デッドバグのやり方|腰を反らさずに体幹を鍛えるコツと回数の目安
デッドバグ(Dead Bug)は、あお向けで手足を上げ、右手と左脚、左手と右脚を交互に伸ばす体幹の種目です。手足が動いても「腰と床のすき間を小さく保つ」ことが目的なので、腹筋運動で腰が反りやすい人の基礎づくりにも向いています。
デッドバグの3Dアニメーション(3D種目図鑑で見る)
デッドバグはどこに効く?
デッドバグで働くのは、おなかの前側の腹直筋、わき腹の腹斜筋、おなかを内側から締める腹横筋など、体幹の筋肉です。手足を動かしているあいだ、腰が反らないよう体幹で支え続けるため、「動きながら体を安定させる力」を練習できます。
ペレイラら(2017年)は、健康な人19人と慢性的な腰痛のある人13人に、デッドバグなどのピラティスの種目を行ってもらい、筋活動を調べました。デッドバグでは、背中の多裂筋や腹直筋にくらべて腹斜筋がより大きく働いていました。また、腰を安定させる筋肉は、腰痛のある人でも、はじめての回から働いていたと報告しています。
キムら(2016年)は、健康な男性10人に、カールアップ・デッドバグ・スーパーマン・バードドッグの4種目をそれぞれ5段階の強さで行ってもらいました。全体として、段階を上げるほど関係する筋肉の活動は大きくなりました。デッドバグも、手足の動かし方を変えることで、体力に合わせて強さを調整できる種目といえます。
デッドバグの正しいやり方は?
ポイントは「腰と床のすき間を小さく保ったまま、ゆっくり手足を伸ばす」ことです。
- あお向けに寝て、両腕を天井へまっすぐ伸ばします。
- 両ひざを90度に曲げ、太ももが床と垂直、すねが床と平行になるまで脚を上げます。
- おへそを軽く背中側へ引き寄せ、腰と床のすき間を小さくします。
- 息を吐きながら、右腕を頭の方へ、左脚を前へ、床すれすれまでゆっくり伸ばします。
- 息を吸いながら、はじめの姿勢へ戻ります。
- 反対側も同じように、左腕と右脚を伸ばします。左右で1回と数えます。
伸ばす動きに3秒、戻す動きに2秒ほどかけるのが目安です。上の3Dアニメーションでは、手足が動いても胴体がほとんど動かない点を確かめてください。
腰が浮いてしまうときはどうする?
腰が浮くのは、伸ばした手足の重さにおなかの力が負けているサインです。手足を伸ばす幅を小さくして、腰が浮かない範囲を探しましょう。
- 脚だけを動かす: 腕は天井へ伸ばしたまま、脚だけを交互に伸ばします。
- 伸ばす高さを上げる: 脚を床すれすれまで下ろさず、斜め上へ伸ばして止めます。
- ひざを曲げたまま下ろす: ひざを曲げたまま、かかとで床に軽くふれて戻ります(ヒールタップ)。
- 手で確かめる: 腰の下に手のひらを入れ、押されている感覚が抜けたら、そこで折り返します。
おなかの力の入れ方は?
おへそを軽く背中側へ引き寄せる方法(ホロウイング)と、おなか全体を固める方法(ブレーシング)があります。ツァルツァパキスら(2024年)は、若い健康な成人44人に、プランク・バードドッグ・デッドバグなど7種目を両方の方法で行ってもらい、超音波でおなかと背中の深い筋肉の厚みを測りました。その結果、おへそを引き寄せる方法の方が、筋肉の厚みの増え方が大きくなりました。
デッドバグでは、まずおへそを軽く引き寄せる意識で腰のすき間を小さくし、そのまま呼吸を止めずに手足を動かすのが取り組みやすい方法です。
プランクとはどう違う?
どちらも体幹を安定させる種目ですが、姿勢と負荷のかかり方が違います。プランクはうつぶせで体を支え、止まったまま重力に逆らう種目です。手首や肩、つま先にも体重がかかるため、腕や肩の力も必要になります。
デッドバグはあお向けで行うので、手首や肩に体重がかかりません。そのかわり、手足が動くたびに体がねじれたり腰が反ったりしようとするため、それを体幹でこらえる力が求められます。プランクの姿勢がつらい人や、手首に不安がある人は、デッドバグから始めると体幹の使い方を覚えやすくなります。
よくある間違いは?
- 手足を伸ばすたびに腰が床から浮いている
- 速く動かし、反動で手足を振っている
- 息を止めたまま続けている
- 首や肩に力が入り、頭が床から浮いている
- 伸ばす手と脚が同じ側になっている
- 戻るときにひざの角度がくずれ、脚が体から離れている
回数とセットの目安は?
はじめはゆっくり、腰が浮かない回数で止めます。
| レベル | やり方 | 回数(左右で1回) | セット | 休憩 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者 | 脚だけを交互に動かす、またはヒールタップ | 6〜8回 | 2セット | 45秒 |
| 中級者 | 基本のデッドバグ | 8〜12回 | 3セット | 45〜60秒 |
| 上級者 | 伸ばした位置で3秒止める | 10〜12回 | 3セット | 60秒 |
頻度は週2〜3日が目安です。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、自重で行う運動も含めた筋力トレーニングを、成人と高齢者に週2〜3日行うことを推奨しています。くわしい組み方は自重トレーニングの回数・セット・頻度で解説しています。
やさしくする・きつくする方法は?
やさしくするバリエーション
- 脚だけデッドバグ: 腕を天井へ伸ばしたまま、脚だけを交互に伸ばします。
- ヒールタップ: ひざを曲げたまま、かかとを交互に床へ軽くふれさせます。
- 片側だけ: 右手と左脚だけを続けて行い、次に反対側を行います。動きを覚える段階に向いています。
きつくするバリエーション
- 止める: 手足を伸ばしたところで3秒止めてから戻ります。
- 両脚を同時に伸ばす: 両腕は天井へ伸ばしたまま、両脚を同時に斜め前へ伸ばします。腰が浮かない人だけが行いましょう。
- ゆっくり行う: 伸ばす動きに5秒かけます。回数を増やすより先に試したい方法です。
負荷の上げ方は自重で負荷を上げる方法でまとめています。
どの種目と組み合わせるといい?
あお向けで行うデッドバグと、よつばいで行うバードドッグは、どちらも「手足を対角に動かしながら体幹を保つ」種目で、組み合わせやすい関係です。デッドバグで腰を反らさない感覚をつかんだら、レッグレイズやプランクへ進むと、腹筋の種目に移りやすくなります。腹筋全体の組み方は自重の腹筋メニュー、動きの見比べは3D種目図鑑をご覧ください。
腰や首に痛みが出たら、すぐに中止してください。腰痛などの持病がある人、妊娠中の人、けがをしている人は、始める前に医師に相談してください。運動中に胸の痛み・息苦しさ・めまいを感じたら、すぐに中止して休んでください。
よくある質問
デッドバグは腰痛に効きますか?
デッドバグは腰を反らさずに体幹を使う練習ができる種目ですが、腰痛の治療ではありません。腰痛がある人は、自己判断で始めず、まず医師に相談してください。
おなかに効いている感じがしません。
腰と床のすき間が開いたままだと、おなかへの負荷が抜けやすくなります。おへそを軽く引き寄せて腰を床に近づけ、伸ばす動きを5秒に延ばしてみてください。
呼吸はどうすればいいですか?
手足を伸ばすときに吐き、戻すときに吸うのが基本です。息を止めると力みやすくなるので、動きに合わせて呼吸を続けてください。
毎日やってもいいですか?
軽い負荷なら毎日続けられますが、強めに行った翌日は休むか、回数を減らすのが目安です。考え方は自重トレーニングは毎日やっていい?で解説しています。
初心者のはじめての種目に向いていますか?
あお向けで行うため転ぶ心配がなく、強さも細かく調整できるので、はじめての体幹の種目として取り組みやすい種目です。ほかの自重トレは自重トレ大全のトップから探せます。
出典
- 厚生労働省 2023「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 筋力トレーニングについて」
- Pereira ILR, et al. 2017「Trunk Muscle EMG During Intermediate Pilates Mat Exercises in Beginner Healthy and Chronic Low Back Pain Individuals」J Manipulative Physiol Ther
- Kim CR, et al. 2016「Electromyographic Changes in Trunk Muscles During Graded Lumbar Stabilization Exercises」PM R
- Tsartsapakis I, et al. 2024「A Comparison between Core Stability Exercises and Muscle Thickness Using Two Different Activation Maneuvers」J Funct Morphol Kinesiol
この記事は一般的な情報です。痛みが出たら中止し、持病・けががある人や妊娠中の人は、医師に相談してから行ってください。