フライホイールトレーニングとは 筋力17%増・パワー25%増の研究結果
フライホイールの慣性を負荷に使う「フライホイールトレーニング」は、メタ分析で最大筋力が17.3%、パワーが25.2%向上したと報告されている。従来のウエイトトレーニングと同程度の筋肥大効果も確認された。
スウェーデンの研究者らが2018年、学術誌「Sports Medicine - Open」にこの結果を発表した。
回転するディスク(フライホイール)の慣性を負荷に使う「フライホイールトレーニング」は、従来のウエイトトレーニングと同程度の筋力・筋肥大効果を持ち、とくにパワー向上に優れるとするメタ分析がある。スウェーデンの研究者らが2018年12月、学術誌「Sports Medicine - Open」に発表した。

写真はイメージです(Unsplash)
フライホイールトレーニングとは何か
フライホイールトレーニングは、円盤状の「フライホイール」が生み出す慣性(イナーシャ)を負荷として使うトレーニング手法である。バーベルやダンベルのような一定の重量を持ち上げるのではなく、ロープやストラップを介して円盤を回転させ、その回転を止めようとする動き(エキセントリック局面)で強い負荷がかかる仕組みになっている。コンセントリック局面(持ち上げる動き)で発揮した力に応じて、エキセントリック局面の負荷が自動的に変わる「アイソイナーシャル(等慣性)」という特性を持つ。
メタ分析ではどんな結果が示されたか
Henrik Petré氏、Fredrik Wernstål氏、C. Mikael Mattsson氏による研究チームは、2018年8月までに発表された英語の原著論文を検索し、426件から基準を満たす20件(対象者は各群7〜37人、年齢17〜69歳)を選んでメタ分析を行った。学術誌「Sports Medicine - Open」第4巻(2018年12月)に掲載されている。対象研究は4〜24週間のトレーニング介入で、セット数2〜4、反復回数6〜34回という設定だった。
結果は下表の通りで、筋力・パワーの向上幅が大きかった。
| 指標 | 変化率 | 効果量の目安 |
|---|---|---|
| 筋肥大(筋断面積) | +7.4% | 中程度(0.59) |
| 最大筋力 | +17.3% | 非常に大きい(1.33) |
| パワー | +25.2% | 大きい(1.19) |
| 垂直跳び(ジャンプ高) | +6.8% | 大きい(0.85) |
論文は、トレーニング経験が豊富な人ほど筋力・パワーの向上幅が大きく、年齢が若い対象者(39歳未満)の方が高齢の対象者(59歳超)より向上幅が大きかったとも報告している。一方で、分析対象の20件中16件には何もしない対照群が置かれておらず、慣性量(負荷の大きさ)が明記されていない研究も多いため、著者らは結果の解釈には注意が必要だとしている。対象は健康な成人に限られ、競技中の方向転換動作などへの効果を調べた研究も不足している。
従来のウエイトトレーニングと何が違うのか
一般的なウエイトトレーニングでは、エキセントリック局面にかかる負荷はコンセントリック局面で持ち上げた重量とほぼ同じである。これに対し、フライホイールトレーニングは「コンセントリック局面で強く力を出すほど、エキセントリック局面の負荷も自動的に大きくなる」という特性があり、エキセントリック局面に意識的に高い負荷をかけやすい点が特徴とされる。論文では、こうした特性がパワー向上に有利に働く可能性が議論されている。
どんな人に向いているか
論文のデータは、ジャンプ力や方向転換といった競技パフォーマンスに関わる能力を伸ばしたいトレーニング経験者を対象にした研究が中心である。初めてトレーニングをする人や、ひざ・腰などに不安がある人がエキセントリック局面に強い負荷がかかる種目を行う場合は、無理に高い強度から始めず、フォームを熟知した指導者の下で始めるか、医師・トレーナーに相談することが望ましい。
よくある質問
フライホイールトレーニングは筋肥大に効果があるか
メタ分析では筋断面積が平均7.4%増加し、効果量は中程度と報告されている。従来のウエイトトレーニングと同程度の効果とされる。
フライホイールトレーニングは普通のジムでもできるか
専用のフライホイール器具が必要なため、導入しているジムやパーソナルトレーニング施設でのみ行える。一般的なジムには置かれていないことが多い。
初心者でもすぐに始められるか
研究対象の多くはトレーニング経験者である。エキセントリック局面の負荷が大きくなる特性上、初心者は指導者の下で始めるのが望ましい。
KINNIKU TIMESの視点
フライホイールトレーニングは、器具の制約こそあるものの、「エキセントリック局面に自動で高い負荷がかかる」という仕組み自体は理論的に理解しておく価値がある。すでにRPE・RIRで自分の強度を把握する方法やレップ数と筋肥大・筋力の関係を押さえている人なら、エキセントリック局面を重視する種目(スロー・ネガティブなど)を取り入れる際の理論的な背景として参考にできるだろう。導入しているジムが身近にない場合は、まずは通常のウエイトトレーニングでエキセントリック局面を意識的にゆっくり行うことから試してもよい。
出典
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