THE MUSCLE NEWSPAPER
KINNIKU TIMES › 栄養・サプリ  › 記事
栄養・サプリ

タートチェリージュースは筋肉痛・回復に効くか 14研究303人のメタ分析で検証

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 6分
ボウルに入った赤いチェリー(写真はイメージです)
SUMMARY|この記事の要約

タートチェリージュースの摂取で筋肉痛が小さく改善し、筋力回復には中程度の効果が示されたことが、14件のランダム化比較試験・参加者303人を統合した海外メタ分析で分かった。

運動の種類によって効果の出方が異なり、筋損傷マーカーCKや炎症物質TNF-αには統計的に有意な効果は確認されなかった。

タートチェリー(西洋実桜の一種で、酸味の強いモンモランシー種が中心)のジュースやサプリメントを摂取すると、筋肉痛は小さく、筋力の回復は中程度の効果で改善することが、英国・ノーサンブリア大学の研究者らによる2021年のメタ分析で示された。国際スポーツ栄養学会系の学術誌『International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism』に掲載された論文で、過去のランダム化比較試験14件・参加者303人分のデータを統合して解析したものである。

山盛りの赤いタートチェリー(写真はイメージです)
写真はイメージです(Unsplash)

タートチェリーとは何か、なぜ運動後の回復に注目されるのか

タートチェリーは、生食用の甘いチェリー(スイートチェリー)とは別の品種で、酸味が強く主にジュースや乾燥果実、サプリメントとして利用される。アントシアニンなどのポリフェノール(抗酸化物質)を比較的多く含むことから、運動によって生じる酸化ストレスや炎症を抑える可能性があるとして、海外のスポーツ栄養分野で2010年代以降、研究が積み重ねられてきた。

メタ分析はどのような研究を、どう統合したのか

Hill氏らの研究チームは、タートチェリー(ジュース・濃縮液・粉末・タブレットなど)を運動前後に摂取させたランダム化比較試験を系統的に検索し、基準を満たした14件(参加者合計303人、平均年齢26.8±5.8歳)を統合した。摂取のタイミングは研究ごとに異なるが、多くは運動の4〜7日前から摂取を始め、運動後2〜3日まで継続する、総期間7〜10日前後のプロトコルが中心だった(長いものでは16日間の研究もある)。論文自体は用量を統一して解析していないため、「1日何mlが最適か」という結論は示されていない。

筋肉痛・筋力・パワーへの効果はどの程度か

指標 効果量(ES) 95%信頼区間 統計的有意性
筋肉痛(DOMS) -0.44 -0.87〜-0.02 P<0.05(小さい効果)
筋力の回復 -0.78 -1.11〜-0.46 P<0.001
筋パワー(全体) -0.53 -0.77〜-0.29 P<0.001(中程度)
 垂直跳び -0.82 -1.18〜-0.45 P<0.001
 スプリント -0.32 -0.60〜-0.04 P=0.02(小さい効果)

数値はいずれも「効果量(Effect Size)」と呼ばれる統計指標で、マイナスの値はタートチェリーを摂取した群の回復が、摂取しなかった群より良かったことを示す。筋肉痛については、バーベルを使った筋トレのような筋肉に直接ダメージが加わる運動(機械的ストレス型)では有意な改善が見られたが、長距離走のような代謝的な負荷が中心の運動では、統計的に有意な差は確認できなかった。研究間のばらつき(異質性)は筋肉痛で90%、筋力で80%と高く、著者らもこの点を研究の限界として挙げている。

炎症マーカー・筋損傷マーカーへの影響

炎症に関わる血液中の物質については、CRP(C反応性タンパク、効果量-0.46、P=0.05で境界的に有意)とIL-6(効果量-0.35、P<0.05で有意)がそれぞれ小さく減少した。ただし、CRPは長距離走など代謝的な運動を行った群でのみ大きな効果(効果量-0.84)が見られ、筋トレのような機械的ストレス型の運動を行った群では有意差がなかった。一方、筋肉が傷ついた際に血中で増える酵素クレアチンキナーゼ(CK)と、炎症性サイトカインのTNF-αについては、タートチェリー摂取による統計的に有意な効果は確認されなかった。

どこまで信じてよいか、実践にどう落とし込むか

このメタ分析は査読を通った学術論文だが、研究間のばらつきが大きいこと、参加者数が303人とそれほど多くないこと、用量・摂取期間が研究ごとに異なり統一的な推奨量を導き出せていないことには注意が必要である。著者らも「酸化ストレスマーカーに関するさらなる研究が必要」と、今後の研究の積み重ねを前提とした、やや慎重な書き方をしている。タートチェリーは医薬品ではなく食品であり、この分析自体も効果を保証するものではない。筋トレ後の回復を助ける手段としては、タンパク質摂取のタイミングや睡眠など基本的な要素が優先されるべきで、タートチェリーはそれらを補完する選択肢の一つとして位置づけるのが妥当だろう。持病がある場合や薬を服用している場合は、自己判断で量を増やす前に医師に相談することが望ましい。

よくある質問

タートチェリーはいつ、どのくらい摂取すればいい?

今回のメタ分析で対象になった研究の多くは、運動の4〜7日前から摂取を始め、運動後2〜3日程度まで続けるプロトコルを採用していた。ただし論文は用量を統一して分析していないため、「1日何mlが最適か」という具体的な推奨量は示されていない。

筋肉痛は本当に軽減するのか?

メタ分析全体では小さいながら統計的に有意な改善が確認された。ただし、バーベルを使った筋トレのような機械的ダメージ型の運動でのみ有意で、長距離走のような代謝的な運動では有意差がなかった点に注意したい。

副作用やリスクはあるのか?

この論文自体には副作用に関する具体的な記載はない。食品であるため基本的なリスクは低いとされるが、持病がある場合や薬を服用している場合は、自己判断で摂取量を増やす前に医師に相談することが望ましい。

KINNIKU TIMESの視点

タートチェリーは国内のスーパーなどでは入手しにくく、ジュースやサプリメントとして個人輸入・通販で入手するのが主な手段になる。効果量そのものは「小さい〜中程度」の範囲で、万能のリカバリー手段というよりは、睡眠や食事のタイミングといった基本を整えたうえでの補助的な選択肢の一つと捉えるのが現実的である。トレーニングの種類によって効果の出方が異なる可能性がある、という点も踏まえて試してみるとよいだろう。筋肉痛のメカニズムそのものについては、KINNIKU TIMESの別記事「筋肉痛(DOMS)はなぜ起こる?」、睡眠と筋力の関係については「睡眠不足で筋力はどう変わる?」でも解説している。


出典:Hill, J., Keane, K., Quinlan, R., & Howatson, G. "Tart Cherry Supplementation and Recovery From Strenuous Exercise: A Systematic Review and Meta-analysis." International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism, 31(2), 154-167 (2021) / 著者最終稿全文:St Mary's University リポジトリ(PDF)

MY FITPEAK 無料会員 最新の情報を、素早くお届け。 新しい記事、筋トレ最安ナビの価格更新、FITPEAKの新商品の案内を、いちばんはやく受け取れます。 My FITPEAK に登録する

コメント

この記事について思ったことを書けます。誤解を招くのを避けるため、誘導のある宣伝、他者への中傷、個人情報、法令に反する内容は公開しません。体調や治療に関わる判断は、必ず専門家にご相談ください。