筋トレ後の飲酒で筋タンパク質合成が最大24%低下、豪州8人の研究で判明
筋トレ直後に大量のアルコールを摂取すると、筋タンパク質合成の上昇幅がプロテインのみの場合より最大24%小さくなることが、豪州の研究(PLOS ONE、2014年)で確認されている。
厚生労働省は2024年2月、純アルコールで男性40g以上・女性20g以上の飲酒で生活習慣病リスクが上がるとの目安を初めて示した。
筋トレ直後に大量の飲酒をすると、筋肉を作る反応である「筋タンパク質合成」の増え方が、タンパク質だけを摂った場合より最大24%小さくなることが、オーストラリアの研究で確認されている。ディーキン大学などの研究グループが2014年に学術誌「PLOS ONE」で発表した小規模な実験結果で、プロテインを同時に摂っても効果を防ぎきれなかったという。
どんな研究で確認された効果なのか
この研究は、健康な若い男性8人(平均21.4歳)を対象にしたランダム化クロスオーバー試験である。参加者全員が「タンパク質のみ(PRO)」「アルコール+タンパク質(ALC-PRO)」「アルコール+炭水化物(ALC-CHO)」の3条件を、2週間の間隔を空けて順番を入れ替えながら経験した。各条件とも、80%1RMでの脚のレジスタンス運動(反復回数865回相当)と、自転車運動(30分間の持久運動と、110%PPOでの30秒×10回の高強度運動)を組み合わせたトレーニングを行った後に、各条件の飲料を摂取した。
アルコール条件での摂取量は体重1kgあたり1.5gで、80kgの人であれば標準ドリンク12±2本に相当する、かなり多い量である。運動終了1時間後から3時間かけて、ウォッカとオレンジジュースを混ぜた飲料を6回に分けて摂取した。
結果はどうだったか
運動後2〜8時間の筋タンパク質合成率(MyoPS)の上昇幅を比較した結果は次の通りである。
| 条件 | MyoPSの上昇幅 | PRO条件との比較 |
|---|---|---|
| PRO(タンパク質のみ) | +109% | 基準 |
| ALC-PRO(アルコール+タンパク質) | +57% | 約24%低い |
| ALC-CHO(アルコール+炭水化物) | +29% | 約37%低い |
研究チームは、25gのホエイプロテインを同時に摂取しても、この量のアルコールによる合成反応の低下を防ぎきれなかったと報告している。
この結果だけで「筋トレ後の飲酒はダメ」と言えるのか
注意すべき点がいくつかある。まず対象者が健康な20代男性8人のみであり、女性や中高年を含む結果ではない。次に、この研究が測定したのは運動後2〜8時間という短い期間の筋タンパク質合成率であり、数カ月単位の筋肉量や筋力の変化を直接測ったものではない。さらに、使われたアルコール量は標準ドリンク12本前後とかなり多く、ビール1〜2杯程度の少量での影響を示したものではない。研究チームも「アルコール摂取は運動への適応や回復を妨げる可能性がある」と述べるにとどめており、少量の飲酒でも同様の影響が出るかは今回の結果からは分からない。
厚生労働省のガイドラインはどう示しているか
厚生労働省は2024年2月、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。生活習慣病のリスクを高める飲酒量の目安として、1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上になると、大腸がんなど複数の病気のリスクが上昇するとしている。ガイドラインは、あらかじめ飲む量を決めておくことや、食事と一緒に摂ること、水分補給、休肝日を設けることなどを勧めている。トレーニーにとっても、飲酒の目安量を知っておくことは体づくりの一つの材料になりそうだ。
よくある質問
筋トレ後に少量のビールを飲む程度でも筋肉に影響するのか
今回の研究で使われたアルコール量は標準ドリンク12本前後とかなり多く、少量の飲酒での影響を直接示した結果ではない。影響の有無を言い切るには、より少ない量を使った追加の研究が必要である。
プロテインを一緒に摂れば飲酒の影響を打ち消せるのか
この研究では25gのホエイプロテインを同時に摂取しても、大量のアルコールによる筋タンパク質合成の低下を防ぎきれなかった。プロテインの併用が万能の対策にはならないと考えられる。
KINNIKU TIMESの視点
筋トレの効果を最大限に引き出したい日まで、飲酒を完全に避ける必要があるとは言い切れないが、今回の研究は「トレーニング直後の多量飲酒」が回復の反応を鈍らせうることを示している。打ち上げや忘年会などで飲む機会が多い時期は、厚生労働省が示す目安量を意識し、トレーニング日とは日をずらす、量を決めておく、休肝日を設けるといった工夫が現実的な対策になりそうだ。持病がある場合やアルコールの影響が気になる場合は、医師に相談してほしい。
出典:Parr et al., "Alcohol Ingestion Impairs Maximal Post-Exercise Rates of Myofibrillar Protein Synthesis Following a Single Bout of Concurrent Training", PLOS ONE(2014)/厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)/nippon.com「初の飲酒ガイドライン」
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