高負荷でも低負荷でも筋肥大は同程度、筋力向上には高負荷が優位
筋肥大は30%1RM以上なら幅広い負荷で同程度に得られるが、1RMの筋力向上には60%1RMを超える高負荷が優位であることが、2021年発表のメタ分析レビューで示された。
高負荷トレーニングは同じ筋肥大効果を少ないセット数で得られる可能性があることも報告されている。
筋肥大そのものは、重い重量を低回数で挙げなければ得られないわけではない。米国の運動科学者ブラッド・シェーンフェルド氏らが2021年に専門誌『Sports』で発表したレビュー論文によると、30%1RM(1回しか挙げられない重さの3割程度)以上であれば、負荷の大小にかかわらず筋肥大の効果はほぼ同程度だという。一方で、1RM(最大挙上重量)そのものを伸ばす「筋力」の向上には、60%1RMを超える高負荷トレーニングの方が優れていることも、同じ論文で示されている。
筋肥大に「重い重量」は絶対条件ではないのか
シェーンフェルド氏らの論文は、過去の研究データを踏まえ、筋肥大の総量は約30%1RM以上という幅広い負荷域で同程度に得られると結論づけている。高負荷(1RMの60%超、おおむね8〜12回が限界となる重さ)でも、低負荷(1RMの60%以下、20回前後またはそれ以上挙げられる重さ)でも、追い込み方が十分であれば筋肥大への効果に大きな差は出ないという。論文が示した全体の効果量の差はわずか0.03(95%信頼区間−0.16〜0.22)で、統計的に意味のある差とは言えない水準だった。
1RM(筋力)を伸ばすなら高負荷が優位
一方、バーベルを使った1RMの記録そのものを伸ばしたい場合は話が変わる。論文が引用した筋力に関するメタ分析(14研究)では、高負荷トレーニングの方が低負荷トレーニングより1RMの向上が大きく、効果量は0.58だった。これは、スクワットやベンチプレスの記録を伸ばしたい人にとっては、高負荷域(60%1RM超)を外さない方がよいことを示している。ただし、器具を使わない等尺性の力の測定では差が小さく(効果量0.16)、統計的な有意差も確認されなかった。
高負荷トレーニングはセット数を抑えられる
同論文はさらに、高負荷トレーニングは低負荷トレーニングと同じだけの筋肥大を得るために必要なセット数が少なくて済む可能性があるとも指摘している。低負荷・高回数で追い込む方法は、1セットにかかる時間や疲労感が大きくなりやすい。限られた時間でトレーニングしたい人には、高負荷・低回数を軸にする方が効率的な場合があるといえる。負荷を少しずつ増やしていく基本原則については、プログレッシブオーバーロードの解説記事も参考にしてほしい。
目的別に見るレップ数の目安
| 目的 | 負荷の目安 | レップ数の目安 |
|---|---|---|
| 筋力(1RM)の向上を重視 | 60%1RM超 | 1〜6回程度 |
| 筋肥大を重視 | 30%1RM以上で幅広く可 | 6〜20回程度(追い込みが前提) |
| 筋肥大+時間効率を重視 | 60%1RM超を中心に | 6〜12回程度 |
よくある質問
軽い重量を高回数挙げるだけでも筋肥大は起きますか。
論文によれば、30%1RM以上で十分に追い込めば起きるとされている。ただし追い込みが浅いと効果は小さくなる可能性がある。
筋力と筋肥大を両方伸ばしたい場合はどうすればよいですか。
60%1RMを超える負荷を中心に据えつつ、レップ数に幅を持たせて取り入れる方法が、この論文の結果と整合的である。
KINNIKU TIMESの視点
「筋肥大には重い重量が必須」という思い込みは、この論文の結果とは食い違う。とはいえ、1RMという記録自体を伸ばしたいなら高負荷は欠かせない。自分の目的が「見た目の変化」か「挙げられる重さの記録」かを整理した上で、レップ数の軸を選ぶのが合理的だろう。関節や腰に不安がある場合は、無理に高負荷を追わず、医師や専門家に相談のうえで負荷を選んでほしい。
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