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ハックスクワットのやり方 足の位置・深さ・重量の目安を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 11分
レッグプレスマシンでトレーニングする様子
SUMMARY|この記事の要約

ハックスクワットは、背中を背もたれに密着させたまま深くしゃがみ、足裏全体で押し上げるのが基本。正しい手順、足の位置と深さ、スクワットとの違い、重量・回数・セット数を研究で整理した。

ハックスクワットの正しいやり方は、斜めの背もたれに背中と腰を密着させ、肩パッドの下に入って足を肩幅に置き、ひざをつま先と同じ方向に曲げてできるだけ深くしゃがみ、足裏全体で台を押して立ち上がる動きである。背中が支えられるため、バーベルのスクワットより体幹の負担が小さく、太ももの前(大腿四頭筋)に集中して負荷をかけやすい。初心者は8〜12回×2〜3セットを週1〜2回から始めるのが目安である。

ハックスクワットとは?普通のスクワットとの違いは?

ハックスクワット(Hack Squat)は、斜めに傾いたレールに沿って動く背もたれと肩パッドを使い、立った姿勢からしゃがむマシンの種目である。主に鍛えられるのは太ももの前の大腿四頭筋で、お尻の大殿筋や内ももの内転筋も働く。体の向きはスクワットに近く、足で台を押す点はレッグプレスに近い、その中間の種目といえる。バーベルでの基本はスクワットのやり方と正しいフォーム、座って押すマシンはレッグプレスのやり方で解説している。

普通のスクワットとの大きな違いは、体幹を自分で支える必要が少ないことである。英国スターリング大学のClarkらによる2019年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research、男性10人)では、ハックスクワットのほうがバックスクワットより1RMが大きく扱える重量も重かった一方、同じ相対的な重さで比べると、体幹の筋肉の活動はほぼすべてでバックスクワットのほうが高かった。ハックスクワットは脚に集中して負荷をかけたいとき、バックスクワットは体幹も含めて鍛えたいときに向く、と使い分けられる。

ハックスクワットの正しいやり方は?

正しいやり方は、背中の位置と足の置き方を決めてから、深くしゃがんで足裏全体で押し上げることである。最初はプレートをつけない状態で動きを確かめる。

  1. 背もたれに背中を合わせる:肩パッドの下に入り、背中と腰を背もたれに密着させる。肩パッドが首ではなく肩に乗る位置に立つ。
  2. 足を置く:足を肩幅に開き、台の中央付近に置く。つま先はやや外向きでよい。
  3. ストッパーを外す:足で台を押して少し持ち上げ、レバーを回してストッパーを外す。外す位置はマシンごとに異なるので、事前に確かめる。
  4. 息を吸っておなかを固める:おなか周りに力を入れ、背中と腰が背もたれから離れないようにする。
  5. 深くしゃがむ:ひざをつま先と同じ方向へ曲げ、2〜3秒かけてしゃがむ。太ももが台と平行かそれより深くなるのが目安で、腰が背もたれから浮く手前で止める。
  6. 足裏全体で押し上げる:かかとが浮かないよう、足裏全体で台を押して立ち上がる。
  7. ひざを伸ばしきらずに次の回へ:立ち上がったときにひざを強く伸ばしきって固めない。軽く曲がった状態で次の回に入る。
  8. ストッパーをかけて終える:最後の回で立ち上がったら、ストッパーを確実に戻してから肩パッドの下を出る。

足の位置で効く場所は変わる?

足を台の低い位置に置くほどひざが前に出て太ももの前を多く使い、高い位置に置くほど股関節の曲がりが大きくなり、お尻や太ももの裏も使いやすくなる。ただし、ハックスクワットそのもので足の位置を比べた研究は限られる。参考になるのは、米国のEscamillaらによる2001年の研究(Medicine & Science in Sports & Exercise、経験のある男性10人)で、スクワットとレッグプレスを足の位置や幅を変えて比べたところ、レッグプレスで足を台の高い位置に広く置くと、狭く置いたときより太ももの裏の活動が大きくなり、つま先の向きを変えても筋肉の活動やひざにかかる力に差はなかった。ひざにかかる力はひざを深く曲げるほど大きくなることも示されている。

実践では、まず台の中央・肩幅を基本にし、太ももの前を狙いたい日はやや低め、ひざに不安がある場合はやや高めにして、ひざとつま先の向きをそろえることを優先するとよい。ひざに痛みがある人は、深さを浅くして様子を見る。

よくある間違いとチェックポイントは?

  • 腰やお尻が背もたれから浮く:深くしゃがみすぎると骨盤が丸まり、腰が浮きやすい。腰が浮く手前を下の位置にする。
  • かかとが浮く:足を低く置きすぎるとかかとが浮き、ひざへの負担が増える。足の位置を少し上げる。
  • ひざが内側に入る:立ち上がるときにひざがつま先より内側へ入らないよう、つま先と同じ方向に向ける。
  • 浅いしゃがみで重量だけを増やす:重すぎて浅くしか動けないなら、重量を下げて深さを確保する。
  • ひざを勢いよく伸ばしきる:立ち上がりでひざを強く固めると関節に負担がかかる。軽く曲げたまま止める。
  • 下で反動を使う:一番下で弾むように切り返すと、狙った筋肉から負荷が逃げる。下でいったんコントロールしてから押し上げる。

どこまで深くしゃがむべき?

ひざや腰に問題がなければ、太ももが台と平行かそれより深くしゃがむのが目安である。東京大学のKuboらによる2019年の研究(European Journal of Applied Physiology、男性17人)では、深くしゃがむフルスクワットと浅いハーフスクワットを10週間続けたところ、太ももの前の筋肉の増え方は同程度だったが、お尻と内ももの筋肉はフルスクワットのほうが大きく増えた。詳しくはスクワットの深さを比べた研究で解説している。

スペインのPallarésらによる2020年の研究(European Journal of Sport Science、筋トレ経験のある男性53人)でも、10週間の練習で筋力と運動能力が最も伸びたのはフルスクワットのグループで、ハーフスクワットのグループは伸びが小さく、痛みやこわばりの訴えが増えた。いずれもバーベルのスクワットでの結果だが、深くしゃがめる範囲を使うことの利点は、ハックスクワットにも当てはめやすい。

重量・回数・セット数の目安は?

初心者は、正しいフォームで12回ほどできる重量で8〜12回×2〜3セットを週1〜2回行うのが目安である。ブラジルのKassianoらによる2025年の研究(Research Quarterly for Exercise and Sport、若い女性70人)では、毎回レッグプレスとスティッフレッグデッドリフトを行うグループと、ハックスクワットやスミスマシンスクワットなどに日ごとに種目を変えるグループを10週間比べ、どちらも10〜15回×2セットで、太ももの筋肉の厚さ(7.5〜19.3%増)と1RMの伸びは同程度だった。ハックスクワットは、ほかの脚の種目と入れ替えて使っても成果を得やすい種目といえる。

レベル 種目 回数 セット 休憩
初心者(週1〜2回) ハックスクワット 10〜12回 2〜3 2分
初心者(週1〜2回) レッグカール 10〜12回 2 90秒
中級者(週2回) ハックスクワット(重い日) 6〜8回 3〜4 2〜3分
中級者(週2回) ハックスクワット(下で1秒止める) 10〜12回 3 2分
中級者(週2回) ブルガリアンスクワット 左右各8〜10回 3 90秒

ACSMの2026年の指針(Currierらによる137本のシステマティックレビューの総括)は、筋力の向上には1RMの80%以上の負荷を完全な可動域で行うこと、筋肥大には1つの筋肉あたり週10セット以上の量が有効だったとしている。太もも全体の種目の組み合わせ方は太もも前の筋トレ、マシンとフリーウエイトの違いはフリーウエイトとマシンを比べたメタ分析が参考になる。片脚種目を組み合わせるならブルガリアンスクワットのやり方も読みたい。

安全に行うための注意点は?

  • ストッパーの外し方と戻し方を、重量をつける前に確かめる。動けなくなったときに止められる位置にストッパーを設定できるマシンなら、必ず設定してから行う。
  • 本番の重量の前に、軽い重量で数セット行って体を温める。
  • ひざや腰に鋭い痛みが出たら中止する。ひざや腰に持病がある場合は、始める前に医師に相談する。
  • 重い重量で息を長く止めると血圧が上がりやすい。運動中に胸の痛み、息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止して休む。

床から重量を持ち上げる種目で太ももの前とお尻をまとめて鍛えたい場合は、トラップバーデッドリフトのやり方もあわせて読みたい。

よくある質問

ハックスクワットとレッグプレスはどちらがいい?

どちらも太ももの前を中心に鍛えられるマシン種目で、優劣より使い分けが大切である。ハックスクワットは立った姿勢でしゃがむため動きがスクワットに近く、レッグプレスは座って押すため腰への負担を抑えやすい。好みや体の状態に合わせて選ぶか、日ごとに入れ替えてもよい。

ハックスクワットでひざが痛くなるのはなぜ?

足を低く置きすぎてかかとが浮いている、ひざが内側に入っている、重量が重すぎる、といった原因が多い。足の位置を少し上げ、ひざとつま先の向きをそろえ、重量を下げる。痛みが続く場合は中止して医師に相談する。

バーベルのスクワットの代わりになる?

脚の筋肉を鍛える点では代わりになりうるが、体幹の筋肉の活動はバーベルのスクワットのほうが高かったという研究がある。脚に集中したいときはハックスクワット、体幹も含めて鍛えたいときはスクワット、と使い分けるとよい。

重量はスクワットより重くしていい?

背中が支えられるため、多くの人はバーベルのスクワットより重い重量を扱える。ただしマシンごとにそりの重さや角度が違うため、スクワットの重量から換算せず、そのマシンで正しく12回ほどできる重量から始める。

週に何回やればいい?

初心者は週1〜2回が目安である。同じ週にスクワットやレッグプレスも行う場合は、太ももの前の合計セット数が多くなりすぎないよう調整する。

KINNIKU TIMESの視点

ハックスクワットは、背中を支えてもらえる分、脚だけに集中して深くしゃがめる種目である。その長所を生かすには、重量を増やすことより、腰が背もたれから浮かない範囲でできるだけ深くしゃがむことを優先したい。足の位置は台の中央・肩幅を基本に、ひざとつま先の向きをそろえる。ストッパーの扱いを確かめてから始めることも、マシン種目を安全に続けるための基本である。


出典:Clark DR, et al. Trunk Muscle Activation in the Back and Hack Squat at the Same Relative Loads(J Strength Cond Res, 2019)/Escamilla RF, et al. Effects of technique variations on knee biomechanics during the squat and leg press(Med Sci Sports Exerc, 2001)/Kubo K, et al. Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes(Eur J Appl Physiol, 2019)/Pallarés JG, et al. Full squat produces greater neuromuscular and functional adaptations and lower pain than partial squats(Eur J Sport Sci, 2020)/Kassiano W, et al. Muscle Hypertrophy and Strength Adaptations to Systematically Varying Resistance Exercises(Res Q Exerc Sport, 2025)/Currier BS, et al. ACSM Position Stand: Resistance Training Prescription(Med Sci Sports Exerc, 2026)

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