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腹筋の鍛え方 腹直筋・腹斜筋・体幹を自宅とジムで鍛える種目と回数を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 9分
トレーニングをする人
SUMMARY|この記事の要約

腹筋は「丸める・ひねる・固める」の3つの動きで鍛え分ける。クランチやプランクなど自宅種目とジム種目の手順、回数・セットの目安、腹筋運動だけではお腹の脂肪が減らなかった研究の中身まで、根拠つきで整理した。

腹筋を鍛えるには、腹直筋を「丸める」種目、腹斜筋を「ひねる・横に耐える」種目、体幹全体を「固める」種目を組み合わせ、週2〜3回、1種目10〜15回×2〜3セットから始めるのが基本である。ただし、腹筋運動だけでお腹の脂肪が減るわけではない。6週間の腹筋運動で腹部の脂肪に変化がなかった研究があり、見た目を変えたいなら全身の運動と食事の見直しを並行させる必要がある。

腹筋はどの筋肉を鍛えればいい?

鍛える対象は、腹直筋・腹斜筋(外腹斜筋と内腹斜筋)・腹横筋の3つに分けて考えると分かりやすい。腹直筋はみぞおちから恥骨まで縦に走る筋肉で、背骨を前に丸める働きを持つ。いわゆる「シックスパック」に見えるのがこの筋肉である。腹斜筋は脇腹にあり、体をひねる・横に倒す動きと、ひねられないよう踏ん張る働きを担う。腹横筋はいちばん深い層にあり、お腹まわりを帯のように締めて胴体を安定させる。

この3つは役割が違うため、1種目だけでは偏りが出やすい。クランチのように「丸める」種目、サイドプランクやケーブルを使った「ひねりに耐える」種目、プランクのように「固める」種目を組み合わせるのが実践的である。

腹筋運動だけでお腹は凹む?

腹筋運動だけでお腹の脂肪が落ちるとは言えない。ヴィスピュートらの2011年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research)では、運動習慣のない成人24人を2群に分け、一方に7種類の腹筋運動を10回×2セット、週5日、6週間行わせた。食事のカロリーは両群とも維持した。その結果、体重・体脂肪率・腹部の脂肪量・腹囲・腹部の皮下脂肪厚のいずれにも有意な変化はなかった。一方で、上体起こしの回数は腹筋群が47回、対照群が32回と、筋持久力ははっきり伸びていた。

部分的に鍛えた場所の脂肪だけが減る「部分やせ」が起きにくいことは、脚を使った研究でも確かめられている。ラミレス=カンピージョらの2013年の研究では、11人が片脚だけで12週間レッグプレスを続けたところ、全身の脂肪量は5.1%減ったが、鍛えた脚の脂肪は有意に減らず、減ったのは腕や胴体だった。詳しくは「脚やせ筋トレ」と部分やせの研究で解説している。腹筋運動は筋肉を育て、体幹を強くする手段であり、お腹の脂肪を減らすには全身の活動量と食事の調整が必要になる。

自宅でできる腹筋の正しいやり方は?

自宅では、クランチ(Crunch)、リバースクランチ(Reverse Crunch)、プランク(Plank)、サイドプランク(Side Plank)の4種目で3つの役割をひと通りカバーできる。基本となるクランチの手順は次のとおり。

  1. あお向けに寝て膝を約90度に曲げ、足裏を床につける。手は胸の前で組むか、耳の横に軽く添える。
  2. 息を吐きながら、みぞおちを恥骨に近づけるイメージで背中を丸め、肩甲骨が床から浮くところまで上体を起こす。
  3. 上で1秒止め、お腹が縮んでいることを感じる。
  4. 2〜3秒かけてゆっくり戻す。頭を床に完全に落とさず、次の回に入る。
  5. 首が疲れる場合は、手で頭を引っ張らず、あごと胸の間にこぶし1個分のすき間を保つ。

リバースクランチは、あお向けで膝を曲げた脚を持ち上げ、お尻を床から少し浮かせるように骨盤を丸める種目で、腹直筋の下部を意識しやすい。プランクは前腕とつま先で体を支え、頭からかかとまで一直線を保つ。サイドプランクは横向きで片肘とくるぶしの外側で体を支える。エクストロームらの2007年の研究(Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy)では、30人の筋電図を測った9種目のうち、サイドブリッジ(サイドプランク)が外腹斜筋と中殿筋を鍛える種目として使えるとされ、他の多くの種目は最大収縮の45%未満で、筋持久力や安定性の練習に向くとまとめられている。プランク系は「長く耐える」より、正しい姿勢で20〜40秒を数セット行う方が姿勢が崩れにくい。保持する練習の考え方はアイソメトリックトレーニングの解説も参考になる。

ジムでは腹筋をどう鍛える?

ジムでは、負荷を細かく増やせる種目と、ぶら下がって行う種目を加えると刺激を強めやすい。エスカミーラらの2006年の研究(Physical Therapy誌)は、21人の筋電図で伝統的な腹筋運動と器具を使う種目を比べた。その結果、腹筋ローラーによるロールアウトやパイク、ストラップを使ったハンギングニーアップ(Hanging Knee-Up)、30度の傾斜をつけたリバースクランチで、腹直筋の上部・下部と内腹斜筋の活動が高かった。ただし同じ研究では、これらの一部で太ももの前の大腿直筋の活動も高く、腰に不安がある人には問題になりうると指摘されている。

体重だけでは回数が増えすぎる場合は、ケーブルクランチ(Cable Crunch)のようにプレートで重さを変えられる種目が便利である。10〜15回で限界に近づく重さを選び、回数を超えたら重さを少し上げる。この考え方はプログレッシブオーバーロードの解説で詳しく扱っている。また、スクワットやデッドリフト、懸垂などの多関節種目でも体幹は強く使われる。背中の筋トレガイドで紹介するローイングも、胴体を固める練習になる。

何回・何セット・週何回が目安?

1種目10〜15回(プランク系は20〜40秒)を2〜3セット、週2〜3回が出発点になる。米国スポーツ医学会(ACSM)の2009年の指針は、初心者には8〜12回で限界になる負荷を、週2〜3日行うことを勧めている。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も成人に筋力トレーニングを週2〜3日推奨しており、内容は厚労省ガイドの解説にまとめた。頻度については、シェーンフェルドらの2016年のメタ分析(10研究)で、同じ筋肉を週2回鍛える方が週1回より筋肥大の効果量が大きかった(0.49対0.30)。腹筋も週1回にまとめるより、2〜3回に分ける方が組みやすい。

レベル 種目 回数 セット 休憩
初心者 クランチ 10〜15回 2 60秒
初心者 リバースクランチ 10〜12回 2 60秒
初心者 プランク 20〜30秒 2 45〜60秒
初心者 サイドプランク 左右各15〜20秒 2 45〜60秒
中級者 ケーブルクランチ 10〜15回 3 60〜90秒
中級者 ハンギングニーアップ 8〜12回 3 60〜90秒
中級者 膝つきロールアウト 8〜10回 3 60〜90秒
中級者 サイドプランク 左右各30〜40秒 2〜3 60秒

よくある間違いとチェックポイントは?

  • 反動で上体を振り上げている:勢いを使うと腹筋より股関節の筋肉で起き上がりやすい。上げ下げとも2秒前後を目安にする。
  • 手で頭を引っ張っている:首を痛める原因になる。手は添えるだけにする。
  • プランクで腰が反る・お尻が上がる:お尻を軽く締め、おへそを背骨に近づけるイメージで一直線を保つ。崩れたらその時点で終える。
  • 息を止めたまま続けている:丸めるときに吐き、戻すときに吸う。高重量時の呼吸はバルサルバ法の解説を参照。
  • 毎日100回など回数だけを増やしている:10〜15回で限界が来ないなら、種目を難しくするか負荷を足す方が効率的である。
  • ロールアウトで腰が落ちる:最初は膝をつき、転がす距離を短くして始める。

腹筋トレーニングで注意することは?

腰痛や椎間板の持病がある人、出産後や腹部の手術後の人は、始める前に医師に相談してほしい。運動中に腰や首に鋭い痛み、しびれが出たら中止する。胸の痛みや息苦しさ、めまいを感じたときもすぐに運動をやめ、続く場合は医療機関を受診する。息を止めて力むと血圧が上がりやすいため、高血圧の人は特に呼吸を止めないよう意識する。

よくある質問

腹筋は毎日やってもいい?

軽い自重種目なら毎日でも大きな問題は起きにくいが、筋肉を育てる目的なら週2〜3回、1回2〜3セットを丁寧に行う方が組みやすい。厚生労働省のガイドも筋力トレーニングを週2〜3日推奨している。筋肉痛が強い日は休むか軽めにする。

腹筋を割るには何が必要?

腹直筋を鍛えることに加え、表面の脂肪を減らす必要がある。6週間・週5日の腹筋運動で腹部の脂肪が変わらなかった研究があるため、全身の運動量と食事量の調整を並行させることが現実的である。

腰が痛くなるときはどうすればいい?

痛みが出たら中止し、続く場合は医師に相談する。上体を大きく起こすシットアップより、肩甲骨が浮く程度のクランチやプランクなど背骨の動きが小さい種目に切り替えると負担を抑えやすい。

自重だけで腹筋は鍛えられる?

初心者は自重で十分に鍛えられる。15回以上楽にできるようになったら、動作をゆっくりにする、リバースクランチやロールアウトなど難しい種目に変える、ケーブルで負荷を足すなどして刺激を上げていく。

プランクは何秒やればいい?

正しい姿勢を保てる20〜40秒を2〜3セットが目安である。長時間耐えることよりも、腰が反らず頭からかかとまで一直線を保てる時間で区切る方がフォームが崩れにくい。

KINNIKU TIMESの視点

腹筋は「丸める・ひねりに耐える・固める」の3役に分け、各1種目ずつ、10〜15回(プランク系は20〜40秒)×2〜3セットを週2〜3回から始めるのが扱いやすい。研究が示すとおり、腹筋運動は筋持久力や体幹の強さを伸ばすが、それだけで腹部の脂肪は減りにくい。見た目を変えたいなら、胸や背中、脚を含む全身のトレーニングと食事を組み合わせ、腹筋はその中の一部として回数より質を重視したい。


出典:Vispute SS et al. J Strength Cond Res. 2011/Ramírez-Campillo R et al. J Strength Cond Res. 2013/Escamilla RF et al. Phys Ther. 2006/Ekstrom RA et al. J Orthop Sports Phys Ther. 2007/ACSM Position Stand. Med Sci Sports Exerc. 2009/Schoenfeld BJ et al. Sports Med. 2016/厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨シート成人版

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