ショルダープレスのやり方 座る・立つ、ダンベルとバーベルの違いと回数を研究で解説
ショルダープレスは、肩の高さから頭の真上へまっすぐ押し上げる肩の基本種目。正しい手順、座って行うか立って行うか、ダンベルとバーベルの違い、回数とセット数の目安、肩を守る注意点を研究で整理した。
ショルダープレスの正しいやり方は、おなかに力を入れて体幹を固め、ダンベルやバーを肩の高さから頭の真上へ、ひじが伸びきる手前までまっすぐ押し上げ、同じ軌道でゆっくり下ろす動きである。初心者は座って行うダンベルショルダープレスで8〜12回×2〜3セットを週2回から始めると、腰を反らす失敗が起きにくい。研究では、立って行うダンベルの形が三角筋の筋活動は最も高く、扱える重量は最も軽かった。
ショルダープレスで鍛えられる筋肉は?
ショルダープレス(Shoulder Press)で主に働くのは、肩を覆う三角筋の前部と中部、腕の裏側の上腕三頭筋で、肩甲骨を動かす僧帽筋や前鋸筋も補助として働く。Camposらの2020年の研究(Journal of Human Kinetics、筋トレ経験のある男性13人、1RMの60%で12回)では、三角筋前部の筋活動はショルダープレスで最大随意収縮の33.3%と、ベンチプレス(21.4%)やサイドレイズ(21.2%)より高かった。三角筋中部はサイドレイズ(30.3%)とショルダープレス(27.9%)が同程度で、ベンチプレス(5%)を大きく上回った。肩の前と横をまとめて鍛えるなら、ショルダープレスは効率のよい種目である。
ショルダープレスの正しいやり方は?
正しいやり方は、次の7つの手順で行うことである。ここでは初心者に向く、座って行うダンベルショルダープレスで説明する。
- ベンチを立てる:背もたれを垂直か、垂直からわずかに倒した角度に設定し、お尻と背中を背もたれにつけて座る。
- ダンベルを肩の高さへ:ダンベルを太ももに乗せ、ひざで押し上げる勢いを借りて肩の高さまで持ち上げる。
- 構える:手のひらを前に向け、ダンベルは耳の横、ひじは手首の真下に置く。ひじは体の真横ではなく、やや前に出す。
- 体幹を固める:足裏で床を押し、息を吸っておなかに力を入れる。肩甲骨を軽く寄せ、胸を張る。
- 真上へ押し上げる:息を吐きながら、ダンベルを頭の真上へ押し上げる。上で左右のダンベルが近づくように、わずかに弧を描く。
- 伸びきる手前で止める:ひじを完全に固めきる手前で止め、肩をすくめない。
- ゆっくり下ろす:2秒ほどかけて、耳の横の高さまで同じ軌道で下ろす。
バーベルで行う場合は、バーを鎖骨の上あたりに構え、顔の前を通して頭の真上へ押し上げる。バーが顔の前を通過したら、頭をわずかに前へ戻してバーの真下に体を入れる。
座る・立つ、ダンベルとバーベルで何が変わる?
立って行うと三角筋の筋活動は高まりやすく、扱える重量は軽くなる。SaeterbakkenとFimlandの2013年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research、健康な男性15人)では、座る・立つ、ダンベル・バーベルの4通りで1RMと筋活動を比べた。三角筋前部の筋活動は、立って行うときバーベルがダンベルより約15%低く、三角筋後部の筋活動は、座ると立つより約25%(バーベル)、約24%(ダンベル)低かった。一方で、立って行うダンベルの1RMは、立って行うバーベルより約7%、座って行うダンベルより約10%低かった。著者らは、最も安定性が求められる「立って・ダンベル」が三角筋の筋活動は最も高く、1RMは最も低かったとまとめている。
- 座ってダンベル:腰を反らしにくく、フォームを覚えやすい。初心者向け。
- 立ってダンベル:体幹を固める力も必要で、三角筋の筋活動が高い。中級者向け。
- 座ってバーベル:重い重量を扱いやすく、筋力の伸びを記録しやすい。
- 立ってバーベル:全身で支える種目になり、扱える重量も大きい。腰を反らさない体幹の強さが前提になる。
よくある間違いとチェックポイントは?
多い間違いは、腰を大きく反らす、肩がすくむ、下ろす深さが足りない、の3つである。
- 腰を大きく反らす:重すぎる重量を上げようとすると、上半身が後ろへ倒れて腰が反る。おなかを固め、反りが大きくなったら重量を下げる。
- 肩がすくむ:押し上げるときに肩が耳に近づくと、首まわりに力が入りやすい。肩は下げたまま、腕だけを上へ伸ばす。
- 下ろす深さが足りない:目の高さまでしか下ろさないと可動域が短くなる。耳の横、肩の高さまで下ろす。
- ひじが真横に開きすぎる:ひじが体の真横で肩より後ろに引かれると、肩の前側に負担がかかる。ひじはやや前に出す。
- 首の後ろに下ろす:バーを首の後ろへ下ろす方法は、肩を大きく外へひねった姿勢になる。初心者は顔の前に下ろす方法を基本にする。
- 左右がそろわない:ダンベルの片方だけ遅れるときは、重量が重すぎる合図。左右同じ高さで動かせる重量を選ぶ。
何kg・何回・何セットが目安?
初心者はフォームを崩さずに12回ほど挙げられる重量で8〜12回×2〜3セットを週2回行うのが目安である。肩はベンチプレスでも前部が使われるため、同じ日に行うならベンチプレスを先に、ショルダープレスを後にする人が多い。種目の順番による回数の変化は種目の順序のレビューで紹介している。ACSMの2026年の指針(Currierらによる137本のシステマティックレビューの総括)は、筋力の向上には1RMの80%以上の負荷、2〜3セット、週2回以上が、筋肥大には週10セット以上が有効だったとしている。
| レベル | 種目 | 回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者(週2回) | 座ってダンベルショルダープレス | 8〜12回 | 2〜3 | 90秒 |
| 初心者(週2回) | サイドレイズ | 12〜15回 | 2 | 60秒 |
| 中級者(週2回) | 立ってバーベルショルダープレス | 5〜8回 | 3〜4 | 2〜3分 |
| 中級者(週2回) | 立ってダンベルショルダープレス | 8〜12回 | 2〜3 | 90秒〜2分 |
| 中級者(週2回) | サイドレイズ | 12〜15回 | 3 | 60秒 |
ダンベルの重量は2kg刻みのことが多く、上げ幅が大きく感じやすい。重量を上げる前に、同じ重量で回数を12回まで増やしてから次の重さへ移ると、フォームを崩さずに進めやすい。セット間の休憩の長さは休憩時間のメタ分析、余力の目安はRPE・RIRの解説が参考になる。
肩を痛めないための注意点は?
肩は筋トレで痛めやすい部位の一つであり、フォームと重量の管理が最も重要な対策になる。Kolberらの2010年のレビュー(Journal of Strength and Conditioning Research)は、筋トレに関連するケガや障害のうち最大36%が肩に起きていると報告し、関節や筋肉のアンバランスと、不適切なフォームを危険因子として挙げた。
- 本番の重量の前に、軽いダンベルで肩を回し、段階的に重量を上げて体を温める。方法はウォームアップの解説を参照。
- 押す種目ばかりにならないよう、背中の引く種目も同じ週に行う。家でもできる引く種目は懸垂ができない人の練習方法で紹介している。
- 腕を上げたときに肩に引っかかる痛みや鋭い痛みが出たら中止する。痛みが続く場合や持病がある場合は医師に相談する。
- 運動中に胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止して休む。
胸の種目のやり方はベンチプレスのやり方、自重の押す種目は腕立て伏せの正しいやり方で解説している。
よくある質問
ショルダープレスは座ると立つ、どちらがいい?
初心者は座って行うほうが腰を反らしにくく、フォームを覚えやすい。Saeterbakkenらの2013年の研究では、立って行うダンベルの形が三角筋の筋活動は最も高かったため、慣れてきたら立って行う形も取り入れるとよい。
ダンベルとバーベル、どちらが効く?
ダンベルは左右を別々に安定させる必要があり、三角筋前部の筋活動が高くなりやすい。バーベルは重い重量を扱いやすく、筋力の伸びを記録しやすい。目的に応じて使い分けるか、両方を組み合わせる。
ショルダープレスで首や肩がこるのはなぜ?
押し上げるときに肩がすくみ、首まわりの筋肉に力が入りすぎていることが多い。肩を下げたまま腕を伸ばす意識を持ち、重量を下げて練習する。痛みが続く場合は医師に相談する。
ひじは伸ばしきってもいい?
上で軽く伸ばすのは問題ないが、勢いよく伸ばしきって関節で重さを支えるのは避ける。伸びきる手前で止め、筋肉で重さを支え続けるほうがひじへの負担が少ない。
初心者は何kgのダンベルから始めればいい?
フォームを崩さずに12回ほど挙げられる重さが出発点である。多くの初心者は片手2〜6kgほどから始める。重さより、耳の横の高さまで下ろして真上へ押し上げる動きをそろえることを優先する。
KINNIKU TIMESの視点
ショルダープレスは、重量を追うほど腰を反らして胸で押す動きに変わりやすい種目である。まずは座ってダンベルで、耳の横まで下ろして頭の真上へ押す軌道を体に覚えさせ、12回をそろえて挙げられるようになってから重さを足す。慣れてきたら立って行う形やバーベルを加え、押す種目と引く種目を同じ週にそろえる。この順番を守ると、肩を守りながら三角筋の前と横を育てていける。
出典:Saeterbakken AH, Fimland MS. Effects of body position and loading modality on muscle activity and strength in shoulder presses(J Strength Cond Res, 2013)/Campos YAC, et al. Different Shoulder Exercises Affect the Activation of Deltoid Portions(J Hum Kinet, 2020)/Kolber MJ, et al. Shoulder injuries attributed to resistance training: a brief review(J Strength Cond Res, 2010)/Currier BS, et al. ACSM Position Stand: Resistance Training Prescription(Med Sci Sports Exerc, 2026)
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