ピラミッド法は普通の筋トレと何が違う?32人12週間の研究で効果を比較
セットを重ねるごとに重量を変える「ピラミッド法」と「ドロップセット法」は、十分にトレーニングを積んだ男性32人を12週間追跡した研究で、普通のやり方と比べて筋力・筋肥大の伸びに差がないことが分かった。
片脚ずつ方法を変えて比較した結果、筋断面積は3つの方法いずれも7〜8%前後、脚のプレス1RMはいずれも25%前後増え、方法による優劣は確認されなかった。
セットを重ねるごとに重量を増やしたり減らしたりする「ピラミッド法」は、普通のやり方(トラディショナル法)と比べて筋力・筋肥大で上回る効果はないことが、十分にトレーニングを積んだ男性32人を12週間追跡した研究で示された。ブラジル・サンカルロス連邦大学のビトル・アングレリ氏らが2017年に欧州応用生理学誌(European Journal of Applied Physiology)に発表したもので、同時に検証した「ドロップセット法」も同様に、普通のやり方との差は確認されなかった。
トップ画像:Eduardo Cano Photo Co.(Unsplash)より
ピラミッド法・ドロップセット法とは何か
ピラミッド法は、セットを重ねるごとに重量を増やしながら回数を減らしていく(または重量を減らしながら回数を増やしていく)方法で、「クレセント(三日月型)ピラミッド法」とも呼ばれる。ドロップセット法は、限界まで追い込んだ直後に重量を落として追加のレップをこなす方法である。どちらも日本のジムで広く知られたやり方だが、信頼できる一次研究で効果を比較した内容は、KINNIKU TIMESではこれまで取り上げていなかった。
32人・片脚ずつの比較で何を測ったか
対象は十分にトレーニングを積んだ男性32人。1人の体の中で、片方の脚は普通のやり方(TRAD、1RMの約75%で6〜12回、3〜5セット)、もう片方の脚はピラミッド法(CP、1RMの65〜85%の範囲でセットごとに重量を変える)かドロップセット法(DS、1RMの約50〜75%で筋疲労まで追い込む)のいずれかを、12週間続けた。3つの方法とも合計のトレーニングボリューム(セット数×回数×重量)はそろえられている。測定したのは最大挙上重量(1RM)、筋断面積(CSA)、筋肉の構造(羽状角・筋線維長)である。
結果:筋力も筋肥大も方法による差はなし
| 指標 | 普通のやり方(TRAD) | ピラミッド法(CP) | ドロップセット法(DS) |
|---|---|---|---|
| 筋断面積(CSA)の変化 | +7.6% | +7.5% | +7.8% |
| レッグプレス1RMの変化 | +25.9% | +25.9% | +24.9% |
| レッグエクステンション1RMの変化 | +16.6% | +16.4% | +17.1% |
羽状角・筋線維長といった筋肉の構造面の変化も、3つの方法でほぼ同じ程度だった。論文の著者らは、ピラミッド法・ドロップセット法が普通のやり方を上回る筋力・筋肥大効果を示さなかったと結論づけている。
なぜ差がつかなかったのか
研究チームが理由として挙げているのは、3つの方法で合計のトレーニングボリュームをそろえていた点である。やり方(セット内で重量をどう動かすか)を変えても、こなした総量が同じなら、体に起きる変化もおおむね同じになる、というのがこの研究から読み取れる結果である。見た目の疲労感や達成感は方法によって変わっても、それがそのまま筋力・筋肥大の差になるとは限らない。
よくある質問
ピラミッド法とドロップセット法、どちらが効果的か
今回の研究では、両方法とも普通のやり方と同程度の効果にとどまり、どちらかが優れているという結果ではなかった。
初心者もピラミッド法やドロップセット法を試してよいか
今回の研究対象は十分にトレーニングを積んだ男性に限られる。筋トレを始めたばかりの場合は、まず普通のやり方で回数・重量を着実に伸ばす漸進性過負荷の原則を身につけることが基本となる。
KINNIKU TIMESの視点
ピラミッド法もドロップセット法も、やり切った後の疲労感や達成感を得やすいやり方ではある。しかし今回の研究が示すのは、「セット内で重量の動かし方を変えても、合計の運動量(ボリューム)が同じであれば、結果もほぼ変わらない」という点である。以前取り上げたドロップセット法に関する別のメタ分析記事でも、時間を短縮できる点以外では通常セットと大きな差がないという結果が出ており、今回の研究とも矛盾しない。気分転換としてピラミッド法やドロップセット法を取り入れるのは良いが、「このやり方でなければ伸びない」と思い込む必要はない。
出典
- Angleri V, Ugrinowitsch C, Libardi CA. "Crescent pyramid and drop-set systems do not promote greater strength gains, muscle hypertrophy, and changes on muscle architecture compared with traditional resistance training in well-trained men." European Journal of Applied Physiology. 2017;117(2):359-369. DOI: 10.1007/s00421-016-3529-1
- サンパウロ大学(USP)リポジトリ 書誌情報
- CORE(オープンアクセス論文リポジトリ) 抄録ミラー
- Cattan GH. "Pyramidal Systems in Resistance Training." Encyclopedia. 2021;1(2):423-432. MDPI(オープンアクセス、CC BY)
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