バンド・チェーンの可変抵抗トレーニング、筋力アップ効果は 14研究414人のメタ分析
バンドやチェーンで負荷が可変するトレーニングは、通常の一定負荷トレーニングより最大筋力の向上幅が大きいと、14研究・414人のメタ分析で示された。
訓練経験者は1RMの80%以上、未経験者は80%未満の負荷で可変抵抗を使うと、効果がより大きく表れる傾向も分かった。
バンドやチェーンを使って動作の途中から負荷が重くなる「可変抵抗トレーニング」は、通常の一定負荷トレーニングに比べて最大筋力の向上幅が大きいとする系統的レビュー・メタ分析が、学術誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載されている。対象は14件の研究、合計414人の筋力トレーニング経験者・未経験者である。
可変抵抗トレーニングとは何か
可変抵抗トレーニング(Variable Resistance Training、VRT)とは、バーベルにゴム製のバンドやチェーンを取り付け、関節角度が変化するにつれて負荷の大きさが変わる方法である。多くの種目では、しゃがんだ姿勢や胸につけた姿勢で負荷が軽く、体を伸ばしきる直前にバンドの張力やチェーンの持ち上がる分だけ負荷が重くなる。一定の重さのバーベルだけを使う通常のトレーニングを、この分析では「一定抵抗トレーニング(Constant Resistance Training、CRT)」と呼んで比較対象にしている。
14研究・414人のメタ分析で何が分かったか
中国・寧波大学などの研究チームが、PubMed・Web of Science・Google Scholarで2022年1月までに発表された論文を検索し、条件に合う14件(被験者414人、平均年齢18〜30歳)を統合して解析した。結果は次の通りである。
| 対象 | 効果量(ES) | 95%信頼区間 | 有意差 |
|---|---|---|---|
| 全被験者 | 0.80 | 0.42〜1.19 | あり(VRTが優位) |
| 訓練経験者・全体 | 0.57 | 0.22〜0.93 | あり(VRTが優位) |
| 訓練経験者・負荷80%1RM以上 | 0.76 | 0.37〜1.16 | あり(VRTが優位) |
| 訓練経験者・負荷80%1RM未満 | 0.00 | -0.55〜0.55 | なし |
| 未経験者・全体 | 1.34 | 0.28〜2.40 | あり(VRTが優位) |
| 未経験者・負荷80%1RM未満 | 2.38 | 1.39〜3.36 | あり(VRTが優位) |
| 未経験者・負荷80%1RM以上 | -0.04 | -0.89〜0.81 | なし |
経験者と未経験者で、有効な負荷の目安が逆だった
論文の結論は単純な「可変抵抗なら何でも効く」ではない。訓練経験者では1RMの80%以上という高い負荷でバンドやチェーンを使った場合にのみ、通常トレーニングを上回る有意な効果が確認された。一方、トレーニング未経験者では逆に、1RMの80%未満という軽めの負荷で可変抵抗を使った場合にのみ有意な効果が見られ、高い負荷では通常トレーニングとの差がなかった。論文は、訓練経験がある人は1RMの80%以上、訓練経験がない人は1RMの80%未満の負荷で可変抵抗トレーニングを使うと、より大きな恩恵を得られる可能性があるとまとめている。
注意しておきたい限界点
この分析が対象としたのは「最大筋力」の変化であり、筋肉の大きさ(筋肥大)そのものを直接測定した研究ではない点に注意が必要である。また論文自身が、採用した研究の割り付けの隠蔽や盲検化が不十分でバイアスのリスクが高いこと、必要なデータが報告されていない研究を除外した結果、最終的な採用研究数が14件にとどまったことを限界として明記している。可変抵抗トレーニングを取り入れる場合も、基本の挙上フォームを優先し、関節や腰に不安がある場合は自己判断で重い負荷に挑まず、医師やトレーナーに相談することが望ましい。
よくある質問
可変抵抗トレーニングは自宅でもできるか
ゴム製のレジスタンスバンドを使えば自宅でも取り入れられる。ただし今回のメタ分析の対象研究の多くは、ジムでチェーンやバンドをバーベルに取り付けて行うスクワットやベンチプレスなどの種目である。
初心者がいきなり重い負荷で使ってもよいか
今回の結果では、訓練未経験者は1RMの80%未満の軽めの負荷で可変抵抗を使った場合に有意な効果が確認されている。重い負荷でのバンド・チェーン使用はフォームが崩れやすいため、まずは基本の挙上動作を習得してから、軽めの負荷で可変抵抗を試す順序が無難である。
KINNIKU TIMESの視点
可変抵抗トレーニングは、ジムに据え付けのチェーンやバンドが用意されていれば手軽に試せる工夫である。ただし今回のメタ分析が示すのは「最大筋力」への効果であり、見た目の変化(筋肥大)を目指す場合に同じ恩恵があるとは限らない。まずはプログレッシブオーバーロードと週あたりのセット数という基本を押さえたうえで、変化をつける一つの選択肢として取り入れるとよいだろう。
出典:Lin Y, Xu Y, Hong F, Li J, Ye W, Korivi M.「Effects of Variable-Resistance Training Versus Constant-Resistance Training on Maximum Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis」International Journal of Environmental Research and Public Health 2022;19(14):8559(DOI:10.3390/ijerph19148559)
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