プライオメトリックトレーニングとは 跳躍力への効果を17研究のメタ分析で確認
プライオメトリックトレーニングは17件・458人のメタ分析で垂直跳びの向上に有効と確認された。補助具や負荷を使う方法が、自重のみの従来型を有意に上回るという結果は見られなかった。
垂直跳びの高さを伸ばす「プライオメトリックトレーニング」は、方法の違いによる優劣がほとんどないことが、17件の先行研究をまとめたメタ分析で明らかになっている。ポーランド・ユゼフピウスツキ体育大学のフベルト・マカルク氏らの研究グループが2020年5月、スポーツ科学の国際誌「Journal of Sports Science and Medicine」(JSSM)に発表した。
プライオメトリックトレーニングとは何か
プライオメトリックトレーニングとは、着地の衝撃(伸張)から素早く跳び上がる動作(短縮)を連続させる「伸張-短縮サイクル(SSC)」を利用したトレーニング法である。代表例はボックスジャンプ(台の上に跳び乗る)、デプスジャンプ(台から飛び降りてすぐに跳び上がる)、バウンディング(大きな歩幅で跳ねながら進む動作)などで、陸上競技やバスケットボール、バレーボールなど跳躍力が求められる競技の現場で広く使われてきた。
17件・458人のメタ分析で何が分かったか
マカルク氏らは、プライオメトリックトレーニングを「従来型(自重のみ)」「補助型(ゴムバンドなどで体重の一部を免荷)」「負荷型(ウエイトベストなどで負荷を追加)」の3種類に分類し、成人を対象とした17件の研究(合計458人)を統合して垂直跳びの高さへの効果を比較した。
| 比較 | 効果量(SMD) | 有意差 |
|---|---|---|
| 従来型 vs 対照群 | 0.68 | あり(p<0.0001) |
| 補助型 vs 対照群 | 0.70 | あり(p=0.006) |
| 負荷型 vs 対照群 | 0.48 | あり(p=0.002) |
| 補助型 vs 従来型 | 0.62 | なし(p=0.59) |
| 負荷型 vs 従来型 | 0.2 | なし(p=0.86) |
補助具を使った方法は従来型より優れているのか
結果を見ると、従来型・補助型・負荷型のいずれも対照群(トレーニングなし)と比べて垂直跳びの高さを有意に改善した一方、方法どうしを直接比較すると補助型・負荷型が従来型を有意に上回るという結果は得られなかった。論文は「従来型・補助型・負荷型のいずれも、健常な成人の垂直跳びパフォーマンスを高める有効なトレーニング法である」と結論づけている。特別な器具がなくても、自重のボックスジャンプなど基本的な種目で十分な効果が期待できるといえる。
取り入れる際の注意点
プライオメトリックトレーニングは着地時に体重の数倍の衝撃が関節にかかるため、基礎的な筋力(スクワットなどの基本動作のフォームが安定していること)を身につけてから段階的に取り入れることが勧められる。膝や足首に痛みや既往がある場合、持病がある場合は、自己判断で始めずに医師や専門家に相談したうえで実施の可否を判断すべきである。
よくある質問
プライオメトリックトレーニングは筋トレ初心者でもできますか
高い衝撃が関節にかかるため、まずはスクワットなどの基本動作のフォームを安定させ、基礎的な筋力を身につけてから段階的に取り入れるのが望ましいとされる。
ジャンプ力を伸ばすには補助具を使ったほうがよいですか
今回のメタ分析では、補助型・負荷型が従来型(自重のみ)を有意に上回るという結果は確認されなかった。器具がなくてもボックスジャンプなど基本種目で十分な効果が期待できる。
プライオメトリックトレーニングは毎日行ってよいですか
関節への負担が大きいトレーニングであるため、連日ではなく回復日を挟んで実施することが一般的に勧められている。頻度や強度に不安がある場合はトレーナーなど専門家に相談するとよい。
KINNIKU TIMESの視点
「ジャンプ力を伸ばすには特別な器具が要る」と思われがちだが、今回のメタ分析が示すのは、自重のボックスジャンプなど基本的な種目でも、補助具や負荷を使った方法と遜色ない効果が得られるということである。跳躍力を競技力に直結させたい人は、まず従来型のプライオメトリック種目を正しいフォームで安全に行うことから始め、慣れてきた段階で補助具や負荷を使ったバリエーションを試すのが現実的な進め方といえる。ウォームアップの方法については動的ストレッチと下肢の跳躍力・スプリントの関係を解説した記事も参考にしてほしい。
出典:Journal of Sports Science and Medicine「The Effects of Assisted and Resisted Plyometric Training Programs on Vertical Jump Performance in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis」(2020年5月, Vol.19 No.2, pp.347-357)/PMC(PubMed Central)収録版(PMID: 32390728)
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