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ルーマニアンデッドリフトのやり方 膝の角度・下ろす深さ・重量の目安を研究で解説

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 10分
バーベルを持ち上げる男性
SUMMARY|この記事の要約

ルーマニアンデッドリフト(RDL)の正しい手順、通常のデッドリフトやスティッフレッグとの違い、下ろす深さの決め方、重量・回数・セット数の目安、腰が丸まる・膝が曲がりすぎるといった間違いの直し方を、筋電図研究とACSMの指針で整理しました。

ルーマニアンデッドリフトは、膝を軽く曲げた角度のまま、お尻を後ろへ引くようにして股関節から上体を前に倒し、太もも裏が十分に伸びたところでバーを引き戻す種目である。床から持ち上げる通常のデッドリフトと違い、立った姿勢から始めて下ろす深さを自分で決めるため、太もも裏(ハムストリングス)とお尻に負荷を集めやすい。重さは8〜12回で限界の2〜3回手前になるものを選び、背中を平らに保てる深さまで下ろすのが基本だ。

ルーマニアンデッドリフトで鍛えられる筋肉は?

主に鍛えられるのは太もも裏のハムストリングスとお尻の大臀筋で、姿勢を保つために背骨の両側の脊柱起立筋も働く。

ルーマニアンデッドリフト(Romanian Deadlift、略してRDL)は、膝をほとんど動かさず、股関節を曲げ伸ばしする「ヒップヒンジ」と呼ばれる動きで行う。ハムストリングスは股関節と膝の両方をまたぐ筋肉で、上体を前に倒すと股関節側から引き伸ばされる。伸ばされた状態で重さを支え、引き戻す力を出すことが、この種目の特徴になる。

米国のマカリスターらの2014年の研究(Journal of Strength and Conditioning Research誌)では、筋トレ経験のある男性12人が、レッグカール、グッドモーニング、グルートハムレイズ、ルーマニアンデッドリフトを1RM(1回だけ挙げられる重さ)の85%で行い、筋活動を比べた。ハムストリングスの活動はルーマニアンデッドリフトとグルートハムレイズで最も高くなった。太もも裏全体の鍛え方や種目の組み合わせは、ハムストリングスの鍛え方で解説している。

ルーマニアンデッドリフトの正しいやり方は?

立った姿勢からバーを太ももに沿わせて下ろし、膝の角度を変えずに股関節だけを曲げ、太もも裏が伸びきる手前で引き戻すのが正しいやり方である。

  1. バーを持って立つ:ラックの太ももの高さにバーを置き、肩幅よりこぶし1つ分ほど広く順手で握って持ち上げ、1〜2歩下がる。足は腰幅に開き、つま先は正面かやや外に向ける。
  2. 姿勢を作る:胸を軽く張り、肩甲骨をやや下げる。膝は軽く曲げ(10〜20度ほど)、この角度をセットの最後まで保つ。
  3. 息を吸って固める:鼻から息を吸い、お腹に力を入れて胴体を固める。
  4. お尻を引いて下ろす:お尻を真後ろへ引くようにして上体を前に倒し、バーを太もも、膝、脛の順に体に沿わせて下ろす。背中は頭から腰まで一直線のままにする。
  5. 深さを決める:太もも裏が強く張り、それ以上下ろすと腰が丸まりそうな位置で止める。多くの人は膝下から脛の中ほどが目安になる。
  6. 引き戻す:かかとで床を押し、お尻を前に出すようにして股関節を伸ばし、立った姿勢に戻る。最後に腰を反らせすぎない。
  7. 繰り返す:立った姿勢で一度息を整え、決めた回数を繰り返す。終わったらバーをラックに戻す。

ダンベルで行う場合も手順は同じで、ダンベルを太ももの前に持ち、脚に沿わせて下ろす。片脚で立って行う方法もあるが、バランスが求められるため、両脚で動きを身につけてから取り入れるとよい。

通常のデッドリフトやスティッフレッグとの違いは?

通常のデッドリフトは床から膝と股関節を同時に伸ばす全身の種目、ルーマニアンデッドリフトは立った姿勢から股関節を主に動かす太もも裏寄りの種目、スティッフレッグデッドリフトは膝をさらに伸ばして行うお尻寄りの種目と整理できる。

スペインのマルティン=フエンテスらの2020年の系統的レビュー(PLoS One誌)は、デッドリフトとその変形の筋電図研究をまとめ、ルーマニアンデッドリフトでは脊柱起立筋より太もも裏の筋肉の活動が高い傾向を報告した。イタリアのコラテッラらの2022年の研究(International Journal of Environmental Research and Public Health誌)では、競技歴10年前後のボディビルダー10人が1RMの80%で3種類を比べた。ルーマニアンデッドリフトは太もも裏の内側にある半腱様筋をスティッフレッグより強く使い、スティッフレッグは大臀筋をより強く使った。台に乗って深く下ろす方法では、後ろ側の筋肉全体の活動が高まった。

床から持ち上げる通常のデッドリフトのやり方は、デッドリフトのやり方とフォームにまとめている。両方行う場合は、通常のデッドリフトを高重量・少ない回数、ルーマニアンデッドリフトを中くらいの重さ・やや多めの回数にすると役割を分けやすい。

どこまで下ろせばいい?深さの決め方

下ろす深さは「床に近いほどよい」のではなく、背中を平らに保ったまま太もも裏が十分に伸びる位置までが目安になる。

股関節まわりの柔らかさは人によって大きく違い、無理に深く下ろそうとすると、股関節の代わりに腰が丸まって深さを稼いでしまう。横から動画を撮り、腰のカーブが崩れ始める位置を確かめて、その少し手前を自分の深さにするとよい。また、太もも裏は股関節を動かす種目と膝を動かす種目で使われ方が変わる。オーストラリアのボーンらの2017年の研究(British Journal of Sports Medicine誌)では、運動習慣のある男性24人で10種目を比べ、45度の台で行う股関節を伸ばす種目は太もも裏の外側の長い筋肉(大腿二頭筋長頭)を選択的に働かせ、膝を曲げるノルディックハムストリングは内側の半腱様筋を優先的に使うと報告した。ルーマニアンデッドリフトのような股関節の種目と、レッグカールのような膝の種目を両方取り入れる理由はここにある。筋肉を伸ばした位置で鍛えることの研究は、伸ばした位置でのパーシャルレップのメタ分析でも紹介している。

重量・回数・セット数の目安は?

筋肥大が目的なら、8〜12回で限界の2〜3回手前になる重さを2〜4セット、太もも裏の種目全体で週10セット前後が目安になる。

米国スポーツ医学会(ACSM)の2026年の公式見解(Currierら、137本の系統的レビュー、3万人超のまとめ)は、筋力を高めるには1RMの80%以上の重さ、全可動域、週2回以上が有利で、筋肥大には週10セット以上の量が有利と整理した。ルーマニアンデッドリフトは腰の筋肉も長く働き続けるため、毎セット限界まで追い込むより、余力を残してフォームを保つ方が安全である。

レベル 種目 回数 セット 休憩
初心者(週2回) ルーマニアンデッドリフト(ダンベルまたは軽いバー) 10〜12回(余力3回) 2〜3 2分
初心者(週2回) レッグカール 12〜15回 2 90秒
中級者(週2回) ルーマニアンデッドリフト(バーベル) 6〜10回(余力2回) 3〜4 2〜3分
中級者(週2回) 片脚ルーマニアンデッドリフト(ダンベル) 片側10〜12回 2 左右交互で90秒

初めは空のバーや軽いダンベルで、背中を平らに保ったまま深さを確かめる練習から始める。決めた回数を全セットこなせたら、次回は2.5〜5kg重くするのが目安だ。お尻の種目と組み合わせる場合は、ヒップスラストのやり方も参考になる。

よくある間違いとチェックポイントは?

多いのは「腰が丸まる」「膝が曲がりすぎてスクワットになる」「バーが体から離れる」の3つである。

  • 腰が丸まる:深く下ろしすぎると、股関節の代わりに背中が曲がる。腰のカーブが崩れる手前で止め、重さを下げる。
  • 膝が曲がりすぎる:下ろすにつれて膝を曲げると、太ももの前の筋肉の種目に近づく。膝の角度は最初に決めたまま保つ。
  • 膝が伸びきる:膝を完全に伸ばしてロックすると、膝の裏や腰に負担がかかりやすい。軽くゆるめた角度を保つ。
  • バーが体から離れる:バーが前に離れると腰への負担が増える。太ももと脛に沿わせるように下ろす。
  • 上体だけを倒す:お尻が後ろに動かず、上体だけが前に倒れている。お尻で後ろの壁を触るつもりで引く。
  • 立ち上がりで反りすぎる:最後に腰を反らせて胸を張りすぎない。股関節が伸びた位置で止める。
  • 握力が先に尽きる:太もも裏より先に手が疲れる場合は、補助具を使う選択肢もある(リフティングストラップの研究)。

安全に行うための注意点は?

腰や太もも裏に痛みや違和感がある日は、重さを下げるか中止し、痛みの出ない範囲で行うことが基本である。

ルーマニアンデッドリフトは筋肉を伸ばしながら重さを支える時間が長いため、翌日以降に太もも裏の強い筋肉痛が出やすい。初めて行う週は軽い重さと少ないセット数にとどめる。重さを上げていくときは、ウエイトベルトの使い方についてベルトの効果とリスクの解説も確認してほしい。腰痛やヘルニアの持病がある人は、始める前に医師に相談すること。運動中に胸の痛みや息苦しさ、めまいを感じたら、すぐに中止する。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、筋力トレーニングを週2〜3日、休息日を挟みながら行うことを推奨している。

よくある質問

ルーマニアンデッドリフトは何kgから始めればいいですか?

決まった重さはありません。まずは空のバー(20kg)や片手5〜10kgのダンベルで、背中を平らにしたまま10〜12回できるか確かめてください。余力が3回ほど残る重さから始め、全セットこなせたら2.5〜5kgずつ重くします。

どこまで下ろせばいいですか?

背中を平らに保てる範囲で、太もも裏が十分に伸びる位置までです。多くの人は膝下から脛の中ほどが目安になります。床まで下ろすことにこだわらず、腰が丸まる手前で止めてください。

通常のデッドリフトとどちらをやればいいですか?

目的によります。床から重いものを持ち上げる全身の力を伸ばしたいなら通常のデッドリフト、太もも裏とお尻を重点的に鍛えたいならルーマニアンデッドリフトが向いています。両方行う場合は、日を分けるか、重さと回数で役割を分けます。

膝はどれくらい曲げればいいですか?

10〜20度ほど軽くゆるめる程度が目安です。大事なのは角度そのものより、下ろす間も引き戻す間も膝の角度を変えないことです。膝が深く曲がると、スクワットに近い動きになります。

翌日に太もも裏がひどく筋肉痛になります。続けていいですか?

伸ばしながら負荷をかける種目のため、初めのうちは筋肉痛が強く出やすくなります。痛みが強い日は太もも裏の種目を休むか軽くし、慣れるまではセット数を少なめにしてください。鋭い痛みが続く場合は医師に相談してください。

KINNIKU TIMESの視点

ルーマニアンデッドリフトは、股関節を曲げ伸ばしする「ヒップヒンジ」を身につけながら、太もも裏とお尻を鍛えられる種目である。研究では、ハムストリングスの活動が高い種目の一つと報告されている。成果を左右するのは重さより、膝の角度を保つこと、バーを体に沿わせること、背中を平らに保てる深さで止めることの3点だ。軽い重さで深さを確かめることから始め、レッグカールや、同じく前傾姿勢で行うベントオーバーロウと組み合わせて、週2回続けるのが現実的である。


出典:McAllister MJ, et al. J Strength Cond Res. 2014;28(6):1573-80/Martín-Fuentes I, et al. PLoS One. 2020;15(2):e0229507/Coratella G, et al. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(3):1903/Bourne MN, et al. Br J Sports Med. 2017;51(13):1021-1028/Currier BS, et al. ACSM Position Stand. Med Sci Sports Exerc. 2026;58(4):851-872/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」筋力トレーニングについて

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