クレアチンで足がつる・筋肉痛が増える?研究で調べた
クレアチンで足がつる、筋肉痛が増えるという話を、大学フットボール選手の研究やISSNの見解で検証。足がつる主な原因と対策、受診を考える症状まで解説します。
監修ではなく、公開されている研究・公的情報をもとにした編集部の解説です。持病・服薬のある方、妊娠中の方は医師に相談してください。
研究では、クレアチンが足のつりを増やすとは報告されていません。大学アスリートの研究では、つりの発生が少なかったと報告されています。原因の切り分けは必要です。
クレアチンに関する8つの質問に、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の創設者であるJose Antonio博士が答える英語の解説動画です(Bodybuilding.com公式チャンネル)。動画内の発言は効果の根拠ではなく、紹介にとどめています。
クレアチンで足がつる(こむら返りが増える)のは本当?
少なくとも、クレアチンが足のつりを増やすとする研究結果は確認できていません。国際スポーツ栄養学会(ISSN)の2017年の見解は、クレアチン補給が脱水や筋けいれんの発生を増やすという説は研究で支持されず、むしろ運動選手では減る可能性があると整理しています。
この噂は、クレアチンが筋肉内に水分を引き込むため「体の他の部分が水分不足になる」という連想から広がったものです。実際の研究はどうだったのか、足がつる原因は何か、飲んでいて足がつったときの対処法を、順番に解説します。
研究ではどんな結果が出ている?
大学フットボール選手を対象にした研究(Greenwoodら, 2003年)が、このテーマの代表的な報告です。クレアチンを自分で選んで飲んだ選手(38人)と飲まなかった選手を比べると、クレアチン使用者の方が、筋けいれん、熱中症や脱水、筋肉のこわばり、筋肉の肉離れ、全体のけが、いずれも発生が少なかったと報告されています。使用者は最初の5日間に体重1kgあたり0.3gを飲み、その後は運動後などに1kgあたり0.03gを飲みました。
この結果は、Antonioらのレビュー(2021年)でも紹介されており、クレアチン使用者でつりと熱関連の症状が少なかった例として挙げられています。一方、接触によるけがや病気の発生率には差がありませんでした。
| 項目 | Greenwoodら(2003)の結果 |
|---|---|
| 筋けいれん | 使用者の方が有意に少ない |
| 熱中症・脱水 | 使用者の方が有意に少ない |
| 肉離れ・筋肉のこわばり | 使用者の方が少ない |
| 接触によるけが・病気 | 差は確認されなかった |
ただし、この研究は希望者が自分で選んで飲んだ観察的な設計で、無作為にグループを分けた試験ではありません。「クレアチンでつりを防げる」と断定できる結果ではなく、「増やすという根拠は見当たらない」という位置づけで読むのが適切です。
足がつる主な原因は何?
足がつる原因は、クレアチン以外にあるのが一般的です。トレーニングをする人に多い要因を挙げます。
- 筋肉の疲労: 普段より回数やセット数を急に増やした、同じ部位を連日追い込んだ。
- 発汗と電解質の不足: 夏場や室温の高いジムで大量に汗をかき、ナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムが減った。
- 水分不足: 運動中や就寝前の水分が少ない(水分摂取との関係)。
- 血流・冷え: 長時間同じ姿勢、冷房による冷え。
- 睡眠不足・ストレス: 夜間のこむら返りに多い。
- 薬や持病: 利尿薬など、つりを起こしやすくする薬や、腎疾患・糖尿病などの影響。
クレアチンを始めたタイミングと、トレーニング量や気温の変化が重なると、クレアチンが原因に見えてしまいます。いつ、どの場面でつったのかを書き出すと、原因が見えやすくなります。サウナ後のつりはサウナ・岩盤浴の注意点も確認してください。
筋肉痛が増えると感じるのは気のせい?
筋肉痛が増えたと感じる主な原因は、クレアチンそのものよりも、トレーニングの内容が変わったことにあるケースが多いです。クレアチンが筋肉痛を増やすという確かな根拠は、今回の調査では確認できませんでした。
よくあるきっかけは次のとおりです。
- クレアチンを飲み始めたころに、重量やボリュームを増やした。
- 新しい種目やフォームの変更を同時に始めた。
- 睡眠やたんぱく質の量が減った。
- ローディング中に体重が増え、体が重く感じた(飲み始めに感じやすい体の変化Q&A)。
筋肉痛の程度を比べたいなら、同じメニューを2〜3回続けたうえで、強さを1〜10で記録すると判断しやすくなります。強い痛みが数日たっても引かない場合は、トレーニング量の見直しを優先してください。
足がつったときの対処と、続けるときの工夫は?
まず、つったら筋肉をゆっくり伸ばし、温めるのが基本です。ふくらはぎなら、つま先を手前に引いてゆっくり伸ばします。落ち着いてから水分と塩分を補います。
クレアチンを続けながらつりを減らす工夫は次のとおりです。
- 水分を1日を通してこまめにとる。一度に大量に飲むより、少量を回数多くとる。
- 汗を多くかく日は、食事や飲み物でナトリウム・カリウム・マグネシウムを補う(電解質入りの商品の考え方)。
- トレーニング量は週ごとに10%程度を目安に、段階的に増やす。
- クレアチンは1日3〜5gにとどめ、量を増やさない。
- 胃腸の不調があるなら、量を分けるか食事と一緒に飲む(胃腸の不調と対処法)。
「週ごとに10%程度」は一般的なトレーニングの目安で、クレアチンに固有の基準ではありません。個人差が大きいので、体調に合わせてください。
こんなときは受診を考える
次のような場合は、クレアチンの摂取をいったん止めて、医療機関に相談してください。
- 強い筋肉痛、脱力、茶褐色の尿が同時に出る(筋肉の損傷が疑われる)
- 足がつる頻度が急に増え、むくみや片側の腫れ・痛みを伴う
- 夜間のこむら返りが週に何度も続く
- 腎疾患・糖尿病・高血圧・服薬中で、つりが増えた
これらは、クレアチンとは別の病気や薬の影響で起こることがあります。自己判断で水分や電解質を大量に足すと、持病によっては逆効果になるため、事前に医師の指示を受けてください。腎臓への影響は腎臓の解説で整理しています。
暑い時期・汗をかく日の飲み方の注意
夏場や汗を多くかく日は、足がつりやすい条件がそろいやすいため、クレアチンの有無にかかわらず注意が必要です。クレアチンを飲んでいる場合の具体的な工夫を挙げます。
- 運動前後に水分を意識する: のどが渇く前から、少量ずつ飲む。
- 塩分を含む飲み物や食事を足す: 汗でナトリウムが失われた日は、味噌汁や梅干しなど、普段の食事で補う方法もある。
- カフェインやアルコールを控えめに: 利尿作用があり、水分バランスが崩れやすい(お酒との組み合わせ)。
- 就寝前にも少し水分をとる: 夜間のこむら返りの対策として、一般的に勧められる方法。
夏場の水分補給の考え方は、夏場の熱中症対策とクレアチンの関係の記事でも解説しています。
最後に、運動後のケアとして多くの人が取り入れているストレッチ、入浴、睡眠の確保も、筋肉痛やつりの対策として一般的です。ただし、これらがクレアチンの有無と関係して効果を変えるという研究は見当たりません。クレアチンを飲んでいるから特別なケアが必要、というより、通常のトレーニングの回復の基本を押さえることが先です。体調に合わせて、無理のない範囲で続けてください。
つりや筋肉痛が気になる人は、クレアチンを始める前に、1〜2週間ほどトレーニングと体調を記録しておくと比較しやすくなります。つりの回数、場面、水分量、睡眠時間を書き出しておけば、始めたあとに変化があっても、原因を見分けやすくなります。変化が出たときは、クレアチンだけでなく、気温やメニューの変更も同時に振り返ってください。製品を選び直す場合は、筋トレ最安ナビで1回あたりの価格を比較できます。
よくある質問
クレアチンを飲み始めてから足がつるようになりました。やめるべきですか?
まずトレーニング量、汗の量、水分と睡眠の変化を確認してください。クレアチンがつりを増やす根拠は研究で確認されていません。強い痛みや茶褐色の尿があれば、摂取を止めて受診してください。
クレアチンは脱水を起こしやすくしますか?
ISSNの見解では、クレアチンが脱水や筋けいれんの発生を増やすことは支持されていません。ただし暑い環境での運動では、通常どおり水分をこまめにとることが大切です。
筋肉痛を減らす目的で飲んでもよいですか?
筋肉痛を減らす根拠は確認できていません。トレーニング量や睡眠など、他の要素の見直しを優先してください。
ローディング中に足がつりやすくなりますか?
ローディングでは1日20g程度を数日続ける方法が使われますが、足のつりが増えるとする確かな報告はありません。胃腸の不調が出やすいため、量を分けて飲むのが一般的です。
出典・参考
- Kreider RB, et al. International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. J Int Soc Sports Nutr. 2017
- Antonio J, et al. Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show? J Int Soc Sports Nutr. 2021
- Greenwood M, et al. Cramping and injury incidence in collegiate football players are reduced by creatine supplementation. J Athl Train. 2003
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