ポリフェノールの筋トレ効果は?11試験・360人のメタ分析で上乗せ効果は確認できず
抹茶や緑茶カテキン、ケルセチン、クルクミンなどのポリフェノールを筋トレと併用しても、筋力(g=0.25)、除脂肪量(g=0.13)、筋断面積(g=0.05)への上乗せ効果は統計的に確認できなかった。2026年8月にFrontiers in Nutritionに掲載された11試験・360人のメタ分析の結論で、証拠の確実性は「低い」とされた。
ポリフェノールのサプリメントを筋トレと組み合わせても、筋力や筋量の伸びが確実に上乗せされるとはいえない。Yang Zhu(ヤン・ジュー)らの研究チームが、11件のランダム化比較試験(参加者計360人)を統合したメタ分析を、2026年8月28日に学術誌Frontiers in Nutritionで発表した。

どんなポリフェノールが調べられたのか
対象は18歳以上の成人で、健康な若年者のほか、中高年、サルコペニアの高齢男性、運動習慣のない人、閉経後女性が含まれる。試験はデンマーク、日本、スペイン、イラン、米国、ブラジルで行われ、期間は6〜39週間だった。主な成分と1日量は次のとおりである。
| 成分 | 1日量(試験での例) |
|---|---|
| カシス(ブラックカラント)・レッドカラントのポリフェノール | 約700mg |
| ケルセチン配糖体 | 200〜500mg |
| 茶カテキン | 540mg |
| 抹茶 | 総ポリフェノール約333mg |
| エピカテキン | 体重1kgあたり1mg |
| 大豆イソフラボン | 100mg |
| クルクミン製剤 | 500mg(クルクミン約10.5mg) |
筋力と筋量への効果はどのくらいか
効果の大きさは標準化した指標(Hedges' g)で示され、0.2前後が「小さい」とされる。3項目とも95%信頼区間が0をまたいでおり、偶然の差である可能性を否定できなかった。
| 評価項目 | 研究群の数/参加者 | 効果量 g(95%信頼区間) | p値 |
|---|---|---|---|
| 筋力 | 8群/257人 | 0.25(−0.01〜0.51) | 0.060 |
| 筋量・除脂肪量 | 9群/280人 | 0.13(−0.07〜0.33) | 0.211 |
| 筋断面積など筋の形態 | 3群/115人 | 0.05(−0.21〜0.30) | 0.718 |
緑茶カテキンだけは効くのか
成分別の解析では、カテキン・フラバノール類で除脂肪量の効果量が0.59(95%信頼区間0.04〜1.14)と大きめに出た。ただし、研究間の依存関係を考慮した補正をかけると有意ではなくなり、著者らは成分や年齢、期間による違いについて「確かな証拠はない」とした。探索的な結果であり、「抹茶なら筋肉が増える」と読むのは早計である。
この研究の限界は?
- 独立した試験が少なく、各項目で10群に満たない
- 成分、用量、摂取タイミングがばらばらである
- カフェインや必須アミノ酸、高強度インターバルトレーニングとの併用があり、ポリフェノール単独の効果を切り分けにくい試験を含む
- 証拠の確実性は「低い」〜「非常に低い」と評価された
著者らは、効果が「ある」とも「ない」とも断定できないと結論している。同様にパンプ系サプリの効果を検証した「シトルリンマレートのメタ分析」でも、効果は小さいとされた。
よくある質問
ポリフェノールのサプリで筋肉は増える?
今回のメタ分析では、筋トレに追加しても筋量や筋断面積が増えるという確かな証拠は得られなかった。
抹茶や緑茶を飲むと筋トレの効果が落ちる?
今回の解析では、筋力・筋量ともに効果量はマイナスではなく、成果を妨げるという結果も示されていない。
筋トレ中の栄養で優先すべきことは?
総エネルギーとたんぱく質量の確保が先であり、研究では体重1kgあたり1日1.6g程度が一つの目安とされる。
KINNIKU TIMESの視点
ポリフェノールは食事から自然にとれる成分であり、お茶や果物を楽しむこと自体を否定する結果ではない。ただし、筋肥大や筋力アップを目的にサプリメントとして追加する根拠は、現時点では弱い。限られた予算は、まずたんぱく質の確保やトレーニングの継続に回すのが合理的である。たんぱく質量の目安は「たんぱく質は体重1kgあたり何gが目安か」で、プロテインの価格比較は筋トレ最安ナビ(プロテイン)で確認できる。
出典:Zhu Y, et al. Frontiers in Nutrition(2026年8月28日)doi:10.3389/fnut.2026.1906384