを含む市販のエナジードリンクと、同じ量のカフェインだけを加えた飲料を比べたところ、注意力・記憶・筋力・筋持久力のいずれも変化量に差はなかった。米ノバ・サウスイースタン大学のホセ・アントニオ(Jose Antonio)氏らが、運動習慣のある若年成人116人で行った二重盲検試験の結果で、2026年8月に学術誌「Journal of Nutritional Science」に掲載された。
どんな試験だったのか
エナジードリンクには、カフェインのほかにアミノ酸やビタミンなど多くの成分が入っている。効果がカフェインによるものか、他の成分の上乗せによるものかを確かめるため、研究チームはカフェイン量をそろえた2種類の飲料を比べた。
- 対象:週3回以上・1回30分以上運動する若年成人116人(平均年齢20〜21歳)
- エナジードリンク群(60人):米国の市販品「C4」。カフェイン200mgのほか、ベータアラニン、ベタイン、タウリン、ビタミンB12などを含む
- 対照群(56人):粉末飲料にカフェイン200mgを加えたもの
- 方法:飲む前と、飲んで約45分後にテストを実施。参加者も研究者もどちらの飲料かを知らない二重盲検
注意力・記憶・筋力、結果は?
| 項目 | 測定方法 | 飲む前後の変化 | 群どうしの差 |
|---|---|---|---|
| 注意力 | 反応時間テスト(PVT) | 両群とも反応時間が有意に短縮 | なし |
| 記憶 | 記憶テスト(MemTrax)の正答率 | エナジードリンク群のみ有意に低下 | なし |
| 筋力 | 握力 | エナジードリンク群で有意に増加 | なし |
| 筋持久力 | 壁スクワット(膝90度)の保持時間 | ― | なし |
研究チームは「どちらの飲料も注意力と覚醒度を高めたが、これはおそらくカフェインの作用による」と結論づけた。エナジードリンクに含まれる他の成分による明確な上乗せは確認できなかったことになる。
なぜ筋力には効果が出なかったのか
今回のカフェイン量は体重1kgあたり約2.8mgで、国際スポーツ栄養学会(ISSN)が運動能力の向上に示している3〜6mg/kg(関連記事)を下回っていた。研究チームもこの点を限界に挙げている。テストは飲んで約45分後の1回だけで、効果が最も強く出るタイミングを捉えきれなかった可能性もある。
この研究の限界は?
- 対象は20歳前後の若者に限られ、中高年や10代に当てはまるかは分からない
- 両群ともカフェインを摂っており、カフェインを含まない飲料との比較はしていない。そのため前後の変化が、カフェインによるものか、2回目のテストに慣れたことによるものかは区別しにくい
- カフェイン量が運動能力の向上に必要とされる量より少なかった
- 著者のアントニオ氏は、複数のサプリメント関連企業などで有償の顧問を務めていると開示している
よくある質問
運動前はエナジードリンクとコーヒー、どっちがいい?
この試験では、カフェイン量をそろえるとエナジードリンクの他の成分による上乗せは確認されなかった。1つの試験の結果ではあるが、まずはカフェインの量で比べるのが合理的である。
カフェインは何mgで運動に効く?
ISSNは体重1kgあたり3〜6mgを目安としている。体重60kgなら180〜360mgにあたるが、少量から試し、摂りすぎには注意したい。
エナジードリンクで筋力は上がる?
この試験では、握力と壁スクワットの保持時間のどちらも、カフェインだけの飲料との差はなかった。
KINNIKU TIMESの視点
トレーニング前に1本飲むのが習慣になっている人は、まず成分表示でカフェインが何mg入っているかを確認したい。今回の結果からは、効き目を左右するのは主にカフェインの量であり、他の成分に過度な期待をする必要はないといえる。持久系の運動では少量でも効果を示したメタ分析もある(関連記事)。一方、糖分の多い製品を毎回飲むと、減量中はカロリーの負担になる。夕方以降のトレーニングでは睡眠への影響も考え、量とタイミングを調整したい。