お尻の筋トレメニュー 大臀筋・中臀筋に効く種目と回数を研究で解説
大臀筋はスクワットやヒップスラストなど股関節を伸ばす種目、中臀筋は横向きの脚上げや片脚種目で鍛える。研究の数字をもとに、やり方とよくある間違い、週2〜3回のメニュー例をまとめた。
お尻を鍛える筋トレメニューは、大臀筋には股関節を伸ばす種目(スクワット、ヒップスラスト、ランジ、ステップアップ)、中臀筋には脚を横に開く種目(サイドライイング・ヒップアブダクション)と片脚種目を組み合わせるのが基本である。週2〜3回、1種目あたり8〜15回を2〜4セットから始め、少しずつ負荷を上げていく。筋電図の系統的レビューでは、ステップアップや各種ヒップスラスト、デッドリフト、ランジなどで大臀筋の活動が高い水準に達しており、「この1種目だけ」に頼る必要はないことが分かっている。
お尻の筋肉はどこにあり、何をしているのか?
お尻の筋肉は主に大臀筋・中臀筋・小臀筋の3つで、役割がはっきり分かれている。大臀筋はお尻の丸みをつくる大きな筋肉で、股関節を後ろに伸ばす(立ち上がる、階段を上る、走る)ときに働く。中臀筋は骨盤の横にあり、脚を横に開く動きと、片脚で立ったときに骨盤が横に落ちないよう支える役割を持つ。小臀筋は中臀筋の奥にあって、同様に骨盤を安定させる。
つまり「お尻を大きくしたい」なら大臀筋、「歩くときに骨盤がぶれる」「片脚立ちが不安定」なら中臀筋を意識するとよい。どちらも日常で使う筋肉だが、座っている時間が長いと負荷がかかりにくく、意識して鍛えないと伸びにくい部位である。
お尻に効く種目はどれか?研究で分かっていること
大臀筋については、股関節を伸ばす種目であれば複数の選択肢がある。Neto らの2020年の系統的レビュー(16研究)は、負荷をかけた股関節伸展の種目で大臀筋の筋活動を比べ、ステップアップとその変法、ヘックスバー・デッドリフト、バーベル・ヒップスラスト、スプリットスクワット、ランジなどを「最大随意収縮の60%超」という非常に高い区分に分類した。
中臀筋については、DiStefano らの2009年の研究(健康な21人、12種目)が参考になる。横向きに寝て脚を上げるサイドライイング・ヒップアブダクション(Side-Lying Hip Abduction)で中臀筋の活動は平均81%に達し、クラムシェル(約38〜40%)やランジ(48%)を上回った。また片脚スクワットと片脚デッドリフトでは中臀筋(64%、59%)と大臀筋(いずれも59%)の両方がよく働いた。
ただし筋電図は「その瞬間にどれだけ働いたか」の指標であり、筋肉の増え方と一致するとは限らない。実際に筋肉の大きさを測った研究では、Plotkin らの2023年の試験(未経験者34人、9週間)で、ヒップスラストとバックスクワットの臀筋の増え方は同程度だった。筋電図はヒップスラストの方が高かったが、それが筋肥大の差にはつながらなかった。詳しくはヒップスラストとスクワット、お尻に効くのは?で解説している。
スクワットでは深さが重要になる。Kubo らの2019年の試験(男性17人、10週間)では、深くしゃがむフルスクワットで大臀筋の体積が6.7%増えたのに対し、ハーフスクワットでは2.2%にとどまった(スクワットは深くしゃがむべき?)。足幅による違いはスクワットのスタンス幅で効く部位が変わるも参考になる。
ヒップスラストの正しいやり方は?
ヒップスラスト(Hip Thrust)は、ベンチに背中を預け、骨盤の上に重りを乗せてお尻を持ち上げる種目である。膝への負担が比較的少なく、自宅では重りなしのグルートブリッジ(Glute Bridge)から始められる。
- 膝くらいの高さのベンチに肩甲骨の下あたりを乗せ、床に座る。
- 足は腰幅、かかとが膝の真下より少し前に来る位置に置く。バーベルを使う場合はパッドを巻いて骨盤の上に乗せる。
- あごを軽く引き、目線は前に。お腹に力を入れて腰を反らないようにする。
- かかとで床を押して、太ももと胴体が一直線になるまでお尻を持ち上げる。
- 上で1秒止めてお尻を締め、2〜3秒かけて下ろす。お尻が床に着く手前で次の動作に移る。
フォームの細かな注意点はヒップスラストのやり方とブルガリアンスクワットのやり方で詳しく扱っている。
中臀筋を鍛えるやり方は?
中臀筋は、横向きで脚を上げる種目と片脚で体を支える種目で鍛えるのが効率的である。
- 横向きに寝て、下の脚は軽く曲げ、上の脚はまっすぐ伸ばす。
- つま先を正面か少し下に向け、かかとから斜め後ろへ引き上げるイメージで脚を上げる。
- 骨盤が後ろに倒れない範囲(床から30〜40度ほど)で止め、2〜3秒かけて下ろす。
- 慣れてきたら足首に軽い重りをつけるか、立位で片脚スクワットや片脚デッドリフトに進む。
片脚種目の効果については片脚トレと両脚トレどっちが効く?でまとめている。
よくある間違いとチェックポイントは?
- 腰で持ち上げている:ヒップスラストの頂点で腰が反ると、お尻より腰に負担がかかる。肋骨を下げ、骨盤を軽く後ろに傾けて止める。
- スクワットが浅い:お尻を狙うなら、痛みのない範囲で太ももが床と平行かそれ以下までしゃがむ。
- 膝が内側に入る:ランジや片脚種目で膝がつま先より内側に倒れたら、重さを下げる。中臀筋が弱いサインでもある。
- 反動を使う:下ろす動作を2〜3秒かけると、狙った筋肉に負荷が残りやすい。
- 同じ重さのまま:決めた回数を余裕でこなせるようになったら重さか回数を少し増やす。プログレッシブオーバーロードの考え方が基本である。
何回・何セットが目安?初心者・中級者のメニュー例
初心者は1種目8〜15回を2〜3セット、週2〜3回から始めるとよい。厚生労働省の運動ガイド2023は成人と高齢者に筋トレを週2〜3日推奨しており、米国スポーツ医学会(ACSM)の2009年の指針も初心者には8〜12回できる重さを勧めている。
| レベル | 種目 | 回数 | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者 | グルートブリッジ(自重) | 12〜15回 | 2〜3 | 60秒 |
| 初心者 | 自重スクワット(深め) | 10〜15回 | 2〜3 | 60〜90秒 |
| 初心者 | サイドライイング・ヒップアブダクション | 左右12〜15回 | 2 | 45〜60秒 |
| 中級者 | バーベル・ヒップスラスト | 8〜12回 | 3〜4 | 90〜120秒 |
| 中級者 | バックスクワット(フル) | 6〜10回 | 3〜4 | 2〜3分 |
| 中級者 | ブルガリアンスクワットまたはステップアップ | 左右8〜12回 | 3 | 90秒 |
| 中級者 | 片脚デッドリフト | 左右8〜12回 | 2〜3 | 60〜90秒 |
中級者は「股関節を伸ばす大きな種目1つ+片脚種目1つ+中臀筋種目1つ」を基本にし、週あたりのセット数を少しずつ増やす。セット数を増やすほど効果が頭打ちになる点は週セット数と効果の関係に詳しい。脚全体のメニューは太もも前(大腿四頭筋)の筋トレガイドとハムストリングスの鍛え方も合わせて組むとよい。
安全に行うための注意点は?
痛みを我慢して続けないことが前提である。関節や筋肉に鋭い痛み・しびれが出た場合はその種目を中止し、持病(高血圧、心疾患、腰や膝の既往など)がある人や痛みが続く人は、始める前に医師に相談してほしい。トレーニング中に胸の痛み、強い息苦しさ、めまい、動悸が出たときはただちに中止し、症状が治まらなければ医療機関を受診する。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も、血圧の急な上昇を抑えるために息をこらえないよう呼びかけている。重さを持ち上げるときに息を吐き、下ろすときに吸うリズムを基本にするとよい。
よくある質問
お尻の筋トレは毎日やってもよい?
負荷の高い筋トレは週2〜3回で十分とされ、同じ部位は間に休息日をはさむのが基本である(厚生労働省のガイドも休息日の重要性を挙げている)。軽いグルートブリッジ程度なら頻度を上げてもよいが、筋肉痛が強い日は休む方がよい。
ヒップスラストとスクワットはどちらを優先すべき?
Plotkin らの2023年の試験では、臀筋の増え方は両者で同程度だった。スクワットは太もも前と内ももも同時に増えやすく、ヒップスラストは膝への負担が比較的少ない。目的や体の状態に合わせて選び、両方を組み合わせてもよい。
自宅でもお尻は鍛えられる?
鍛えられる。グルートブリッジ、深めの自重スクワット、ブルガリアンスクワット、サイドライイング・ヒップアブダクションは道具なしで行える。楽になってきたら片脚で行う、下ろす動作をゆっくりにするなどで負荷を上げる。
中臀筋を鍛えると何がよい?
中臀筋は片脚で立ったときに骨盤を水平に保つ筋肉である。歩行や片脚動作の安定に関わるが、鍛えたことで痛みや不調が改善するかは人によって異なり、痛みがある場合は医師や理学療法士に相談してほしい。
どのくらいで効果が出る?
筋肉の大きさの変化を測った研究では、9〜10週間の継続で臀筋の増加が確認されている。見た目の変化には個人差があるため、まずは2〜3か月、重さや回数の記録をつけながら続けることを勧める。
KINNIKU TIMESの視点
お尻のトレーニングで大切なのは、特定の「効く種目」探しより、股関節をしっかり伸ばす種目を深い可動域で行い、重さを少しずつ上げていくことである。研究では、ヒップスラストとスクワットで臀筋の増え方に大きな差はなく、スクワットは深くしゃがむほど大臀筋が増えやすかった。そこに中臀筋のための横向きの種目と片脚種目を加えれば、大臀筋・中臀筋の両方をカバーできる。まずは週2回、表の初心者メニューを記録をつけながら続け、余裕が出てきたら中級者メニューに移るとよい。
出典:Neto WK, et al. Gluteus Maximus Activation during Common Strength and Hypertrophy Exercises: A Systematic Review. J Sports Sci Med. 2020/Distefano LJ, et al. Gluteal muscle activation during common therapeutic exercises. J Orthop Sports Phys Ther. 2009/Plotkin DL, et al. Hip thrust and back squat training elicit similar gluteus muscle hypertrophy and transfer similarly to the deadlift. Front Physiol. 2023/Kubo K, et al. Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes. Eur J Appl Physiol. 2019/American College of Sports Medicine. Progression models in resistance training for healthy adults. Med Sci Sports Exerc. 2009/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」筋力トレーニングについて
この記事の次に読まれている記事
筋トレに使える無料ツール
コメント
この記事について思ったことを書けます。誤解を招くのを避けるため、誘導のある宣伝、他者への中傷、個人情報、法令に反する内容は公開しません。体調や治療に関わる判断は、必ず専門家にご相談ください。