スクワットのスタンス幅で効く部位が変わる 狭い・広いの違いを海外研究で検証
スクワットはスタンス(足幅)の違いで、狭いと大腿四頭筋とピークパワーが、広いとハムストリングス・臀筋などの後面がより強く使われることが、男悗90人を対象にした海外の2つの実験で確認された。
目的別の選び方を、研究データに基づいて解説する。
バーベルスクワットは足幅(スタンス)を狭くするか広くするかで、負荷のかかる筋肉が変わることが、英国の研究チームによる2つの実験で確認された。2022年、学術誌「Sports」(MDPI)に掲載された。
研究はどのように行われたのか
実験1では、高負荷スクワットの経験が2年以上あり、普段から異なるスタンス幅を採用している男性70人(平均29.25±5.40歳)を対象に、それぞれが普段使っているスタンス幅の違いによるバイオメカニクスを比較した。実験2では、同様の経験を持つ男性20人(平均32.10±10.02歳)を対象に、同じ人にあえてスタンス幅を変えてもらう条件下で動作を測定している。いずれも床反力計とモーションキャプチャーを用いて、関節にかかる力の方向や大きさを数値化した点が特徴である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実験1対象者 | 男性70人(平均29.25±5.40歳) |
| 実験2対象者 | 男性20人(平均32.10±10.02歳) |
| 経験 | 高負荷スクワット歴2年以上 |
| 掲載誌 | Sports(MDPI)2022年、10巻136号 |
狭いスタンスが得意なこと
狭いスタンスでは、ピークパワー(発揮される力の最大値)が有意に増加し、大腿四頭筋の力もより大きくなった。研究チームはこれを「膝優位」の動作戦略と説明している。
広いスタンスが得意なこと
広いスタンスでは、床を内側に押す方向の力(内側地面反力インパルス)が有意に増加し、ハムストリングス・臀筋・腓腹筋・ヒラメ筋の力がより大きくなった。研究チームはこれを「股関節優位」で、体の後面の筋肉をより効果的に刺激する動作と位置づけている。
どちらを選ぶべきか
大腿四頭筋を重点的に鍛えたい場合や、最大パワーを重視するトレーニングを行いたい場合は狭いスタンスが候補になる。ハムストリングスや臀筋など下半身の後面を重点的に鍛えたい場合は広いスタンスが候補になる。ジャンプ系の動作のように瞬発的な力の発揮が重要な場面では狭いスタンスの特性が、股関節のパワーが求められる場面では広いスタンスの特性が参考になるだろう。股関節の柔軟性や骨盤の構造によって、無理なく深くしゃがめるスタンス幅には個人差がある点も踏まえておきたい。可動域とパーシャルレップの違いは別記事で、フリーウェイトとマシンの比較はこちらの記事で解説している。
よくある質問
どのスタンス幅が正解ですか?
今回の研究は「優劣」ではなく「効く部位の違い」を示したものである。大腿四頭筋重視か、ハムストリングス・臀筋重視かという目的に応じて選ぶのが合理的である。
自己流でスタンスを変えても大丈夫ですか?
フォームを変える際は、まず軽い負荷で動作を確認することが望ましい。スタンスを広げると股関節の可動域がより求められるため、硬さを感じる場合は無理をせず、可動域を徐々に広げながら調整するか、トレーナーや専門家に相談することが望ましい。
KINNIKU TIMESの視点
「スクワットは広いと臀筋に効き、狭いと四頭筋に効く」という経験則は以前から語られてきたが、普段のスタンスを比較する実験と、意図的にスタンスを変える実験を組み合わせて検証した今回の研究は、その経験則に一定の裏付けを与えるものといえる。無理に極端なスタンスを試すのではなく、自分の柔軟性や目的に合わせて少しずつ調整することを勧めたい。なお本論文はCC BY 4.0のオープンアクセスで、誰でも全文を確認できる。
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