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体幹トレーニングの効果とやり方 安定性を高める種目と回数を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 10分
トレーニングをする人
SUMMARY|この記事の要約

体幹トレーニングは姿勢を保ち、ぶれに耐える力を鍛える。プランク、サイドプランク、バードドッグ、パロフプレスのやり方と、体幹筋力・腰痛・運動能力への効果を研究の数字とともに整理した。

体幹トレーニングの主な効果は、胴体の筋力と、動いても背骨や骨盤がぶれない「安定性」を高めることである。やり方は、プランクやサイドプランクのように姿勢を保つ種目と、バードドッグやパロフプレスのように手足の動きやねじる力に耐える種目を、週2〜3回、1種目20〜45秒または8〜12回×2〜3セットから始めるのが基本になる。研究では、体幹トレーニングで体幹の筋力は大きく伸びる一方、ジャンプや走る速さなど運動能力への上乗せは小〜中程度にとどまっており、「体幹だけで何でもよくなる」わけではない。

なお、お腹を割る・腹筋を大きくするための種目は腹筋の鍛え方で扱っている。この記事は、姿勢を保ち、体をぶれさせない力に焦点を当てる。

体幹とはどこで、何をしているのか?

体幹(コア)は、手足を除いた胴体部分を指す。Behm らの2010年の総説(Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism 誌)では、解剖学的な体幹を「背骨・骨盤などの体軸の骨格と、そこに付着するすべての軟部組織」と定義している。腹直筋や腹斜筋、腹横筋だけでなく、背中の脊柱起立筋、お尻の筋肉、骨盤の底の筋肉なども含まれる。

体幹の重要な役割は、動くための力を出すことよりも、手足が動くときに背骨と骨盤を安定させることにある。重いものを持つ、片脚で立つ、走る、投げるといった動作で、胴体がぶれずに力を手足に伝えられるかどうかに関わる。

体幹トレーニングにはどんな効果がある?研究で分かっていること

体幹の筋力そのものは大きく伸びる。Prieske らの2016年の系統的レビュー・メタ分析(16の介入研究、16〜44歳の運動習慣のある人)では、体幹トレーニングによる体幹筋力の向上は効果量1.07と大きかった。一方、ジャンプ、スプリント、バランスなどの運動能力への効果は効果量0〜0.71と小〜中程度で、体幹の筋力と運動能力の相関も小さかった。

姿勢を保つ種目には「胴体を固める」効果が期待できる。Lee と McGill の2015年の研究(男性24人、6週間)では、プランクなど静止して保つ等尺性の体幹トレーニングを行ったグループで胴体の受動的な硬さ(スティフネス)が高まり、動きのある体幹トレーニングより効果が大きかった。

腰痛との関係も研究されている。慢性腰痛の患者を対象にした Wang らの2012年のメタ分析(5試験、414人)では、体幹安定化運動は一般的な運動に比べて短期的には痛みと機能障害をより改善したが、6か月後と12か月後の痛みには差がなかった。コクラン・レビュー(Hayden ら、2021年、249試験)でも、運動療法全般が慢性腰痛の痛みの軽減に有効である可能性が中程度の確実性で示されている。つまり体幹トレーニングは選択肢の1つであり、特別な方法というよりは「運動を続けること」自体が大切だと読み取れる。腰に痛みがある人は、自己判断で始めず医師に相談してほしい。

姿勢との関係については、体幹を鍛えれば猫背が治ると示した質の高い研究は限られている。長く座り続けることの健康への影響は座りっぱなしと死亡リスクの研究が参考になるが、まずはこまめに立ち上がり、体を動かす時間を増やすことが現実的である。

体幹トレーニングの正しいやり方は?

体幹の種目は「何に耐えるか」で4つに分けると選びやすい。体が反るのに耐える(プランク)、横に倒れるのに耐える(サイドプランク)、手足の動きに対して胴体を保つ(バードドッグ、デッドバグ)、ねじれに耐える(パロフプレス)である。

プランク(Plank)

  1. うつ伏せになり、肘を肩の真下について前腕で床を支える。
  2. つま先を立て、頭からかかとまで一直線になるよう体を浮かせる。
  3. お腹を軽くへこませ、お尻を締めて腰が反らないようにする。
  4. 呼吸を止めずに20〜45秒保つ。腰が落ちてきたらその時点で終える。

段階的な進め方はプランクのやり方で詳しく解説している。

サイドプランク(Side Plank)

  1. 横向きに寝て、下側の肘を肩の真下につく。
  2. 膝を曲げた状態(初心者)か脚を伸ばした状態で、腰を持ち上げて頭から足まで一直線にする。
  3. お尻が後ろに引けないよう注意し、20〜30秒保って左右を入れ替える。

バードドッグ(Bird Dog)

  1. 四つ這いになり、手は肩の下、膝は股関節の下に置く。
  2. 背中を平らに保ったまま、右手と左脚をゆっくり床と平行になるまで伸ばす。
  3. 2〜3秒止めて戻し、反対側も同じように行う。腰が反ったり骨盤が傾いたりしない範囲で動かす。

パロフプレス(Pallof Press)

  1. 胸の高さに固定したゴムチューブかケーブルを、体の横から両手で胸の前に持つ。
  2. 足を肩幅に開き、体をまっすぐ正面に向けたまま、腕を前に伸ばす。
  3. 体が引っ張られる方向にねじれないよう耐えながら2秒止め、胸に戻す。

よくある間違いとチェックポイントは?

  • 長時間のプランクにこだわる:フォームが崩れたまま何分も続けるより、正しい姿勢で20〜45秒を数セット行う方がよい。
  • 腰が反る・お尻が上がる:鏡や動画で、頭からかかとまで一直線か確かめる。
  • 息を止める:体幹種目でも呼吸は続ける。息こらえは血圧を急に上げる。
  • 不安定な道具ばかり使う:Behm らの総説は、バランスボールのような不安定な器具は筋力や筋肥大を狙う主な種目には勧めず、床の上で行うフリーウエイトの種目を土台にするよう述べている。
  • 体幹だけで終える:スクワットやデッドリフト、ファーマーズウォークのように重さを持つ全身種目でも体幹は強く働く。

何回・何セットが目安?初心者・中級者のメニュー例

初心者は4つの方向から1種目ずつ選び、週2〜3回、ほかの筋トレの前後に10〜15分ほど加えるとよい。厚生労働省の運動ガイド2023は筋トレを週2〜3日推奨している。Behm らの総説は、体幹の筋肉には持久的な筋線維が比較的多いことから、多めの回数(1セット15回超など)でも反応しやすい可能性を指摘している。

レベル 種目 回数・時間 セット 休憩
初心者 プランク(膝つきから可) 20〜30秒 2〜3 45〜60秒
初心者 サイドプランク(膝つき) 左右15〜20秒 2 45秒
初心者 バードドッグ 左右8〜10回(2秒停止) 2 45秒
中級者 プランク(片手か片脚を浮かせる) 30〜45秒 3 60秒
中級者 サイドプランク(脚を伸ばす) 左右30〜40秒 3 60秒
中級者 パロフプレス 左右10〜12回 3 60秒
中級者 スーツケースキャリー(片手でダンベルを持って歩く) 左右20〜30m 2〜3 90秒

静止して保つ種目が血圧に与える影響については等尺性トレーニングと血圧のメタ分析でまとめている。重い種目で腹圧を高める道具については筋トレのベルトは本当に必要かも参考になる。片手で重さを持つ種目は握力の鍛え方とも組み合わせやすく、片脚で骨盤を支える力はお尻の筋トレメニューの中臀筋種目でも鍛えられる。

安全に行うための注意点は?

痛みを我慢して続けないことが前提である。関節や筋肉に鋭い痛み・しびれが出た場合はその種目を中止し、持病(高血圧、心疾患、腰や膝の既往など)がある人や痛みが続く人は、始める前に医師に相談してほしい。トレーニング中に胸の痛み、強い息苦しさ、めまい、動悸が出たときはただちに中止し、症状が治まらなければ医療機関を受診する。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も、血圧の急な上昇を抑えるために息をこらえないよう呼びかけている。重さを持ち上げるときに息を吐き、下ろすときに吸うリズムを基本にするとよい。

よくある質問

体幹トレーニングと腹筋運動の違いは?

腹筋運動の多くは体を丸める「動き」で腹直筋を鍛えるのに対し、体幹トレーニングは姿勢を保ち、ぶれに耐える力を高めることを主な目的とする。お腹の筋肉を大きくしたい場合は腹筋の鍛え方の記事を参考にしてほしい。

プランクは何分できればよい?

長さの目標を競う必要はない。正しい姿勢を保てる20〜45秒を数セット行い、楽になってきたら片手や片脚を浮かせるなど難しくする方が、フォームを崩しにくい。

体幹を鍛えると腰痛は治る?

慢性腰痛の患者を対象にしたメタ分析では、体幹安定化運動で短期的に痛みが改善したが、6〜12か月後は一般的な運動と差がなかった。腰痛の原因は人によって違うため、痛みがある場合は医師に相談し、指示のもとで運動を取り入れてほしい。

体幹トレーニングでスポーツは上達する?

Prieske らのメタ分析では、体幹の筋力は大きく伸びたが、ジャンプやスプリントなどへの効果は小〜中程度だった。競技の練習や全身の筋トレと組み合わせて、補助として取り入れるのが現実的である。

毎日やってもよい?

自重の体幹種目は負荷が比較的軽いため、短時間なら頻度を上げてもよい。ただし腰や肩に違和感がある日は休み、疲労でフォームが崩れる前に終えることを優先する。

KINNIKU TIMESの視点

体幹トレーニングは「お腹を鍛える運動」というより、「手足が動いても胴体をぶれさせない練習」と考えると目的がはっきりする。研究では体幹の筋力は大きく伸びるものの、運動能力や腰痛への効果は限定的、あるいは他の運動と同程度という結果も多い。だからこそ、体幹種目は短時間で正しいフォームを重視し、スクワットやデッドリフト、重いものを持って歩く種目など全身の筋トレと組み合わせるのがよい。週2〜3回、4つの方向から1種目ずつ選ぶところから始めてほしい。


出典:Behm DG, et al. The use of instability to train the core musculature. Appl Physiol Nutr Metab. 2010/Prieske O, et al. The Role of Trunk Muscle Strength for Physical Fitness and Athletic Performance in Trained Individuals: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2016/Lee BC, McGill SM. Effect of long-term isometric training on core/torso stiffness. J Strength Cond Res. 2015/Wang XQ, et al. A meta-analysis of core stability exercise versus general exercise for chronic low back pain. PLoS One. 2012/Hayden JA, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2021/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」筋力トレーニングについて

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