プテロスチルベンの効果は?ブルーベリー成分が筋細胞の脂肪蓄積を抑制、信州大が解明
ブルーベリーなどに含まれるポリフェノール「プテロスチルベン」は、マウス由来の培養筋細胞で脂肪の蓄積を抑え、脂肪酸を燃やす遺伝子の働きを高めたと信州大学の研究チームが2026年に報告した。ただし結果は細胞実験の段階で、人で筋肉の脂肪が減るかは確かめられていない。
ブルーベリーなどに含まれるポリフェノール「プテロスチルベン」が、培養した筋細胞の中に脂肪がたまるのを抑えることがわかった。信州大学学術研究院農学系の三谷塁一(Takakazu Mitani)准教授らの研究チームが、マウス由来の筋細胞を使った実験の結果を学術誌「Food Bioscience」(83巻)に発表し、同大学が2026年7月27日に公表した。脂肪の燃焼にかかわるたんぱく質「PPARδ(ピーパーデルタ)」を安定させる仕組みも突き止めた。
プテロスチルベンとは?
プテロスチルベンは、ブルーベリーやブドウなどに含まれるポリフェノールの一種である。赤ワインなどに含まれるレスベラトロールに近い構造を持つ。
筋肉にたまる脂肪はなぜ問題?
脂肪は本来、脂肪組織に蓄えられるが、加齢や肥満、運動不足によって筋肉の中にも過剰にたまることがある。筋肉内の脂肪の蓄積はインスリンの効きが悪くなる状態(インスリン抵抗性)や代謝の不調の一因とされる。三谷准教授は、筋肉への脂肪の蓄積を直接狙った承認済みの治療法がないことが、食品成分に着目した理由だと説明している。筋肉内の脂肪については、超加工食品を多く食べる人ほど太ももの筋肉に脂肪が多いとの報告もある(関連記事)。
実験で何がわかった?
研究チームは、食品に由来する成分の中から筋細胞の脂肪蓄積を抑える物質を探した。その結果、プテロスチルベンが最も強い効果を示した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使った細胞 | マウス由来の骨格筋細胞(C2C12) |
| 筋細胞の脂肪 | 細胞内の脂質の蓄積が大きく減少 |
| 筋細胞の成長 | 筋細胞への分化・成長は正常に進んだ |
| 脂肪の分解 | 細胞外へのグリセロール放出が増加 |
| 遺伝子の働き | 脂肪酸を燃やす(β酸化)遺伝子の発現が上昇 |
| 仕組み | PPARδの分解を抑えてたんぱく質の量を増加 |
PPARδは、筋肉で脂肪酸を燃料として使う遺伝子の働きを調節するたんぱく質である。プテロスチルベンは、このたんぱく質が細胞内で分解されるのを防ぎ、量を増やすことで脂肪の消費を促していた。
人でも効果はある?研究の限界
今回の結果は培養細胞での実験に限られ、動物や人での効果は確かめられていない。食品やサプリメントとして口から摂った場合に、どれだけ筋肉に届くのかもわかっていない。研究チームは今後、肥満モデルの動物で体内での作用を確かめるとしている。現段階で、ブルーベリーやプテロスチルベンのサプリメントが筋肉の脂肪を減らすとは言えない。
よくある質問
ブルーベリーを食べれば筋肉の脂肪は減る?
現時点ではわからない。今回は培養細胞での結果であり、食品として食べた場合の効果は検証されていない。
プテロスチルベンのサプリは筋トレに役立つ?
今回の研究に、筋トレの成果を調べた人での試験は含まれていない。ポリフェノール全般でも、11試験のメタ分析で筋トレへの上乗せ効果は確認されていない(関連記事)。
KINNIKU TIMESの視点
筋肉の「質」を左右する筋肉内の脂肪に、食品成分から迫る日本発の研究として注目したい。ただし、細胞で効いた成分が人でも同じように効くとは限らない。筋肉内の脂肪対策の基本は、筋トレや有酸素運動を続けることと、食事全体を整えることである。サプリメントに期待する前に、まず運動と食事の土台を固めたい。
出典:信州大学農学部(2026年7月27日)/Shinshu University(2026年9月7日)/ScienceDaily(2026年9月5日)/Suzuki M, et al. Food Bioscience 83(DOI: 10.1016/j.fbio.2026.109519)