ベンチプレスの補助のやり方|手の位置・合図・やってはいけない補助
結論:ベンチプレスの補助は、始める前に「何回目・どんな状態で手を出すか」と「ラックアップの声かけ」を決めておくことがいちばん大切です。補助者は頭側に立ち、両手でバーを握れる位置に手を構え、バーが止まったら両手で持ち上げを助けます。セーフティバーを併用し、最初から触る・片手だけで支えるといった補助はしないようにしましょう。
合トレで「補助お願いします」と言われたとき、どこに立ち、どこを持てばいいのか迷った経験はないでしょうか。ベンチプレスはバーが胸や首の上を通る種目なので、補助のやり方を間違えると、実施者も補助者もけがをするおそれがあります。この記事では、合トレで補助をする前に知っておきたい手順と注意点をまとめました。
ベンチプレスの補助は何のためにするのか
ベンチプレスの補助(スポッター)には、大きく2つの目的があります。
- 安全の確保:バーが上がらなくなったときに、胸や首の上にバーが落ちるのを防ぐ
- あと少しの後押し:動きが止まりかけたところで最小限の力を貸し、最後の1回を完了させる
優先順位は、いつでも「安全」が先です。補助者の役目は、相手に代わって持ち上げることではなく、危ない状態にさせないことです。補助役という立場そのものについては スポッター(補助役)とは でも詳しく解説しています。
なお、補助があるから重い重量に挑戦してよい、というわけではありません。補助はあくまで保険です。自分でコントロールできる重量で行うのが前提で、補助をあてにした無理な重量設定は避けましょう。
始める前に決める合図と声かけ
補助の失敗の多くは、「どのタイミングで手を出すか」が2人の間でずれていることから起こります。セットの前に、次のことを口に出して確認しておきましょう。
- 何回やる予定か:「8回やります」。補助者は回数を数えながら待つ
- どんな状態で手を出すか:「バーが止まったら手を出してください」「自分から『お願い』と言うまで触らないでください」など
- ラックアップを手伝うか:ラックからバーを外す動作(ラックアップ、またはリフトオフ)を補助してほしいかどうか
- 補助のあと続けるか:補助で1回上げたらそこで終わるのか、もう1回続けるのか
声かけの言葉は、短く、聞き間違えにくいものにそろえます。次は一例です。2人で同じ言葉を使うことが大切です。
| 場面 | 実施者の声かけ | 補助者の声かけ |
|---|---|---|
| ラックアップ | 「3、2、1」で一緒に持ち上げる | 「はい、外します」 |
| 手を離すとき | 「OK」(自分で支えられる合図) | 「離します」と言ってから離す |
| 補助してほしいとき | 「お願い」「補助」 | 「持った」と言って両手で持つ |
| セット終了 | 「ラック」 | 「ラックに戻します」と言いながら一緒に戻す |
声が出せない状態のときもあるので、「バーが2秒ほど止まったら、声がなくても手を出す」のように、動きを基準にした取り決めもしておくと安心です。
補助者の立ち位置・姿勢・手の位置
立ち位置:頭側の正面に立つ
補助者はベンチの頭側、実施者の頭の後ろに立ちます。バーの真上に手が届き、実施者の顔が見える位置です。ラックの支柱が邪魔になる場合は、支柱の間に体を入れられる位置を探します。補助者用の台(踏み台)があるベンチでは、それに乗ると力を入れやすくなります。
姿勢:足を開き、腰を丸めない
- 足は肩幅くらいに開き、片足を少し前に出すと前後に安定する
- 膝を軽く曲げ、背中を丸めずに構える(腕だけでなく脚の力も使えるように)
- 体をバーに近づけ、腕を伸ばしきらない位置で構える
手の位置:両手で、相手の手の内側に
手は、実施者の両手の内側、バーのすぐ下に構えます。持つときは、片手を順手(手の甲が上)、もう片手を逆手(手のひらが上)にした握り方(オルタネイトグリップ)にすると、バーが手の中で転がりにくくなります。手を構えるだけでバーには触れず、バーの動きに合わせて手を上下させて追いかけます。
次の動画は、東京筋トレchannelがベンチプレスの補助の仕方を解説している動画です。立ち位置や手の構え方の参考にしてください。
補助の手順:ラックアップからラックに戻すまで
- 準備:重量とプレートの留め具(カラー)を確認し、セーフティバーの高さを合わせる。回数と合図を確認する
- ラックアップ:実施者がバーを握ったら、「3、2、1」でバーを一緒にラックから外し、胸の上(肩の真上あたり)まで運ぶ
- 手を離す:実施者の「OK」を聞いてから、「離します」と言ってゆっくり手を離す。手はバーの近くに残す
- セット中:手をバーの数センチ下に構えたまま、バーの上下に合わせて追いかける。回数を声に出して数えてもよい
- 補助:決めておいた合図(声、またはバーの停止)があったら、両手でバーを持ち、動きが続く分だけの最小限の力を加える。実施者の力を使わせることを意識する
- ラックに戻す:最後の1回が終わったら、バーを両手で持ち、実施者と一緒にラックのフックまで運ぶ。フックにかかったことを目で確認してから手を離す
補助者が見ておくところ
セット中の補助者は、バーだけでなく実施者の様子も見ておきます。次のような変化は、限界が近いサインです。
- バーの上がる速さが急に遅くなる
- 左右の腕の伸び方がそろわず、バーが傾き始める
- お尻がベンチから浮く、足が大きく動く
- 息が止まったまま、顔が強くこわばる
こうしたサインが出たら、手をバーのすぐ近くまで寄せ、合図に備えます。補助が必要な状態になってから慌てて手を伸ばすより、事前に距離を詰めておくほうが落ち着いて対応できます。
インクラインやダンベルの場合
インクラインベンチプレスも、頭側に立って両手でバーを補助する考え方は同じです。ベンチの角度がある分、補助者の手が届く高さが変わるので、空のバーで位置を確かめておきます。ダンベルプレスでは、ダンベルではなく実施者の手首の近くを両手で支えるのが一般的です。肘を押すと、ダンベルが顔の方へ倒れるおそれがあるため避けましょう。
次の動画は、運動健康学習塾によるベンチプレスの補助方法の解説です。手順を動きで確認できます。
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セーフティバー・セーフティラックとの併用
補助者がいても、セーフティバー(バーを受け止めるための棒)やセーフティ付きのベンチがあれば、必ず使う習慣をつけましょう。補助者の手が間に合わないこともあり、2重の備えにしておくことが大切です。
- パワーラックで行う場合:セーフティバーを、胸までバーを下ろしたときより少し低い高さに合わせる。高すぎると動作の邪魔になり、低すぎると受け止められない
- セーフティ付きのベンチ台:受け止め用のアームの高さを、同じように胸より少し下に合わせる
- セーフティがない台:補助なしで限界まで追い込まない。補助をつけ、余裕のある回数で終える
高さの合わせ方は、空のバーで胸まで下ろしてみて確認すると確実です。ジムによってベンチやラックの種類が違うので、使い方が分からないときはスタッフに聞いてみましょう。設備で選ぶ場合は ジムナビの設備比較 も参考になります。
- セーフティバーを適切な高さに合わせたうえで補助をつける
- 補助者と合図を決めてからセットを始める
- 限界の手前で止める回数設定
- セーフティなし・補助なしで限界まで追い込む
- 補助者がいるからとセーフティを使わない
- 合図を決めずに重い重量に挑戦する
やってはいけない補助
よかれと思ってやった補助が、かえって危ない状態を作ることがあります。次のような補助はやめましょう。
- 片手だけで支える:バーが傾き、片側のプレートが落ちたり、実施者の手首をひねったりするおそれがある
- 最初から触る:実施者がどれだけ自分の力で上げているか分からなくなり、バランスも崩れる。合図があるまで触らない
- 一気に引き上げる:補助は最小限の力で。急に持ち上げると、実施者の肩に負担がかかる
- 「OK」を聞く前に手を離す:ラックアップ直後に手を離すのが早いと、実施者が支えきれないことがある
- よそ見をする:スマートフォンを見ながら、ほかの人と話しながらの補助はしない
- 補助者が腰を丸めて腕だけで支える:補助者自身が腰を痛めるおそれがある
- 力の差が大きい重量を1人で受け持つ:自分では支えきれないと感じたら、補助を引き受けず、セーフティバーを使う方法や重量を下げる方法を提案する
実施者の側も、親指をバーに回さない握り方(サムレスグリップ)はバーが手から滑り落ちる危険があるため、補助に頼る前提では選ばないほうが無難です。
補助を頼まれても、相手の重量を支えられる自信がないときは、正直に伝えて断りましょう。「その重さは自分では支えきれないので、セーフティを使ってもらえますか」と言うのは失礼ではありません。
初めての相手と補助をするときの注意
初めて合トレする相手とは、お互いの力やクセが分かりません。最初の数セットは軽めの重量で補助の練習をして、合図がずれないかを確かめてから本番の重量に進みましょう。補助で体に触れるのは、バーやダンベル、必要なときの手首の近くまでにとどめます。
合トレ全体の安全面では、初めて会うときは人の多い時間帯にジムの中で会う、ジム以外の場所(自宅・車・個室)で会わない、連絡先は急いで交換しない、お金の貸し借りや物品の販売・勧誘は断る、という点も守ってください。違和感があれば中止して、ジムのスタッフに相談しましょう。詳しくは 初対面の合トレで気をつけること と 合トレナビの安全ガイド にまとめています。
けがをしたり、肩や胸に痛みが出たりしたときは、そこでトレーニングを中止してください。痛みが続くときは医療機関に相談しましょう。
よくある質問
Q. ベンチプレスの補助はどこを持てばいいですか?
実施者の両手の内側でバーを持ちます。片手を順手、もう片手を逆手にすると、バーが手の中で転がりにくくなります。補助が必要になるまではバーに触れず、すぐ下に手を構えておきます。
Q. 補助は何回目から手を出せばいいですか?
回数ではなく、事前に決めた合図で判断します。「バーが止まったら」「『お願い』と言われたら」など、セットの前に2人で決めておきましょう。
Q. ラックアップの補助は必要ですか?
重い重量のときは、ラックから外す動作で肩の位置が崩れやすいので、補助があると安定します。「3、2、1」で一緒に外し、「OK」の合図を聞いてから手を離します。
Q. 補助者が1人では不安なときはどうしますか?
セーフティバーを適切な高さに合わせ、重量を下げるのが基本です。両端に補助者を置く方法もありますが、3人での合トレを認めていない店舗もあるため、ジムのルールを確認してください。
Q. 補助なしでベンチプレスをしてもいいですか?
セーフティバーやセーフティ付きのベンチを使い、限界まで追い込まない回数で終えるなら、1人でも行えます。補助がないときほど、余裕のある重量にとどめましょう。
Q. 補助で1回上げたあと、続けてもいいですか?
事前に決めておけば続けてもかまいません。ただし、補助つきの回数を重ねるほど疲労は大きくなります。補助で上げる回数は1〜2回までにするなど、上限も一緒に決めておきましょう。補助を使った追い込み方は フォーストレップの記事 で解説しています。
まとめ
- 補助の目的は、まず安全。相手に代わって持ち上げることではない
- セットの前に、回数・手を出す合図・ラックアップの声かけを決める
- 補助者は頭側に立ち、両手で相手の手の内側に構える
- セーフティバーは補助と併用し、胸より少し下の高さに合わせる
- 片手だけ、最初から触る、一気に引き上げる補助はしない
補助をお願いし合える相手がいると、ベンチプレスは格段に取り組みやすくなります。
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この記事はFITPEAK合トレナビ編集部が公開情報をもとにまとめたものです。ジムのルールは店舗ごとに異なることがあるため、最新の情報は各ジムでご確認ください。
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