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スミスマシンの使い方とできる種目 安全な設定・体の位置・回数の目安を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 12分
ジム内でバーベルを行うトレーニングのイメージ
SUMMARY|この記事の要約

スミスマシンの基本の使い方と、スクワット・ベンチプレスなどできる種目ごとの体の位置を解説。フリーウエイトとの重量や筋活動、筋肉の増え方を比べた研究をもとに、メニュー例と安全の注意点をまとめた。

スミスマシンは、バーが縦のレールに沿ってだけ動くマシンで、手首を返すだけでどの高さでもバーを引っかけて止められるため、補助者がいなくても重い重量を比較的安全に扱える。使い方の基本は、セーフティストッパーを自分の可動域のすぐ下に合わせ、バーの真下に体を置くのではなく、種目ごとに足や体の位置を調整することである。スクワット、ベンチプレス、ショルダープレス、ヒップスラスト、スプリットスクワットなど、1台で全身の種目ができる。

スミスマシンとフリーウエイトは何が違う?

スミスマシン(Smith Machine)は、バーの軌道が上下の一直線に固定されている点がフリーウエイトとの最大の違いである。バーを前後左右に安定させる必要がないぶん動作に集中しやすいが、体のほうをバーの軌道に合わせる必要がある。

扱える重量は種目によって変わる。Cottermanらの2005年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research、男性16人・女性16人)では、スクワットの1RM(1回だけ挙げられる最大重量)はスミスマシンのほうがフリーウエイトより大きく、ベンチプレスの1RMは反対にフリーウエイトのほうが大きかった。Saeterbakkenらの2011年の研究(Journal of Sports Sciences、筋トレ経験のある男性12人)でも、ベンチプレスはバーベルのほうがスミスマシンより約3%重く挙がった。どちらの研究も、一方の重量をそのままもう一方に当てはめられないことを示している。

筋肉の使われ方にも違いがある。Saeterbakkenらの研究では、ベンチプレスでの大胸筋と三角筋前部の筋活動はスミスマシンとバーベルで差がなかった。一方、Schickらの2010年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research)では、肩の横の三角筋中部の活動はフリーウエイトのベンチプレスのほうが大きかった。スクワットでは、Schwanbeckらの2009年の研究(6人、8回が限界の重量)で、フリーウエイトのほうがふくらはぎで34%、太もも裏で26%、太もも前の内側で49%筋活動が大きく、測った筋肉の平均でも43%高かった。主に動かす筋肉は同じように働き、バーを安定させるための筋肉はフリーウエイトのほうがよく働く、と整理できる。

スミスマシンで筋肉はつく?

スミスマシンを含むマシン中心のトレーニングでも、筋肉はフリーウエイトと同じように増えると考えてよい。Schwanbeckらの2020年の研究(46人、うち女性26人、8週間)では、フリーウエイト中心のグループとマシン中心のグループのどちらも、腕と太ももの筋肉の厚さが同じように増え、スミスマシンスクワットの筋力も両グループで伸びた。Haugenらの2023年のメタ分析(13研究、1,016人)も、フリーウエイトとマシンを直接比べると筋肥大に差はなく、筋力は「練習した器具で測ると伸びやすい」とまとめている。詳しくはフリーウエイトとマシンのメタ分析で紹介している。

米国スポーツ医学会(ACSM)の2026年の指針(Currierらによる137本のシステマティックレビューの総括)も、器具の種類はトレーニングの成果に一貫した影響を与えなかったとしている。スミスマシンかフリーウエイトかよりも、十分なセット数を続けることのほうが結果を左右すると考えられる。

スミスマシンの基本の使い方は?

基本の使い方は、下の手順を毎回同じ順番で行うことである。初めての機種では、まず何も付けないバーで動かして感覚を確かめたい。

  1. バーの重さを確認する:スミスマシンのバーは機種によって重さが違い、おもりで軽くしてある機種もある。本体の表示や掲示を見て、記録の基準にする。
  2. セーフティストッパーを合わせる:左右のストッパーを、動作のいちばん低い位置より少しだけ下に合わせる。スクワットなら一番深くしゃがんだときのバーの高さ、ベンチプレスなら胸に触れる直前の高さが目安。
  3. フックの高さを決める:バーを引っかけるフックの高さを、ラックから外しやすい位置にする。スクワットなら肩の高さよりやや下。
  4. プレートを左右均等に付ける:プレートを付けたら、クリップで固定する。
  5. 体の位置を決めて構える:種目ごとに、足の位置や寝る位置をバーの軌道に合わせる(次の項目で解説)。
  6. 手首を返してバーを外す:バーを握ったまま手首を回し、フックを外す。外れたことを確かめてから動作に入る。
  7. 終わったらフックに掛ける:最後の回数のあと、手首を逆に回してフックを掛ける。掛かったことを確認してから手を離す。途中でつぶれたら、ストッパーの上にバーを下ろせばよい。

スミスマシンでできる種目と体の位置は?

スミスマシンでは、バーが真上下にしか動かないことを前提に、体の位置で負荷のかかり方を調整する。代表的な種目と位置の目安は次のとおりである。

種目 主に鍛える部位 体の位置の目安
スクワット 太もも前・お尻 足をバーの真下より半歩前に置き、背中を立てたまましゃがむ
ベンチプレス 胸・肩の前・腕の裏 バーが胸の中ほど(乳首の少し下)に下りる位置にベンチを置く
インクラインプレス 胸の上部 ベンチを30度ほど起こし、バーが鎖骨の少し下に下りる位置に合わせる
ショルダープレス 肩 背もたれを立てたベンチに座り、バーが顔の前、あごの高さまで下りる位置にする
スプリットスクワット 太もも前・お尻 前後に足を開き、前足のかかとがバーより前に出るようにする
ヒップスラスト お尻 ベンチに背中を乗せ、バーが脚の付け根の上に来る位置に座る
カーフレイズ ふくらはぎ 段差につま先を乗せ、バーを担いでかかとを上下させる

スクワットで足をバーの真下より前に置くのは、バーが縦にしか動かないためである。真下に足を置くとひざが大きく前に出て、ひざに負担が寄りやすい。フリーウエイトでの基本はスクワットのやり方、ベンチプレスのやり方、ショルダープレスのやり方、ヒップスラストのやり方で解説している。

よくある間違いとチェックポイントは?

多い間違いは、セーフティストッパーを使わない、フリーウエイトと同じ体の位置で構える、の2つである。

  • ストッパーを下まで下げたまま:つぶれたときにバーが体の上に落ちる。毎回、可動域のすぐ下に合わせる。
  • フックが外れたか確かめない:片側だけ掛かったまま動くと、バーが傾いて危険である。左右とも外れたことを目で確かめる。
  • ベンチの位置がずれている:ベンチプレスでバーが首や腹の上に下りるなら、ベンチの位置を直す。何も付けないバーで1回下ろして確認する。
  • 軌道に体を無理に合わせる:腰やひざに違和感があるなら、足や体の位置を数cmずつ動かして調整する。
  • フリーウエイトの重量と比べる:機種や種目で扱える重量は変わる。スミスマシンでの記録はスミスマシンどうしで比べる。
  • 反動で上げる:レールがあるので反動を使っても挙がってしまうが、狙った筋肉に効きにくい。下ろす動作は2秒ほどかける。

何回・何セットが目安?メニュー例は?

筋肉を大きくする目的なら、8〜12回できる重量で2〜3セットが基本で、慣れてきたら種目を増やして部位ごとに週10セット以上を目指す。ACSMの2026年の指針は、筋力の向上には1RMの80%以上の重い負荷、2〜3セット、週2回以上を有効な条件として挙げている。重い重量は1RMの推定式で見積もると安全である。

レベル 種目 回数 セット 休憩
初心者(週2回・全身) スミスマシンスクワット 8〜12回 2〜3 2分
初心者(週2回・全身) スミスマシンベンチプレス 8〜12回 2〜3 2分
初心者(週2回・全身) スミスマシンヒップスラスト 10〜12回 2 90秒
中級者(上半身の日) スミスマシンインクラインプレス 6〜10回 3 2〜3分
中級者(上半身の日) スミスマシンショルダープレス 8〜12回 3 2分
中級者(下半身の日) スミスマシンスクワット 5〜8回 3〜4 3分
中級者(下半身の日) スミスマシンスプリットスクワット 各脚8〜12回 3 90秒

脚の種目を増やしたい場合はレッグプレスのやり方、胸のマシン種目はチェストプレスマシンのやり方も参考になる。

安全に行うための注意点は?

  • セーフティストッパーは毎セット確認する。ほかの人が使ったあとは位置が変わっていることが多い。
  • 腰、ひざ、肩に鋭い痛みが出たらその日は中止する。痛みが続く場合や、持病がある場合は医師に相談する。
  • 運動中に胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止して休む。重い重量で息を長く止めすぎないようにする。
  • ケガの起こりやすさそのものは高くない。Keoghらの2017年のシステマティックレビュー(Sports Medicine、20研究)は、ウエイトトレーニング系競技のケガの発生率は一般的なチームスポーツより比較的低いとし、ケガの多い部位として肩、腰、ひざなどを挙げている。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨している。スミスマシンを使う日も、同じ部位は48時間ほど空けるとよい。

よくある質問

スミスマシンは初心者に向いている?

向いている。どの高さでもバーを掛けて止められ、セーフティストッパーで落下を防げるため、補助者がいなくても重い重量に挑戦しやすい。ただし体の位置をバーの軌道に合わせる練習は必要である。

スミスマシンのバーは何kg?

機種によって違う。20kg前後のものもあれば、おもりで数kgまで軽くしてある機種もある。本体の表示や掲示を確認し、記録はその機種どうしで比べる。

スミスマシンとフリーウエイトの重量は同じと考えていい?

同じとは考えないほうがよい。研究ではスクワットはスミスマシンのほうが重く、ベンチプレスはフリーウエイトのほうが重く挙がった。種目ごとに別の記録として管理する。

スミスマシンだけで筋肉はつく?

つくと考えてよい。マシン中心でもフリーウエイト中心でも、8週間で筋肉の厚さは同じように増えたという研究があり、メタ分析でも筋肥大に差はなかった。続けやすい器具を選べばよい。

スミスマシンでスクワットをするとひざが痛いのはなぜ?

足をバーの真下に置いて、ひざが大きく前に出ていることが多い。足を半歩前に出し、背中を立てたまましゃがむ。痛みが続く場合は医師に相談する。

KINNIKU TIMESの視点

スミスマシンは、バーの軌道が固定されていることで「重さを安全に扱える」ことと「体を軌道に合わせる必要がある」ことの両方を持つ器具である。研究を見る限り、主に動かす筋肉の働きや筋肉の増え方はフリーウエイトと大きく変わらず、違うのはバーを安定させる筋肉の使われ方と扱える重量である。セーフティストッパーを毎回合わせ、種目ごとに足や体の位置を調整すれば、1台でスクワットからプレス、ヒップスラストまで全身のメニューを組める。フリーウエイトとの重量比較にこだわらず、スミスマシンの記録を少しずつ伸ばしていくことが続けるうえでのこつである。


出典:Cotterman ML, Darby LA, Skelly WA. Comparison of muscle force production using the Smith machine and free weights for bench press and squat exercises(J Strength Cond Res, 2005)/Saeterbakken AH, van den Tillaar R, Fimland MS. A comparison of muscle activity and 1-RM strength of three chest-press exercises with different stability requirements(J Sports Sci, 2011)/Schick EE, et al. A comparison of muscle activation between a Smith machine and free weight bench press(J Strength Cond Res, 2010)/Schwanbeck S, Chilibeck PD, Binsted G. A comparison of free weight squat to Smith machine squat using electromyography(J Strength Cond Res, 2009)/Schwanbeck SR, et al. Effects of Training With Free Weights Versus Machines on Muscle Mass, Strength, Free Testosterone, and Free Cortisol Levels(J Strength Cond Res, 2020)/Haugen ME, et al. Effect of free-weight vs. machine-based strength training on maximal strength, hypertrophy and jump performance(BMC Sports Sci Med Rehabil, 2023)/Currier BS, et al. ACSM Position Stand: Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults(Med Sci Sports Exerc, 2026)/Keogh JW, Winwood PW. The Epidemiology of Injuries Across the Weight-Training Sports(Sports Med, 2017)/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」筋力トレーニングについて

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