THE MUSCLE NEWSPAPER
KINNIKU TIMES  › 記事

チェストプレスマシンのやり方 シートの高さ・重量・回数の目安を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 11分
ウエイトトレーニング機材
SUMMARY|この記事の要約

チェストプレスマシンの正しい手順と、シートの高さの合わせ方を解説。ベンチプレスとの筋活動の違いや、マシン中心でも筋肉が増えるかを調べた研究をもとに、重量・回数・セット数の目安とメニュー例をまとめた。

チェストプレスマシンの正しいやり方は、ハンドルが胸の中ほど(乳首の高さかやや下)に来るようにシートを合わせ、肩甲骨を寄せて下げた姿勢で背中をパッドにつけたまま、ハンドルを前へ押し出して2〜3秒かけて戻す動きである。軌道が決まっているため、ベンチプレスより短い時間でフォームを覚えやすい。初心者は10〜12回できる重さで2〜3セットを週2回行い、全セットで予定回数をこなせたら1段ずつ重量を上げるのが目安である。

チェストプレスマシンで鍛えられる筋肉は?

チェストプレスマシン(Chest Press Machine)で主に働くのは胸の大胸筋で、肩の前側の三角筋前部、腕の裏側の上腕三頭筋が補助として働く。座ったまま前へ押すが、動きそのものは寝て行うベンチプレスとほぼ同じ「押す」動作である。

ベンチプレスとの違いは研究で比べられている。Coratellaらの2020年の研究(European Journal of Sport Science、競技ボディビルダー10人、1RMの80%)では、胸の中部・下部にあたる大胸筋の胸肋部の筋活動は、ベンチプレスとチェストプレスマシンで同程度だった。一方、胸の上部にあたる鎖骨部の筋活動はチェストプレスマシンで低く、上腕三頭筋と三角筋中部の活動はベンチプレスの各種目のほうが大きかった。著者らは、フリーウエイトのほうが不安定で、それを支える筋肉がよく働くためと説明している。

まとめると、チェストプレスマシンは胸の中部・下部をベンチプレスと同じくらい使え、腕や肩の補助的な働きは少ない種目である。胸の上部も鍛えたい場合は、インクラインの種目を組み合わせるとよい。胸の部位ごとの鍛え分けは大胸筋の筋トレで解説している。

チェストプレスマシンの正しいやり方は?

正しいやり方は、下の7つの手順を毎回同じ順番で行うことである。最初はいちばん軽い重量から動きを確かめる。

  1. シートの高さを合わせる:座ってハンドルを握ったとき、ハンドルが胸の中ほど、乳首の高さかやや下に来る高さにする。高すぎると肩に、低すぎると手首に負担がかかる。
  2. 開始位置を合わせる:ハンドルの開始位置を調整できる機種では、ハンドルを握ったときに胸がほどよく伸び、ひじが体の少し後ろに来る程度にする。引きすぎると肩の前に負担がかかる。
  3. 背中と足を固定する:お尻と背中を背もたれにつけ、足裏を床につける。足で床を軽く踏み、体を安定させる。
  4. 肩甲骨を寄せて下げる:ベンチプレスと同じように、左右の肩甲骨を寄せてお尻の方向へ下げ、胸を軽く張る。
  5. ハンドルを握る:縦と横のハンドルがある機種では、手首がまっすぐになる方を選ぶ。手首は反らせず、手のひらの付け根で押す。
  6. 息を吐きながら押す:1〜2秒かけて前へ押し出す。ひじは伸ばし切る直前で止め、ロックしない。
  7. 2〜3秒かけて戻す:胸がほどよく伸びる位置まで、ゆっくり戻す。おもりが下まで落ちてガシャンと鳴る手前で次の回数に入る。

ひじの開き方は、体側に対して斜め45〜70度くらいが目安である。ひじを肩の高さで真横に張ると、肩を痛めやすい。ベンチプレスの手順と照らし合わせたい場合はベンチプレスのやり方を参照。

よくある間違いとチェックポイントは?

多い間違いは、シートの高さが合っていない、肩がすくんで背中がパッドから離れる、の2つである。

  • ハンドルが肩の高さにある:シートが低すぎてハンドルが肩の高さにくると、肩の前側で押す形になる。ハンドルが胸の中ほどに来るまでシートを上げる。
  • 肩が前に出る:押し切るときに肩が前に出ると、胸から負荷が抜ける。肩甲骨を寄せて下げたまま押す。
  • 背中がパッドから離れる:上体を前へ倒して押すと、体重で押していることになる。背中は最後までパッドにつける。
  • ひじを伸ばし切ってロックする:ひじの関節に負担が集まり、筋肉への負荷も抜ける。伸ばし切る直前で止める。
  • 戻すのが速い:おもりの落ちる勢いで戻すと、筋肉に負荷がかかる時間が短くなる。2〜3秒かけて戻す。
  • 左右で押す力がそろわない:左右が独立して動く機種で片方だけ先に伸びるときは、重すぎるか、片側に頼っている合図である。

重量は何kg・何回・何セットが目安?

初心者は、フォームを崩さずに10〜12回できる重量で2〜3セットから始め、週2回行うのが目安である。チェストプレスマシンはピンを差し替えるだけで重量を変えられるため、少しずつ重くしていく練習に向いている。全セットで12回できたら1段重くし、8回に落ちたら同じ重さで12回に戻るまで続ける。セットの終わりの余力はRPE・RIRの解説が参考になる。

米国スポーツ医学会(ACSM)の2026年の指針(Currierらによる137本のシステマティックレビューの総括、参加者3万人超)は、筋力の向上には1RMの80%以上の重い負荷、全可動域、2〜3セット、週2回以上を、筋肥大には部位ごとに週10セット以上を有効な条件として挙げている。同じ指針は、器具の種類はトレーニングの成果に一貫した影響を与えなかったともまとめている。

レベル 種目 回数 セット 休憩
初心者(週2回) チェストプレスマシン 10〜12回 2〜3 2分
初心者(週2回) ケーブルクロスオーバー 12〜15回 2 90秒
中級者(週2回) ベンチプレス 6〜10回 3 2〜3分
中級者(週2回) チェストプレスマシン 8〜12回 3 2分
中級者(週2回) ダンベルフライ 12〜15回 2 90秒

補助の種目はケーブルクロスオーバーのやり方とダンベルフライのやり方で解説している。

マシンだけで胸の筋肉はつく?

マシン中心のトレーニングでも、筋肉はフリーウエイトと同じように増えると考えてよい。Schwanbeckらの2020年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research、46人、うち女性26人、8週間)では、マシン中心とフリーウエイト中心のどちらのグループでも筋肉の厚さが同じように増えた。マシンでのベンチプレスの筋力は、マシンで練習したグループのほうが大きく伸びた(13.9%対8.6%)。Haugenらの2023年のメタ分析(13研究、1,016人)も、両者を直接比べると筋肥大に差はなく、筋力は練習した器具で測ると伸びやすいとまとめている。詳しくはフリーウエイトとマシンのメタ分析を参照。

ケーブル式との違いもある。Signorileらの2017年の研究(男女15人)では、ウエイトスタック式のチェストプレスマシンに比べ、ケーブルで行うチェストプレスは三角筋前部・上腕二頭筋・腹斜筋の筋活動が大きく、動く範囲も広かった。体を支える必要がない分、ウエイトスタック式は胸に集中しやすいと言える。将来ベンチプレスの重量を伸ばしたいなら、マシンに慣れたあとでバーベルやダンベルの種目も加え、スミスマシンの使い方のような中間の選択肢も活用するとよい。

安全に行うための注意点は?

  • 肩・ひじ・手首に鋭い痛みが出たらその日は中止する。痛みが続く場合や持病がある場合は医師に相談する。
  • 運動中に胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止して休む。重い重量で息を長く止めすぎない。呼吸の考え方は重い重量を挙げるときの呼吸の解説を参照。
  • 前の人の設定のまま使わず、シートの高さと重量を毎回自分に合わせる。

ケガの頻度そのものは高くない。Keoghらの2017年のシステマティックレビュー(Sports Medicine、20研究)は、ウエイトトレーニング系競技のケガの発生率は一般的なチームスポーツより比較的低いとし、ケガの多い部位として肩を挙げている。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しており、胸の種目も週2回を基本にするとよい。ジムに行けない日は腕立て伏せで代わりにできる。

よくある質問

チェストプレスマシンは初心者だと何kgから始めればいい?

フォームを崩さずに10〜12回できる重さが出発点である。機種によって表示の重さと実際の負荷が違うため、数字ではなく回数で選ぶ。全セットで12回できたら1段重くする。

チェストプレスマシンとベンチプレスはどちらがいい?

胸の筋肉を大きくする目的なら、どちらでもよい。研究では胸の中部・下部の筋活動は同程度で、マシンとフリーウエイトの筋肥大にも差はなかった。ベンチプレスの記録を伸ばしたいならベンチプレスも練習する。

シートの高さはどこに合わせればいい?

ハンドルが胸の中ほど、乳首の高さかやや下に来る高さが目安である。ハンドルが肩の高さにあると肩の前側に負担がかかるため、シートを上げて調整する。

チェストプレスマシンで肩が痛くなるのはなぜ?

シートが低くハンドルが肩の高さにある、開始位置で腕を後ろへ引きすぎている、肩が前に出ている、ひじを真横に張っている、のいずれかが多い。設定とフォームを見直し、痛みが続く場合は医師に相談する。

チェストプレスマシンだけで胸は大きくなる?

大きくすることはできる。マシン中心でも8週間で筋肉の厚さはフリーウエイトと同じように増えたという研究がある。胸の上部も鍛えたい場合は、インクラインの種目を加えるとよい。

KINNIKU TIMESの視点

チェストプレスマシンは、軌道が決まっていて補助者もいらないため、胸のトレーニングを始める人にとって扱いやすい種目である。研究では胸の中部・下部の筋活動がベンチプレスと同程度で、マシン中心でも筋肉の増え方はフリーウエイトと変わらなかった。効果を左右するのは器具の種類より、シートの高さを毎回合わせること、肩甲骨を寄せて下げたまま押すこと、そして10〜12回できる重さから少しずつ重量を上げ続けることである。慣れてきたらフライ系の種目やベンチプレスを組み合わせ、胸を違う角度から鍛えるとよい。


出典:Coratella G, et al. Specific prime movers' excitation during free-weight bench press variations and chest press machine in competitive bodybuilders(Eur J Sport Sci, 2020)/Schwanbeck SR, et al. Effects of Training With Free Weights Versus Machines on Muscle Mass, Strength, Free Testosterone, and Free Cortisol Levels(J Strength Cond Res, 2020)/Haugen ME, et al. Effect of free-weight vs. machine-based strength training on maximal strength, hypertrophy and jump performance(BMC Sports Sci Med Rehabil, 2023)/Signorile JF, et al. Differences in Muscle Activation and Kinematics Between Cable-Based and Selectorized Weight Training(J Strength Cond Res, 2017)/Currier BS, et al. ACSM Position Stand: Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults(Med Sci Sports Exerc, 2026)/Keogh JW, Winwood PW. The Epidemiology of Injuries Across the Weight-Training Sports(Sports Med, 2017)/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」筋力トレーニングについて

筋トレに使える無料ツール

MY FITPEAK 無料会員 最新の情報を、素早くお届け。 新しい記事、筋トレ最安ナビの価格更新、FITPEAKの新商品の案内を、いちばんはやく受け取れます。 My FITPEAK に登録する

コメント

この記事について思ったことを書けます。誤解を招くのを避けるため、誘導のある宣伝、他者への中傷、個人情報、法令に反する内容は公開しません。体調や治療に関わる判断は、必ず専門家にご相談ください。