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腹筋を割る方法 体脂肪率の目安・減量ペース・腹筋の鍛え方を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 11分
ジムでトレーニングをする男性のモノクロ写真
SUMMARY|この記事の要約

腹筋の「割れ目」は生まれつきある腱の線で、見えるかどうかはお腹の脂肪しだいである。体脂肪率の目安に根拠はあるのか、減量ペースやたんぱく質量、腹筋の鍛え方、低すぎる体脂肪の健康リスクまで研究で整理した。

腹筋を割って見せるには、腹直筋を鍛えて厚みをつけることと、お腹の表面をおおう皮下脂肪を減らすことの2つが要る。割れ目そのものは「腱画(けんかく)」という生まれつきの腱の線で、多くの人にすでにある。何%になれば割れて見えるという研究上の基準はなく、見え方には脂肪のつき方や筋肉の厚みの個人差が大きい。現実的な進め方は、体重の週0.5〜1%を目安にゆっくり減量しつつ、全身の筋トレと腹筋種目を続けることである。

腹筋が割れて見える仕組みは?

腹筋の割れ目は、腹直筋を横切る腱画が皮膚の上から浮き出て見えたものである。腹直筋はみぞおちから恥骨まで縦に走る筋肉で、その途中を数本の腱画が横に区切っている。アニタらの2015年の解剖研究(Journal of Clinical and Diagnostic Research)では、54体のうち52体(96.29%)で腱画が3本、4本と5本が各1体だった。腱画の数や位置、左右のずれは生まれつき決まっており、トレーニングで増やしたり、位置をそろえたりすることはできない。いわゆる「シックスパック」に見えるか「エイトパック」に見えるか、左右が互い違いになるかは、鍛え方ではなく体のつくりの違いである。

一方で、腱画のあいだにある筋肉のふくらみは鍛えることで厚くできる。筋肉に厚みがあるほど、腱画との段差がはっきりする。つまり「割る」作業の中身は、筋肉の段差を大きくすることと、その上の脂肪の層を薄くすることの2つに分けて考えるとよい。

体脂肪率は何%なら腹筋が見える?

「男性は〇%、女性は〇%で割れる」と示した信頼できる研究は見当たらない。脂肪がどこにつきやすいかは人によって違い、同じ体脂肪率でもお腹に脂肪が多い人と少ない人がいる。さらに体脂肪率は、体組成計、DXA法など測る方法によって数値がずれる。数字を目標にするより、同じ条件で測った腹囲と鏡や写真での見え方の変化を追う方が実用的である。

参考になるのは、大会に出るボディビルダーの記録である。ロッソウらの2013年の症例研究(International Journal of Sports Physiology and Performance)は、薬物を使わない男性選手1人を大会前後の1年間追跡した。体脂肪率は6か月の減量で14.8%から4.5%まで下がったが、その間に安静時の心拍数は53拍から27拍に、テストステロンは9.22から2.27 ng/mLに下がり、気分の乱れを示す点数は6から43に悪化した。筋力も落ち、大会後6か月たっても完全には戻らなかった。舞台に立つための極端な数値は、長く保つ目標には向かない。大会後の体の戻り方はナチュラル選手の減量後の追跡研究でも紹介している。

腹筋運動だけでお腹は割れる?

腹筋運動だけでお腹の脂肪が十分に減るとは言いにくい。ヴィスピュートらの2011年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research)では、運動習慣のない24人のうち腹筋群が7種類の腹筋運動を10回×2セット、週5日、6週間続けたが、食事を維持した条件では体脂肪率、腹部の脂肪、腹囲、腹部の皮下脂肪厚に有意な変化はなかった。上体起こしの回数は腹筋群47回、対照群32回と、筋持久力ははっきり伸びていた。

反対の結果もある。ブロバッケンらの2023年の試験(Physiological Reports)では、太り気味の男性16人を、ランニングに腹筋とひねりの筋トレを組み合わせる群と、同じくらいのエネルギーをランニングだけで使う群に分けて10週間比べた。全身の脂肪の減り方は同程度だったが、胴体の脂肪は組み合わせ群で約1,170g(7%)減り、ランニング群は変わらなかった。ただし対象は16人と少なく、13研究をまとめたメタ分析では鍛えた部位の脂肪が優先して減る効果は確認されていない。研究の全体像は部分痩せの研究を検証した記事にまとめた。腹筋種目は「割る」ための筋肉づくりとして入れ、脂肪を減らす主な手段は食事と全身の活動量と考えるのが堅実である。

体脂肪を落として腹筋を出す手順は?

体脂肪は、使うエネルギーより食べるエネルギーを少なくする期間を作ることで減る。筋肉をなるべく残しながら進めるための手順は次のとおり。

  1. スタート時の体重と腹囲を測る。朝のトイレ後など条件をそろえ、腹囲はおへその高さで、息を軽く吐いたときに測る。お腹の写真も同じ光と角度で撮っておく。
  2. 食事量を少し減らし、体重が週に体重の0.5〜1%減るペースを目安にする。体重70kgなら週0.35〜0.7kgである。
  3. 毎食たんぱく質源(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品)を入れ、1日の総量を体重1kgあたり約1.6gを目安に確保する。
  4. 筋トレは週2〜3回、スクワットやベンチプレス、ローイングなど全身の種目を中心に、腹筋種目を2〜3種目加える。
  5. 早歩きなど中強度の有酸素運動を週150分以上を目安に積み上げる。
  6. 2週間ごとに体重と腹囲の平均を見直す。減っていなければ食事量か活動量を少し調整し、急に大きく減らさない。

減量ペースの目安は研究にもとづく。ヘルムスらの2014年のレビュー(Journal of the International Society of Sports Nutrition)は、ボディビルの減量期に筋肉を残すには週に体重の約0.5〜1%の減少が目安だとしている。ガルテらの2011年の試験(International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism)では、週4回の筋トレを続けるエリート選手24人を、ゆっくり減らす群(週約0.7%)と速く減らす群(週約1.0%)に分けた。体重は両群とも約5.5%減ったが、除脂肪量はゆっくり群で2.1%増え、速い群では変わらなかった。たんぱく質については、モートンらの2018年のメタ分析(49研究・1,863人)で、筋トレに伴う除脂肪量の増加は1日体重1kgあたり約1.62gを超えるとそれ以上伸びなかった。減量中にも筋肉が増えた試験は高たんぱく食と減量の比較試験で紹介している。

有酸素運動については、米国スポーツ医学会(ACSM)の2024年の合意声明が、体重の減量と増加予防には中強度の身体活動を少なくとも週150分まで段階的に増やすことを示し、効果は量に応じて大きくなるとしている。特定の運動の種類が他より優れているという根拠はないとも述べており、続けやすい方法を選んでよい。「運動後も脂肪が燃え続ける」効果の大きさはアフターバーン効果の検証記事で数字を確かめている。

腹筋そのものはどう鍛える?

腹直筋の段差をはっきりさせるには、腹筋も他の筋肉と同じように、10〜15回で限界に近づく負荷をかけ、慣れたら負荷を上げることが基本になる。毎日100回の自重クランチより、ケーブルクランチのように重さを足せる種目や、ハンギングニーアップのように難しい種目へ進める方が負荷を管理しやすい。種目の選び方とフォームは腹筋の鍛え方ガイド、体幹を固める練習はプランクのやり方、道具なしで組む場合は自重の腹筋メニューが参考になる。

レベル 種目 回数 セット 休憩
初心者 スクワット(Squat) 8〜12回 3 90〜120秒
初心者 腕立て伏せ(Push-up) 8〜15回 2〜3 60〜90秒
初心者 クランチ(Crunch) 10〜15回 2 60秒
初心者 プランク(Plank) 20〜40秒 2 45〜60秒
中級者 ベンチプレス(Bench Press) 6〜10回 3 2〜3分
中級者 ケーブルクランチ(Cable Crunch) 10〜15回 3 60〜90秒
中級者 ハンギングニーアップ(Hanging Knee-Up) 8〜12回 3 60〜90秒
中級者 サイドプランク(Side Plank) 左右各30〜40秒 2〜3 60秒

表は1回分の例で、週2〜3回、中1日以上あけて行う。全身の種目を先に、腹筋種目を最後に置くと、重い種目で体幹の力が残っている状態を保ちやすい。種目の並べ方は筋トレの順番の解説を参照してほしい。

よくある間違いとチェックポイントは?

  • 腹筋運動の回数だけを増やしている:筋持久力は伸びるが、脂肪の減少は食事と全身の活動量で決まる部分が大きい。
  • 体重を一気に落とそうとする:速い減量は筋肉が残りにくく、反動で食べすぎやすい。週に体重の0.5〜1%を上限の目安にする。
  • 体脂肪率の数字に振り回される:測定法で数値はずれる。同じ条件の腹囲と写真で変化を見る。
  • たんぱく質が少ない:減量中ほど不足しやすい。毎食に1品は入れる。
  • 腱画の形を変えようとする:数や左右差は生まれつきで、鍛え方では変わらない。
  • 睡眠を削っている:睡眠不足は筋肉づくりを妨げる。筋たんぱく合成への影響は徹夜と筋たんぱく合成の研究で紹介している。

減量で注意することは?

体脂肪を減らしすぎること自体に健康上のリスクがある。国際オリンピック委員会(IOC)の2023年の合意声明は、運動量に対して食事のエネルギーが足りない状態が続くと、男女ともにホルモン、骨、免疫、気分、運動能力などに悪影響が出る「REDs(相対的エネルギー不足)」が起きうるとしている。ヘルムスらのレビューも、見た目を競う競技では摂食障害や体のイメージの問題のリスクが高まると注意している。食事のことばかり考えてしまう、月経が止まる、疲れが抜けない、気分の落ち込みが続くといった変化があれば減量を中断し、医師に相談してほしい。持病がある人や薬を飲んでいる人は、食事制限を始める前に医師に相談する。運動中に胸の痛みや息苦しさ、めまいを感じたらすぐに中止し、続く場合は医療機関を受診する。

よくある質問

腹筋が割れるまでどのくらいかかる?

スタート時の脂肪の量と減量ペースで大きく変わるため、期間は約束できない。週に体重の0.5〜1%の減量を続け、腹囲と写真の変化を2週間ごとに確認するのが現実的である。筋トレの効果が出る時期の目安は筋トレの効果はいつから出るかで解説している。

腹筋は毎日やらないと割れない?

毎日は必要ない。腹筋も他の筋肉と同様、週2〜3回、負荷を上げながら行えば十分に鍛えられる。脂肪を減らす面では、腹筋の回数より食事と全身の活動量の影響が大きい。

女性でも腹筋は割れる?

女性にも腱画はあり、腹直筋も鍛えられる。ただし女性は男性より体脂肪が多い体のつくりで、極端に脂肪を減らすと月経が止まるなどのリスクがある。見た目よりも体調を優先し、異変があれば医師に相談してほしい。

体脂肪率は何%を目指せばいい?

腹筋が見える体脂肪率を定めた研究上の基準はない。測定法による誤差も大きいため、数字ではなく腹囲と見た目の変化を目安にするとよい。大会向けの極端に低い体脂肪は、心拍数やホルモンの低下を伴った記録があり、長く保つ目標には向かない。

有酸素運動と筋トレはどちらが先?

研究では筋肥大や最大筋力は順番で大きく変わらないとする報告が多い。筋トレの質を保ちたいなら筋トレを先にし、有酸素は後か別の日に行うと組みやすい。詳しくは筋トレと有酸素の順番のレビューを参照。

KINNIKU TIMESの視点

腹筋を割る作業は、腱画という生まれつきの線を「出す」作業である。腹直筋は週2〜3回、負荷を上げながら鍛え、脂肪は食事を中心に週0.5〜1%のペースで少しずつ減らす。腹筋運動だけに頼らず、全身の筋トレと日々の活動量を合わせたい。数字の目標より体調と続けやすさを優先し、見た目の変化には個人差があることを前提に、腹囲と写真で経過を確かめていくのが堅実である。肩や腕など上半身の見た目も整えたい場合は肩幅を広くする筋トレも参考にしてほしい。


出典:Anita et al. J Clin Diagn Res. 2015/Rossow LM et al. Int J Sports Physiol Perform. 2013/Vispute SS et al. J Strength Cond Res. 2011/Brobakken MF et al. Physiol Rep. 2023/Helms ER et al. J Int Soc Sports Nutr. 2014/Garthe I et al. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2011/Morton RW et al. Br J Sports Med. 2018/Jakicic JM et al. ACSM Consensus Statement. Med Sci Sports Exerc. 2024/Mountjoy M et al. IOC consensus statement on REDs. Br J Sports Med. 2023/Ramirez-Campillo R et al. Human Movement. 2022

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