部分痩せはできる?お腹・二の腕・太ももの研究で分かったことと現実的な進め方
お腹や二の腕、太ももの脂肪を、その場所の筋トレで狙って落とせるのか。13研究のメタ分析、部位別の試験、反対の結果を示した研究まで読み比べ、気になる部位を変えたいときに何をすればよいかを整理した。
鍛えた部位の脂肪だけが優先して減る「部分痩せ」は、研究全体を見る限りはっきりした効果は確認されていない。13研究・1,158人のメタ分析では、鍛えた部位と鍛えていない部位の脂肪の減り方に差がなかった。部分的な効果を示した小規模な試験もあるが、結論を変えるほどの根拠ではない。気になる部位を変えたいなら、食事と全身の運動で体脂肪全体を減らしつつ、その部位の筋肉を鍛えて形を整えるのが現実的である。どこから脂肪が減るかには個人差があり、狙った場所が先に細くなるとは限らない。
部分痩せは研究でどう確かめられてきた?
部分痩せの研究では、片方の腕や脚だけを鍛え、鍛えた側と鍛えていない側の脂肪を比べる方法がよく使われる。同じ人の左右で比べるので、食事や体質の違いの影響を受けにくい。ラミレス=カンピージョらの2022年のメタ分析(Human Movement)は、こうした研究13本・37の比較、14〜71歳の1,158人をまとめた。37の比較のうち17は鍛えた側、20は鍛えていない側の方が脂肪の減りが大きく、全体の効果量はほぼゼロ(g=−0.03)だった。著者らは、部位を絞った筋トレが、その部位の脂肪に影響したとは言えないと結論している。この研究が話題になった経緯は「脚やせ筋トレ」と部分やせの記事でも紹介している。
お腹の脂肪は腹筋運動で落ちる?
腹筋運動だけでお腹の脂肪が落ちたとは言いにくい。ヴィスピュートらの2011年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research)では、運動習慣のない24人が7種類の腹筋運動を10回×2セット、週5日、6週間続けた。食事を維持した条件で、体脂肪率、お腹の脂肪量、腹囲、お腹の皮下脂肪厚に有意な変化はなかった。
一方、お腹で部分的な効果を示した試験もある。ブロバッケンらの2023年の試験(Physiological Reports)では、太り気味の男性16人が10週間、ランニングに腹筋とひねりの筋トレを組み合わせる群と、同じくらいのエネルギーをランニングだけで使う群に分かれた。全身の脂肪の減り方は同程度だったが、胴体の脂肪は組み合わせ群で約1,170g(7%)減り、ランニング群は変わらなかった。パオリらの2021年の試験(International Journal of Environmental Research and Public Health)でも、14人を比べた8週間の試験で、有酸素と筋トレを組み合わせたサーキットの群でお腹の皮下脂肪が減った。ただ、どちらも参加者が20人未満と少ない。お腹を引き締める筋トレの組み方は腹筋を割る方法と腹筋の鍛え方で解説している。
二の腕や太ももはどうか?
二の腕でも、太ももでも、鍛えた側だけ脂肪が減るという結果は得られにくい。コステックらの2007年の研究(Medicine & Science in Sports & Exercise)では、男女104人が利き腕でない方の腕だけを12週間鍛えた。皮膚をつまむ測定では男性の鍛えた腕で皮下脂肪が減ったが、腕全体を写せるMRIでは、鍛えた腕と鍛えていない腕で差はなく、脂肪は全身から同じように減っていた。著者らは、測り方によって結果が変わることを指摘している。
太ももでは、ラミレス=カンピージョらの2013年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research)が、11人に片脚だけで軽いレッグプレスを1回960〜1,200回、週3回、12週間行わせた。全身の脂肪量は5.1%減ったが、鍛えた脚の脂肪は有意に変わらず、減ったのは腕(10.2%)と胴体(6.9%)だった。二の腕を鍛える種目は上腕三頭筋の鍛え方、脚とお尻は自重で脚とお尻を鍛える筋トレが参考になる。
「部分痩せは起きる」とする研究はある?
局所で脂肪の分解が高まることを示した研究はある。ストールクネヒトらの2007年の研究(American Journal of Physiology)では、健康な男性10人が片脚で膝を伸ばす運動を行うと、動かしている脚の太ももの皮下脂肪では、休んでいる脚より血流と脂肪の分解が全体として高かった。スコット・ディ・パルンボらの2017年の試験(Journal of Sports Medicine and Physical Fitness)では、女性16人を上半身の筋トレ+自転車の群と、下半身の筋トレ+腕で回すエルゴメーターの群に分け、8週間続けた。上半身の筋トレ群は腕の脂肪の減りが脚より大きく(−12.1%対−4.0%)、下半身の筋トレ群は脚の減りが腕より大きかった(−11.5%対−2.3%)。
ただし、これらは参加者が少なく、脂肪の分解が一時的に高まることと、見た目が変わるほど脂肪が減ることは同じではない。研究全体をまとめたメタ分析で効果が見られなかった以上、「その部位を鍛えれば、そこから痩せる」と期待して計画を立てるのは避けた方がよい。
気になる部位を変えたいときの進め方は?
体脂肪全体を減らしながら、その部位の筋肉を育てて形を整える、という2本立てで考える。手順は次のとおり。
- 気になる部位の周径(腹囲・二の腕・太もも)と体重を、同じ時間帯・同じ位置で測る。写真も同じ角度で撮っておく。
- 食事量を少し減らし、体重が週に体重の0.5〜1%程度減るペースを目安にする。
- 早歩きや自転車などの有酸素運動を、週150分以上を目安に少しずつ増やす。
- 筋トレは週2〜3回、全身の種目を中心に、気になる部位の種目を2〜3種目加える。
- 2〜4週間ごとに周径と体重の平均を見直し、変化がなければ食事か活動量を少し調整する。
米国スポーツ医学会(ACSM)の2024年の合意声明は、体重を減らし増加を防ぐには中強度の身体活動を少なくとも週150分まで段階的に増やすことを示し、特定の運動の種類が他より優れているという根拠はないとしている。筋トレが体脂肪の減少にどう関わるかは筋トレと内臓脂肪の研究や週1回の運動と体脂肪の試験でも紹介している。
| レベル | 種目 | 回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者 | スクワット(Squat) | 10〜12回 | 3 | 90秒 |
| 初心者 | 腕立て伏せ(Push-up、膝つき可) | 8〜15回 | 2〜3 | 60〜90秒 |
| 初心者 | 気になる部位の種目(例:クランチ) | 10〜15回 | 2 | 60秒 |
| 初心者 | 早歩き | 30分 | 週5日 | ― |
| 中級者 | ブルガリアンスクワット | 左右各8〜12回 | 3 | 90秒 |
| 中級者 | ダンベルロウ(Dumbbell Row) | 8〜12回 | 3 | 90秒 |
| 中級者 | 気になる部位の種目(例:オーバーヘッドエクステンション) | 10〜15回 | 3 | 60〜90秒 |
| 中級者 | ジョギングまたは自転車 | 30〜40分 | 週3〜4日 | ― |
お腹まわりはどう測ればいい?
腹囲は、立った姿勢で軽く息を吐いたときに、おへその高さで測るのが目安である。これは厚生労働省がメタボリックシンドロームの診断基準で示している測り方で、同じ基準では腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪がたまっている目安の一つとしている。見た目を整えたい場合も、同じ測り方で月に1〜2回測り、数字の上下より数か月単位の流れを見るとよい。
よくある間違いとチェックポイントは?
- 気になる部位の運動だけを長時間続ける:筋持久力は伸びるが、脂肪の減少は全身の活動量と食事の影響が大きい。
- 短期間で一部だけ細くしようとする:脂肪がどこから減るかは人によって違う。数か月単位で全体の変化を見る。
- 皮膚をつまむ測定だけで判断する:測り方で結果がずれることが研究でも示されている。周径や写真と組み合わせる。
- 食事を極端に減らす:筋肉も落ちやすく、体調を崩す原因になる。
- 筋肉がつくと太くなると心配して筋トレを避ける:筋肉は部位の形を整える役割があり、全身の減量中に筋肉を残す助けにもなる。
減量で注意することは?
持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中・産後の人は、食事制限や運動を始める前に医師に相談してほしい。お腹まわりが急に大きくなった、脚の片側だけがむくむといった変化は、脂肪ではなく病気が原因のこともあるため、自己判断せず医療機関で確認する。運動中に関節の痛みが出たら中止し、胸の痛みや息苦しさ、めまいを感じたときはすぐに運動をやめ、続く場合は医療機関を受診する。
よくある質問
部分痩せは本当にできない?
研究全体を見る限り、鍛えた部位の脂肪が優先して減る効果ははっきりしない。13研究・1,158人のメタ分析では効果量がほぼゼロだった。部分的な効果を示した小規模な試験もあるが、それを前提に計画を立てるのは勧められない。
お腹から痩せたいときは何をすればいい?
食事と全身の運動で体脂肪全体を減らしつつ、腹筋を鍛えて形を整える。6週間・週5日の腹筋運動だけではお腹の脂肪が変わらなかった研究がある。
二の腕を細くしたいなら筋トレは逆効果?
逆効果とは言えない。二の腕の筋トレでその場所の脂肪だけが減るわけではないが、三頭筋を鍛えると腕の形は整いやすい。脂肪は全身の減量で減らす。
脂肪はどこから減る?
どこから減るかは人によって違い、狙った場所から減るとは限らない。片脚だけを鍛えた試験では、減ったのは鍛えた脚ではなく腕と胴体の脂肪だった。
マッサージや振動で部分痩せはできる?
この記事で取り上げた研究は運動を対象にしたもので、マッサージや機器の効果は評価していない。気になる場合は医療機関で相談してほしい。
KINNIKU TIMESの視点
「その部位を鍛えれば、そこから痩せる」という考え方は、研究全体では支持されていない。気になる部位があるときは、食事と全身の運動で体脂肪全体を減らし、その部位の筋肉を鍛えて形を整える2本立てで考えたい。脂肪がどこから減るかは選べないが、全体の脂肪が減るにつれて、気になる部位にも変化が出てくるかどうかを確かめていけばよい。数か月単位で周径と写真を見比べ、腕や肩など上半身の筋肉づくりとも組み合わせて、全身のバランスを整えていくのが現実的である。
出典:Ramirez-Campillo R et al. Human Movement. 2022/Vispute SS et al. J Strength Cond Res. 2011/Brobakken MF et al. Physiol Rep. 2023/Paoli A et al. Int J Environ Res Public Health. 2021/Kostek MA et al. Med Sci Sports Exerc. 2007/Ramírez-Campillo R et al. J Strength Cond Res. 2013/Stallknecht B et al. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2007/Scotto di Palumbo A et al. J Sports Med Phys Fitness. 2017/Jakicic JM et al. ACSM Consensus Statement. Med Sci Sports Exerc. 2024/厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」
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