筋肥大と筋力、理想のレップ数は違う?21研究630人のメタ分析で解説
筋肥大では高負荷と低負荷に有意差はないが、筋力(1RM)向上では高負荷が明確に優位であることが、21件の研究・630人を対象にしたメタ分析で示された。レップ数と負荷を使い分ける根拠を、具体的な数値とともに解説する。
筋肥大を目指すなら負荷(重量)の高低にこだわる必要は薄いが、純粋な筋力(1RM)を伸ばすには重い負荷でのトレーニングが明確に有利であることが、2017年公表のメタ分析で示されている。米国の運動生理学者ブラッド・シェーンフェルド(Brad Schoenfeld)氏らの研究グループが、21件の先行研究・参加者630人分のデータを統合して分析した結果である。
どんな研究か
この研究は、Schoenfeld BJ氏らが2017年に「Journal of Strength and Conditioning Research」誌(31巻12号)で発表したシステマティックレビュー・メタ分析である。レジスタンストレーニングにおける負荷(1RMに対する割合)の違いが、筋肥大と筋力向上にどう影響するかを検証した21件のランダム化比較試験を統合し、合計630人(未訓練者517人・訓練経験者113人)のデータを解析した。対象となった研究はいずれも、セットを筋疲労(挙げられなくなる限界)まで実施する設計だった点が共通している。
筋肥大の結果:高負荷も低負荷も大差なし
筋肥大(除脂肪量などの指標)の変化量は、高負荷群(目安として1RMの65%以上)で平均8.3%増加、低負荷群(1RMの65%未満)で平均7.0%増加だった。両群の差は統計的に有意ではなく、限界まで追い込む条件であれば、負荷の高さそのものは筋肥大の決め手にならないことを示している。
筋力(1RM)の結果:高負荷が明確に優位
一方、最大挙上重量(1RM)の向上では、高負荷群が平均35.4%増加したのに対し、低負荷群は平均28.0%増加にとどまり、高負荷群が統計的に有意に優れていた(p=0.003)。神経系の適応や特定の負荷への慣れ(課題特異性)が関係すると考えられている。
| 指標 | 高負荷群 | 低負荷群 | 差 |
|---|---|---|---|
| 筋肥大 | +8.3% | +7.0% | 有意差なし |
| 筋力(1RM) | +35.4% | +28.0% | 高負荷群が有意に優位(p=0.003) |
注意点:観察研究ではなく介入研究だが、適用条件に限りがある
この結果はランダム化比較試験を統合したものだが、すべての対象研究が「セットを限界まで追い込む」条件下で行われている点に注意が必要だ。限界まで追い込まない(余力を残した)トレーニングでの比較ではないため、同じ結論がそのまま当てはまるとは限らない。また対象の8割超が未訓練者であり、訓練経験者での知見は限定的である。
よくある質問
筋肥大だけが目的なら軽い重量でもいいのか
このメタ分析の範囲では、セットを限界まで追い込むことを前提に、軽い負荷でも重い負荷と同程度の筋肥大が得られている。ただし関節への負担や使用する種目によって適否は変わるため、体調や種目特性に応じて選ぶのが現実的である。
筋力を伸ばしたい場合はどうすればいいか
このメタ分析では、より重い負荷(1RMの65%以上)でのトレーニングが1RM向上において明確に優位だった。パワーリフティングなど最大挙上重量そのものを競う種目では、重い負荷を扱う頻度を増やすことが合理的といえる。
KINNIKU TIMESの視点
「筋肥大には高重量、筋力には低重量」という単純な二択ではなく、目的によって負荷の優先度を変えるのが合理的だ。筋肥大目的なら扱いやすい重量でセットを追い込み、関節への負担が気になる種目は軽めの負荷を選ぶ。一方で記録を伸ばすこと自体が目的なら、重い負荷での練習頻度を確保したい。なお急な重量アップや限界まで追い込むトレーニングはケガのリスクもあるため、フォームに不安がある場合は無理をせず、トレーナーや医師に相談してほしい。関連して、トレーニングの基本原則はプログレッシブオーバーロードの解説記事も参考にしてほしい。
出典:Schoenfeld BJ, et al. "Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training: A Systematic Review and Meta-analysis." J Strength Cond Res. 2017;31(12):3508-3523. PubMed(2017) / Canadian Kinesiology Alliance 研究紹介ページ
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