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エキセントリック(ネガティブ)トレーニングとは 筋力増加を系統的レビューで解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
ベンチプレスを行う男性
SUMMARY|この記事の要約

高強度のエキセントリック(伸張性)トレーニングは、同強度のコンセントリックトレーニングより筋力増加4.24N・m、筋の太さが0.46cm大きいことが20件のRCTを統合したレビューで判明した。効果の出る条件と実践時の注意点を解説する。

筋肉を伸ばしながら力を発揮する「エキセントリック(伸張性)収縮」を重視したトレーニングは、同じ強度のコンセントリック(短縮性)収縮主体のトレーニングより、筋力・筋量の増加が大きいとする系統的レビューがある。カナダ・マギル大学のロイグ氏らが2009年に発表した20件のランダム化比較試験・計678人分のデータを統合した系統的レビュー(メタ分析)によるもので、高強度かつ速度を一致させた条件での優位性が示されている。

バーベルを持ち上げる男性
写真はイメージです(Unsplash)

エキセントリック(伸張性)収縮とは何か

エキセントリック収縮とは、筋肉が力を発揮しながら長さが伸びていく収縮様式を指す。ベンチプレスでバーベルを下げる動作や、スクワットでしゃがむ動作がこれに当たる。反対に、筋肉が短くなりながら力を発揮するのがコンセントリック(短縮性)収縮で、バーベルを持ち上げる動作がこれに当たる。「ネガティブ・レップ」は、挙げる動作を補助してもらい、下ろす動作だけを自力で行うことでエキセントリック収縮の負荷を高めるやり方である。

科学的にはどんな効果が示されているか

ロイグ氏らの系統的レビューでは、エキセントリック主体の群とコンセントリック主体の群を比較し、以下の結果が報告されている。

指標 結果 統計的有意性
総合的な筋力(エキセントリック+コンセントリック) エキセントリック群が4.24 N・m優位 有意(p=0.04)
エキセントリック筋力 エキセントリック群が13.71 N・m優位 有意(p=0.001)
コンセントリック筋力 両群に有意差なし 有意差なし
筋周径(太さ) エキセントリック群が0.46cm優位 有意(p=0.01)
筋横断面積 エキセントリック群が1.49cm²優位の傾向 有意差なし(p=0.30)

総合的な筋力と筋の太さについては、エキセントリック主体の群で有意な上乗せが確認された一方、コンセントリック筋力や筋横断面積では明確な差は認められなかった。

なぜ効果に差が出るのか

同レビューは、この差が「速度特異性」と関係していると分析している。挙げる速度と下ろす速度をそろえた研究では8.66 N・mの優位性が確認されたが、速度をそろえていない研究では有意差が出なかった。つまり、エキセントリック収縮そのものの効果というより、高強度かつ速度条件を適切に設定した場合に効果が出やすいと考えられている。なお、エキセントリック収縮は筋肉への機械的なダメージが大きくなりやすいことが知られており、これが回復時の適応に関わっている可能性があるとされるが、この因果関係自体は今回のレビューで直接検証されたものではない。

実践するうえでの注意点

エキセントリック収縮を強調したトレーニングは、通常の筋トレより筋肉痛(DOMS)が強く出やすいことが知られている。関連記事(筋肉痛(DOMS)はなぜ起こる?)で解説しているとおり、筋肉痛自体は正常な反応だが、強い痛みや違和感が長引く場合は負荷のかけ方を見直す必要がある。関節や腱に痛みの既往がある場合、あるいは初めて取り入れる場合は、自己判断で急に高強度のネガティブ・レップを行うのではなく、トレーナーや医師に相談しながら段階的に取り入れることが望ましい。

よくある質問

ネガティブ(エキセントリック)トレーニングは初心者でも取り入れられるか

取り入れること自体は可能だが、今回のレビューで優位性が示されたのは高強度かつ速度を管理した条件である。初心者はまず通常のフォームで下ろす動作を2〜3秒かけてゆっくり行う程度から始め、専門家の助言を受けながら段階的に強度を上げるのが無理のない方法である。

エキセントリックだけのトレーニングに切り替えるべきか

今回のレビューはエキセントリック主体の群とコンセントリック主体の群を比較したものであり、通常のトレーニングを完全にエキセントリックだけに置き換えることを推奨する内容ではない。下ろす動作を意識的にコントロールする形で既存のトレーニングに組み込む使い方が実践的である。

KINNIKU TIMESの視点

ネガティブ・レップのような特別な器具やパートナーを必要とする方法でなくても、普段のセットで「下ろす動作を2〜4秒かけてゆっくり行う」だけでエキセントリック収縮の負荷を高めることができる。筋肉痛が通常より強く出ることがあるため、導入直後は回復日を増やすなど調整しながら試すのがよい。


出典:Roig M, et al.「The Effects of Eccentric Versus Concentric Resistance Training on Muscle Strength and Mass in Healthy Adults: A Systematic Review with Meta-analysis」(2009)/関連記事:筋肉痛(DOMS)はなぜ起こる?

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