ベータアラニンは「1〜4分の運動」で力を発揮か。国際学会見解が示す量と期間
国際スポーツ栄養学会(ISSN)の公式見解によると、ベータアラニンを1日4〜6g、少なくとも2〜4週間摂ると筋肉内のカルノシンが増え、1〜4分程度の高強度運動で効果がみられやすい。摂取量、ピリピリ感への対策、筋力への効果がまだ不明な点を整理する。
ベータアラニンを1日4〜6g、4週間摂ると筋肉内のカルノシンが最大64%増え、1〜4分程度で終わる高強度運動の成績が向上しやすい――。国際スポーツ栄養学会(ISSN)が2015年、学会誌『Journal of the International Society of Sports Nutrition』に掲載した公式見解(ポジションスタンド)の要旨である。筆頭著者はエリック・トレクスラー氏。プレワークアウト飲料の成分としてよく目にするベータアラニンについて、どのような運動で、どれだけの量を摂れば効果が期待できるのかをまとめている。
仕組み:筋肉内のカルノシンを増やす
ベータアラニンは、それ自体が筋肉に直接作用するのではなく、筋肉内でカルノシンという物質の材料になる。カルノシンは高強度の運動中に筋肉内にたまる酸を中和する働きを持つとされ、その量を増やすことで、きつい運動を続けられる時間を延ばすことが狙いとなる。このため、カフェインのように運動直前に1回摂って効かせるものではなく、毎日摂り続けて筋肉内の量を徐々に増やす使い方が前提となる。
見解の要点:量・期間・効果が出やすい運動
| 項目 | 見解の内容 |
|---|---|
| 摂取量 | 1日4〜6g |
| 期間 | 2〜4週間で運動能力の向上、4週間でカルノシンが最大64%増加 |
| 効果が出やすい運動 | 1〜4分で終わる全力に近い運動やタイムトライアル |
| その他 | 神経筋疲労の軽減(特に高齢者) |
| 副作用 | 皮膚のピリピリ感(錯感覚)。1回800mgを超えると起こりやすい |
ピリピリ感は、1回1.6g程度に分けて摂るか、ゆっくり溶ける徐放性の製剤を使うことで軽減できるとしている。推奨量の範囲では、健康な人にとって安全と考えられると整理されている。また、ほかのサプリメントとの併用については、ベータアラニンを1日4〜6g、少なくとも4週間摂るという条件を満たしていれば有益な場合があるとしている。

限界:筋力への効果はまだ不明
見解自身が、今後の研究課題として筋力への効果、25分を超える持久系運動への効果、カルノシンに関連する健康面での効果を挙げている。つまり、重い重量を数回挙げるような最大筋力のトレーニングでベータアラニンが役立つかどうかは、現時点ではっきりしていない。
また、この見解は2015年時点の研究をまとめたものであり、それ以降の研究は含まれていない。効果の大きさには個人差があり、1〜4分の運動でも必ず成績が上がるというわけではない点にも注意が必要である。
KINNIKU TIMESの視点
筋トレの中でも、レップ数が多く1セットが1分以上続く種目や、休息を短くしたサーキット形式のトレーニング、格闘技やボート競技のように1〜4分の全力運動が中心の競技では、見解の内容と合致しやすい。一方、低レップ・高重量中心のトレーニングが主体の人にとって、優先度はクレアチンやたんぱく質の摂取量ほど高くないと考えるのが妥当だろう。
使う場合は、トレーニング直前の1回だけでなく毎日摂り続けることが前提となる。ピリピリ感が気になる人は、1回の量を減らして数回に分けるとよい。持病のある人や服薬中の人は、使用前に医師に相談してほしい。