筋肥大と筋力向上、レップ数は何回が最適か ACSMと海外メタ分析で解説
筋力向上には高負荷・低回数、筋肥大には中程度の負荷・中回数が基本とされてきたが、海外のメタ分析では限界近くまで追い込めば負荷の軽重による筋肥大の差はわずかだと分かっている。
ACSM(米国スポーツ医学会)のガイドラインと2017年発表の21研究・630人分のメタ分析をもとに、目的別のレップ数の目安を解説する。
筋力を伸ばしたいなら重い負荷・少ない回数、筋肉を大きくしたいなら限界近くまで追い込めば負荷の軽重による差はわずかである。米国スポーツ医学会(ACSM)が示すレジスタンストレーニングの指針と、2017年に専門誌『Journal of Strength and Conditioning Research』に掲載されたメタ分析をもとに、目的別のレップ数(回数)の目安を整理した。
筋力向上には「重い負荷・少ない回数」が基本
ACSMが発表しているレジスタンストレーニングの指針「Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults」によると、筋力向上を目的とする場合、初心者は1RM(1回だけ挙げられる最大重量)の60〜70%の負荷で8〜12回、1〜3セットが目安とされている。中級者から上級者になると負荷は80〜100%まで引き上げ、レップ数は1〜12回の範囲で周期的に変動させる方法が推奨されている。負荷が重いほど扱えるレップ数は少なくなるため、「重い負荷・少ない回数」が筋力向上の基本型である。
筋肥大は「8〜12回」が長年の目安だった
同じ指針では、筋肥大(筋肉を大きくすること)を目的とする場合の目安として、初心者から中級者は1RMの70〜85%で8〜12回、1〜3セットを挙げている。上級者になると負荷は70〜100%まで広げ、セット数も3〜6セットに増やす方法が示されている。この「8〜12回」という数字は日本のジムでも広く知られ、長らく筋肥大の定番とされてきた。
海外メタ分析:負荷の軽重より「追い込み度」が重要
一方で、軽い負荷の高回数トレーニングでも十分な筋肥大が得られるとする研究結果も報告されている。Schoenfeldらが2017年に発表したメタ分析は、低負荷・高回数と高負荷・低回数を比較した21件の研究(対象者630人、82%がトレーニング未経験者)を統合したものである。その結果、1RM(最大挙上重量)の伸びは高負荷群35.4%・低負荷群28.0%と高負荷群が有意に上回った(p=0.003)。一方で筋肥大の指標となる変化量は高負荷群8.3%・低負荷群7.0%で、統計的に意味のある差ではなかったと報告されている。別の研究解説サイトでも、両群の筋肥大効果量の差はごくわずか(効果量差0.03、95%信頼区間−0.16〜0.22)で統計的に区別できないほど小さいと、同じ結論が確認できる。筋力を伸ばす効果は重い負荷のほうが明確に高いが、筋肉を大きくする効果については、追い込み方次第で負荷の軽重による差は小さいということである。
目的別・レップ数の目安(ACSM指針)
| 目的 | 負荷(%1RM) | レップ数 | セット数 |
|---|---|---|---|
| 筋力向上(初心者) | 60〜70% | 8〜12回 | 1〜3セット |
| 筋力向上(中級〜上級者) | 80〜100%(周期的に変動) | 1〜12回 | 複数セット |
| 筋肥大(初心者〜中級者) | 70〜85% | 8〜12回 | 1〜3セット |
| 筋肥大(上級者) | 70〜100%(周期的に変動) | 1〜12回 | 3〜6セット |
| 筋持久力 | 40〜70% | 15回以上 | 複数セット |
自分の目的に合わせた選び方
競技や記録として重い重量を挙げたい場合は、ACSMの指針どおり重い負荷・少ない回数を中心に組み立てるのが合理的である。一方、見た目の変化(筋肥大)が主な目的であれば、扱う負荷は70%前後から高負荷まで幅を持たせてよく、どちらを選ぶにしても「限界近くまで追い込むこと」が共通の条件になる。関節や腰への負担を考えると、高齢者や初心者、関節に不安がある人は、軽めの負荷・高回数で追い込む方法のほうが安全に取り組みやすい場合もある。持病や痛みがある場合は、自己判断で高負荷トレーニングを行わず、医師や専門家に相談したうえで負荷を決めることが望ましい。
よくある質問
軽い負荷の高回数トレーニングでも筋肉は大きくなりますか
2017年のメタ分析では、限界近くまで追い込んだ場合、軽い負荷でも重い負荷と統計的に差のない筋肥大が得られたと報告されている。ただし追い込みが甘いと効果は下がるとされる。
筋力を伸ばしたい場合、軽い負荷のトレーニングは無意味ですか
無意味ではないが、同じメタ分析では1RMの伸びは重い負荷のほうが統計的に有意に大きかった(35.4%対28.0%、p=0.003)。記録の向上を優先するなら重い負荷を中心に組むほうが合理的である。
何回を基準に組めばよいか迷ったら
目的が定まらない場合は、ACSMが示す「8〜12回・70〜85%」がもっとも汎用性の高い目安になる。筋力・筋肥大のどちらにも対応しやすい範囲とされている。
KINNIKU TIMESの視点
「筋肥大には8〜12回」という目安は今でも有効だが、唯一の正解ではない。低負荷でも限界まで追い込めば筋肥大は狙えるため、怪我や関節への負担、使えるトレーニング器具の種類に合わせてレップ数を柔軟に選ぶ方が継続しやすい。重い記録を目指す局面と、見た目を変えたい局面で負荷設定を使い分けることが、長期的な成果につながる。トレーニング歴が浅い人や持病がある人は、自己流で高負荷を扱う前に、トレーナーや医師に相談することを勧める。
関連記事:筋トレは限界まで追い込むべきか 15研究のメタ分析で分かった答え、1RMを測らず推定する方法、EpleyとBrzycki公式の精度とは
出典:ACSM「Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults」(2009年)/Schoenfeld BJ, et al. "Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training: A Systematic Review and Meta-analysis." J Strength Cond Res. 2017;31(12):3508-3523.(PubMed)/Canadian Kinesiology Alliance 研究解説/GetFitCraft 研究解説(効果量の独立確認)
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