筋トレはフリーウェイトとマシンどちらが効果的か 8週間研究で検証
フリーウェイトとマシンによる筋力トレーニングは、8週間の比較研究で筋肥大・筋力の伸びにほぼ差が見られなかった。差が出たのは男性の遊離テストステロン濃度のみで、トレーニング効果そのものには反映されなかった。
フリーウェイトとマシン、どちらを選んでも筋肥大の効果に大きな差はない――カナダ・サスカチュワン大学で実施された8週間のトレーニング比較研究が、この結論を示している。対象は健康な男女36人(男性15人・女性21人、平均年齢22±3歳)で、フリーウェイト群とマシン群に分けて上腕屈筋群を鍛えたところ、筋厚の増加率はどちらの群もほぼ同程度だった。
フリーウェイトとマシン、何が違うのか
フリーウェイト(ダンベル・バーベル)は軌道が固定されていないため、主働筋に加えて体幹や多くの補助筋(スタビライザー)を同時に使う。一方マシンは軌道が固定されており、狙った筋肉に負荷を集中させやすく、フォーム習得の負担が軽い。この違いから、長年「フリーウェイトの方が筋肥大に効果的」という考え方が広く信じられてきた。
8週間の比較研究で分かったこと
2008年にカナダ・サスカチュワン大学で実施され、後に学術誌『Journal of Strength and Conditioning Research』(2020年、34巻7号、1851〜1859ページ)に掲載されたShane Schwanbeck氏らの研究では、健康な男女36人を対象に、8週間にわたりフリーウェイトのみ、またはマシンのみを使用する群に分けてトレーニングを実施した。
| 群 | 期間 | 上腕屈筋群の筋厚増加率 |
|---|---|---|
| フリーウェイト群 | 8週間 | +3.9% |
| マシン群 | 8週間 | +5.1% |
両群の筋厚増加率に統計的に意味のある差はなかったと報告されている。なお、フリーウェイト群の男性では遊離テストステロン濃度がより大きく上昇したことも確認されたが、この生理的な変化は筋肥大・筋力というトレーニング効果そのものの差には結びつかなかったと、専門家向けに研究を解説するIDEA Health & Fitness Associationの記事は伝えている。
なぜ道具の違いで結果に差が出なかったのか
筋肥大の引き金になるのは主にメカニカルテンション(筋肉にかかる機械的な張力)であり、挙上する道具がフリーウェイトかマシンかよりも、総負荷・総セット数・追い込み方(努力度)のほうが影響が大きいと考えられている。ただし今回の研究対象は上腕屈筋群のみ、期間も8週間と短い。スクワットやベンチプレスのような複数関節・複数筋群を使う種目では、フリーウェイトの方がバランス感覚や体幹の関与が大きくなるため、結果が異なる可能性がある点には注意が必要である。
実践にどう活かすか
ジムにマシンしかない、あるいは自宅にダンベルしかないといった環境の制約があっても、十分な負荷と追い込みを継続できれば、筋肥大そのものは期待できるとこの研究は示唆している。一方でフリーウェイトは複数の筋群や体幹を同時に使うため、日常生活の動作やスポーツパフォーマンスへの応用(ファンクショナルな強さ)を重視する場合は、マシンと組み合わせて取り入れるとよい。初心者がフリーウェイトの複雑な種目に取り組む際は、正しいフォームをトレーナー等から指導してもらうと安全である。
よくある質問
フリーウェイトの方が「追い込める」という意見は本当か?
この研究では、どちらの群も筋肥大・筋力の伸びに明確な優劣は見られなかった。「追い込みやすさ」は個人の感覚や種目選びにもよるため、一概にフリーウェイトが優れているとは言えない。
マシンだけのトレーニングでも筋肉は大きくなるか?
この研究の範囲では、マシンのみでも十分な負荷と継続があれば筋肥大は見込めると示されている。ただし上腕屈筋群のみを対象とした8週間の結果であり、他の筋群や長期間での効果を保証するものではない。
KINNIKU TIMESの視点
「フリーウェイト至上主義」も「マシンだけで十分」も極端な考え方であり、今回の研究が示すのは、道具そのものよりも負荷・ボリューム・継続のほうが筋肥大に効く、という基本に立ち返ることの大切さである。筋トレの週何セットが必要かも合わせて参考にし、自分が継続しやすい道具を選ぶとよいだろう。
出典:University of Saskatchewan HARVEST(Schwanbeck, S., 2008年修士論文)/IDEA Health & Fitness Association「Free Weights Versus Machines: Which Is Better?」(引用元:Schwanbeck SR, et al. Journal of Strength and Conditioning Research. 2020;34(7):1851-1859)
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