筋トレ直後のアイシング・冷水浴、筋力と筋肥大の伸びを妨げる可能性
筋トレ直後のアイシング・冷水浴は、筋力や筋肥大の伸びを妨げる可能性があることが研究で示されている。12週間のトレーニング実験では冷水浴を行った群の筋力向上が有意に小さく、2024年のメタ分析でも同様に筋肥大が小さくなる傾向が確認された。
筋トレ直後に行うアイシング・冷水浴は、筋力や筋肥大の伸びを妨げる可能性があることが、オーストラリア・クイーンズランド大学などの研究チームが2015年に発表した実験と、2024年に欧州のスポーツ科学誌に掲載されたメタ分析で示されている。疲労回復や筋肉痛対策として広く行われているアイシングだが、トレーニングの効果そのものを目減りさせるおそれがあるという。
なぜアイシング・冷水浴がトレーニング後に広く行われているのか
筋トレやスポーツの現場では、運動後の筋肉痛や炎症を抑える目的で、アイシングや冷水浴(アイスバス、コールドプランジ)が長年取り入れられてきた。疲労回復を早め、翌日以降のパフォーマンスを保つ手段として、プロスポーツの現場でも日常的に使われている。一方で、冷却が筋肉の修復・増強そのものに与える影響については、スポーツ科学の分野で検証が進められてきた。
12週間のトレーニング実験で何が分かったか
Roberts氏ら(Journal of Physiology、2015年8月13日公開)は、レジスタンストレーニングの経験がある男性21人を対象に、12週間の下半身の筋力トレーニングを行わせた。トレーニング後に10℃の水に10分浸かる「冷水浴群」(11人)と、低強度の運動で回復する「活動的回復群」(10人)を比較したところ、冷水浴群は等尺性筋力・等速性筋力・膝伸展筋力の伸びが、活動的回復群より有意に小さかった。一方、レッグプレスの筋力や除脂肪量の増加量には、両群で統計的な差は見られなかった。
| 研究 | 対象・期間 | 介入 | 主な結果 |
|---|---|---|---|
| Roberts et al.(2015、Journal of Physiology) | トレーニング経験のある男性21人、12週間の下半身筋トレ | 毎回のトレーニング後、10℃の水に10分浸かる(冷水浴群11人 vs 活動的回復群10人) | 冷水浴群は等尺性筋力・等速性筋力・膝伸展筋力の伸びが有意に小さい。レッグプレス筋力・除脂肪量の増加量に有意差はなし |
| Piñero et al.(2024、European Journal of Sport Science 24巻2号) | ランダム化比較試験8件、参加者116人(平均20〜26歳、女性は2人のみ) | トレーニング後の冷水浴の有無を比較したメタ分析 | 冷水浴を併用した群は、トレーニング単独の群より筋肥大が小さい傾向。ただし効果の大きさは小さいとされる |
8件の研究を集めたメタ分析でも同じ傾向
単独の実験だけでなく、複数の研究を統合したメタ分析でも同様の傾向が確認されている。Piñero氏らが2024年にEuropean Journal of Sport Science(24巻2号、177〜189ページ)に発表した系統的レビューでは、ランダム化比較試験8件・参加者116人分のデータを統合し、トレーニング後の冷水浴を併用した場合、トレーニング単独に比べて筋肥大が小さくなる傾向があると報告している。研究チームは、効果の大きさ自体は小さいとしながらも、「レジスタンストレーニングと運動後の冷水浴の組み合わせは、トレーニング単独よりも劣った効果をもたらした」と結論づけている。
なぜ冷水浴が筋肥大を妨げるのか
Roberts氏らの論文は、冷水浴が筋肉の修復・増強に関わる急性の生体反応(アナボリックシグナル)を弱めたことが一因である可能性を挙げている。運動後の炎症反応や血流の変化は、筋肉が刺激に適応して大きく・強くなっていく過程の一部と考えられており、冷水浴によってこの反応が抑えられると、トレーニング刺激に対する適応そのものが鈍くなる可能性があるという考察である。ただし、これは観察された関連であり、全ての人・全ての冷却方法で同じ結果になるとは限らない点には留意したい。
よくある質問
アイシング・冷水浴は筋肉痛(DOMS)には効果があるのか
筋肉痛を一時的に和らげる効果を示す研究もあるが、今回紹介した研究は、長期的な筋力・筋肉量の増加という別の観点で「妨げになりうる」と報告したものである。筋肉痛(DOMS)そのものの発生メカニズムについては、KINNIKU TIMESの解説記事も参考にしてほしい。目的に応じて使い分ける必要がある。
試合の翌日など、単発でアイシングをするのは問題ないか
今回の研究は、筋力・筋肥大を伸ばす目的のトレーニング期間中に、毎回のトレーニング後に習慣的に冷水浴を行った場合の結果である。単発の疲労回復目的であれば大きな問題にはならないと考えられるが、筋力や筋肉量を伸ばしたい時期に日常的に行うことは避けた方がよい、と両研究は示している。
KINNIKU TIMESの視点
筋力・筋肥大を伸ばす目的でトレーニングをしている期間は、毎回の筋トレ後に習慣的なアイシング・冷水浴を行うことは避け、ストレッチや十分な休養など、他の回復手段を優先するのが無難だろう。一方で、大会や大切な試合の直後のように、その日のうちに疲労を抑えることを優先したい場面では、今回の研究が示すデメリットよりもメリットが大きい場合もある。目的に応じて使い分ける視点を持ちたい。持病がある方や体調に不安がある場合は、自己判断で冷水浴を行わず、医師や専門家に相談してほしい。
出典:Roberts LA, et al. "Post-exercise cold water immersion attenuates acute anabolic signalling and long-term adaptations in muscle to strength training." Journal of Physiology(2015年8月13日公開)/同論文の研究概要(Coach Science Abstracts)/Piñero A, et al. "Throwing cold water on muscle growth" European Journal of Sport Science 24(2), 177-189(2024年)/同メタ分析の研究概要(Examine.com)
NEW 持ち運びクレアチン
でっかい容器、もう持ち歩かなくていい。
クレアチン3,000mg+電解質4種を、ポケットに入る1本に。計量もシェイカーもいりません。先行案内は公式LINEでお届けします。
公式LINEで先行案内を受け取る
コメント
この記事について思ったことを書けます。誤解を招くのを避けるため、誘導のある宣伝、他者への中傷、個人情報、法令に反する内容は公開しません。体調や治療に関わる判断は、必ず専門家にご相談ください。




