アスタキサンチン摂取でCK・LDH値が改善、24件のRCTメタ分析で判明
24件のランダム化比較試験(RCT)を統合したメタ分析で、アスタキサンチンの摂取が運動後の血中CK・LDH値を有意に下げることが判明した。
一方、最大酸素摂取量やタイムトライアル成績への直接的な効果は確認されなかった。
サケやエビに含まれる赤い色素「アスタキサンチン」の摂取が、運動後の筋肉損傷マーカーである血中クレアチンキナーゼ(CK)と乳酸脱水素酵素(LDH)の値を有意に下げることが、24件のランダム化比較試験(RCT)を統合した最新のメタ分析で示された。国際学術誌Nutrients(米MDPI社)に2026年5月15日付(日本時間同日)で掲載された、劉爽寧氏ら10名の研究チームによる論文である。
どんな研究か 24件のRCT・運動後の回復指標を比較
研究チームは2026年1月までに公表された文献を複数のデータベースで検索し、アスタキサンチン補給と運動後の回復・パフォーマンスの関係を調べたRCT24件を統合してメタ分析を行った。対象者は16歳以上の健康な若年者・成人で、トレーニングを積んだサイクリストやサッカー選手、レジスタンストレーニング経験のある男性、ランナー、消防士、高齢者、競技特化型のアスリートなど幅広い層が含まれている。摂取量は研究によって1日4〜28mg、摂取期間は4日間から16週間までとばらつきがあった。研究の質はコクランの「RoB 2」基準で評価され、多くの研究が低リスクと判定されている。
結果:CK・LDHは有意に改善、VO2maxとタイムトライアルには差なし
結果は項目によって分かれた。筋肉損傷の指標となるCKはアスタキサンチン群113人・対照群85人のデータで比較され、標準化平均差(SMD)は−0.45(95%信頼区間:−0.83〜−0.07)と有意に低下した。炎症・組織損傷の指標であるLDHもSMD−0.93(95%信頼区間:−1.39〜−0.48)と有意に低下したが、研究間のばらつき(異質性)が大きかったと報告されている。一方、最大酸素摂取量(VO2max)はSMD−0.14(95%信頼区間:−0.78〜0.50)、タイムトライアル成績はSMD−0.17(95%信頼区間:−0.76〜0.42)で、いずれも統計的に有意な差は確認されなかった。
| 指標 | 標準化平均差(SMD) | 95%信頼区間 | 統計的有意差 |
|---|---|---|---|
| クレアチンキナーゼ(CK) | −0.45 | −0.83〜−0.07 | あり |
| 乳酸脱水素酵素(LDH) | −0.93 | −1.39〜−0.48 | あり(異質性大) |
| 最大酸素摂取量(VO2max) | −0.14 | −0.78〜0.50 | なし |
| タイムトライアル成績 | −0.17 | −0.76〜0.42 | なし |
なぜ回復に関わるのか 研究チームの見方
研究チームはこの結果について、「現在の証拠は、アスタキサンチンが直接的なパフォーマンス向上よりも、運動後の回復を支える方向で役立つ可能性を示唆している」と結論づけている。CK・LDHは運動で筋繊維や細胞膜が損傷した際に血中に漏れ出す酵素で、値が低いほど組織損傷が少ないと解釈される。アスタキサンチンの抗酸化作用が運動による酸化ストレスを抑えた可能性が考えられるが、メカニズムの直接的な検証は本研究の範囲外である。
摂取を考える前に知っておきたいこと
本研究で使われた用量は1日4〜28mgと幅があり、どの用量が最も効果的かの比較や長期摂取時の安全性は検証されていない。アスタキサンチンは日本では食品(サプリメント)として扱われ、病気の予防・治療効果をうたうことはできない。持病がある人や薬を服用中の人、妊娠中の人は摂取前に医師や薬剤師に相談してほしい。
よくある質問
アスタキサンチンを飲めば筋トレの記録が伸びる?
今回のメタ分析では、最大酸素摂取量やタイムトライアルの成績といった直接的なパフォーマンス指標には統計的に有意な差が確認されなかった。記録向上を直接期待できる根拠は現時点では乏しい。
アスタキサンチンは何に含まれている?
サケやマス、エビ、カニなどに含まれる赤い色素で、藻類由来のカロテノイドの一種である。サプリメントのほか、これらの食品からも摂取できる。
副作用はないの?
本研究は副作用の有無を主要な検証対象にしていない。長期摂取の安全性も確立していないため、持病や服薬中の人は自己判断で始めず医師に相談してほしい。
KINNIKU TIMESの視点
筋肉痛やだるさを早く抜きたいと考えるトレーニーにとって、CK・LDHの低下は「回復の助けになりそうだ」という手がかりにはなる。ただし今回の研究が示したのは回復マーカーの変化であり、筋力や筋肥大そのものを直接高めるデータではない。すでに本誌で紹介したクルクミンやタルトチェリーと同様、サプリメントは睡眠・食事・休養日といった基本の土台を補う位置づけで考えるのが現実的だろう。価格や品質表示を確認し、持病がある場合は自己判断で摂取量を増やさないことが大切だ。
出典:Liu et al.「The Effects of Astaxanthin Supplementation on Exercise Recovery Biomarkers and Exercise Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis」Nutrients 18(10):1570(2026年5月15日、DOI:10.3390/nu18101570、CC BY 3.0)/関連記事:クルクミン摂取で筋肉痛・CK値が改善、10件のRCTメタ分析で判明/タルトチェリージュースは運動後の回復に効く?10試験212人のメタ分析で判明
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