デッドリフトはコンベンショナルとスモーで効く部位が違う 海外研究で判明
デッドリフトはコンベンショナル式とスモー式で、強く使う筋肉や関節への負荷のかかり方が異なることが、男性30人を対象にした海外の筋電図研究で分かった。
目的別にどちらを選ぶべきかを、研究データに基づいて解説する。
デッドリフトはコンベンショナル(通常)スタイルとスモー(ワイドスタンス)スタイルで、強く働く筋肉や関節への負荷のかかり方が異なることが、フランスの研究チームによる筋電図(EMG)研究で確認された。2025年5月、学術誌「Frontiers in Bioengineering and Biotechnology」に掲載された。
研究はどのように行われたのか
研究チームは、週1回以上デッドリフトを行う経験者の男性30人(平均26±4.6歳、体重81.3±8.7kg、身長178.5±6.2cm)を対象に、1RM(最大挙上重量)の85%の負荷でコンベンショナルデッドリフトとスモーデッドリフトの両方を実施してもらった。3次元動作解析・床反力測定・筋電図(EMG)を同時に記録し、関節にかかるモーメント(回転させる力)と筋肉の活動パターンを比較している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 男性30人(経験者) |
| 年齢・体格 | 26±4.6歳、体重81.3±8.7kg |
| 負荷 | 1RMの85% |
| 測定方法 | 3次元動作解析・床反力・筋電図(EMG) |
コンベンショナルデッドリフトが得意なこと
引き上げ初期の段階において、股関節の伸展モーメントはコンベンショナルの方がスモーより大きく、大腿二頭筋(ハムストリングス)・脛骨前筋・胸部脊柱起立筋の活動もコンベンショナルの方が高かった。研究チームは、コンベンショナル式は臀部やハムストリングス、背中といった「後面(後鎖)」をより強調する動作だと結論づけている。
スモーデッドリフトが得意なこと
一方スモー式では、引き上げ初期の膝関節伸展モーメントがコンベンショナルより大きく、外側広筋(大腿四頭筋の一部)の活動も高かった。さらに体を横や捻る方向のモーメントもスモーの方が大きく、股関節・膝の内外側の安定性がより求められることが分かった。研究チームは、スモー式は大腿四頭筋などの「前面」の関与と、股関節・膝の安定性への要求が大きい動作と位置づけている。
どちらを選ぶべきか
今回の研究はフォームの優劣を比べたものではなく、「どの筋肉をより使うか」が異なることを示したものである。背中やハムストリングスを重点的に鍛えたい場合はコンベンショナル、大腿四頭筋への刺激も加えたい場合やワイドスタンスの方が体に合う場合はスモーが候補になる。股関節の柔軟性や胴・脚の長さといった体格によって、やりやすいフォームが変わる点も踏まえておきたい。高重量を扱う際の呼吸法はバルサルバ法の記事で、フリーウェイトとマシンの違いはこちらの記事で解説している。
よくある質問
どちらが腰に優しいですか?
今回の研究では腰痛や怪我のリスクそのものは比較していない。フォームが崩れれば腰への負担はどちらの種目でも増えるため、可動域や柔軟性に応じて無理のない範囲で行い、不安がある場合は専門家に相談することが望ましい。
初心者はどちらから始めるべきですか?
研究対象は経験者のみのため、初心者向けの優劣は示されていない。軽い負荷で両方を試し、深くしゃがみやすく背中が丸まりにくい方から始めるのが一般的に勧められている。
KINNIKU TIMESの視点
「コンベンショナルは背中、スモーは脚」という経験則は以前から語られてきたが、関節モーメントと筋電図を同時に測定した研究は比較的少なく、感覚的な経験則に科学的な裏付けが加わった意義は大きい。フォームの変更は無理に行わず、柔軟性や既往歴を踏まえて段階的に試すことを勧めたい。
出典:Frontiers in Bioengineering and Biotechnology(2025年5月27日、Hanen et al.)
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