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消費者庁の報告書の再発防止策の図(出典:消費者庁 消費者安全調査委員会)

【消費者庁報告書】トレーナーの事故防止|登録196件と再発防止策を解説

消費者庁の消費者安全調査委員会は、2026年5月27日にパーソナルトレーニングの事故報告書を公表しました。

トレーナーを目指す人と、すでに指導している人が、現場で何を変えるべきか。報告書の原文を開いて、要点を整理しました。

トップ画像:消費者庁 消費者安全調査委員会「パーソナルトレーニングにおける事故」の図14を白地に配置したものです

事故の主な原因は、身体状況の共有不足と、痛みや違和感を放置した続行です。

  • 事故情報データバンクへの登録:2019年1月〜2025年12月で196件
  • 直ちに行うこと:初回から数回目は、低い強度から始める
  • 訴えがあったら:安全を最優先にして、運動を変えるか止める
  • トレーナーの資格:国家資格は不要。基準は今後、業界団体が整える方向

消費者庁の報告書の原文を読む

消費者庁のサイトに移動します。内容は変わることがあります(2026年10月確認)。

報告書の図14。再発防止策を、仕組みの創設、トレーナー側が直ちに行う対応、消費者への情報提供の3つに分けた図
画像:消費者庁 消費者安全調査委員会「パーソナルトレーニングにおける事故」(令和8年5月27日)図14より。加工なし

上の図が、報告書の再発防止策の全体像です。トレーナーに関わるのは、青の「直ちに行うべき対応」です。

消費者庁の報告書は何を示したか|事故は196件、近年は増加傾向

報告書は、パーソナルトレーニングを「トレーナーが運動を指導するサービス」と定め、骨折などの事故を調べました。

調査の目的は、事故の責任を問うことではありません。報告書の冒頭には、被害の発生や拡大を防ぐための調査だと書かれています。

事故情報データバンクに登録されたパーソナルトレーニング事故の年別件数。2019年14件から2025年44件までの棒グラフ
画像:消費者庁 消費者安全調査委員会「パーソナルトレーニングにおける事故」(令和8年5月27日)図1より。加工なし
年 登録件数
2019年 14件
2021年 19件
2023年 36件
2024年 31件
2025年 44件

※事故情報データバンク(事故DB)の登録件数です。表は抜粋で、全年は上の図のとおりです。実際の事故の数ではありません。

報告書は、この196件の外にも事故がある可能性を指摘しています。利用者は数百万人いる可能性があるためです。

ケガの重さと部位

196件のうち81件(41%)は、治療に1か月以上かかりました。背骨や腰椎を骨折した例もあります。

ケガの部位 件数
腰・股関節 59件
膝・足 44件
肩・腕 20件
首 6件

※部位が不明の51件などは省いています。件数は報告書の図4のとおりです。

被害者の年代は、40歳代が51件で最も多く登録されていました。ただし、利用者全体で40歳代が多いという意味ではないと、報告書は注意しています。

事故の主な原因|「共有されない」「止められない」

報告書は、事故の原因を次の流れでまとめています。身体状況が共有されないまま、または共有されても生かされないまま、プログラムが組まれます。

その後、痛みや違和感があっても、運動が直されず、止められないまま続きます。ここで事故が起きる、という見方です。

要因 内容
知識・経験 個々に合う種目と回数を決め、直す力の不足
確認の漏れ 危険性の見落とし、過小評価
利用者の遠慮 言い出しにくく、トレーナーの判断を優先する
運営の体制 育成や管理の仕組みの不足

※報告書の「事故原因の総括」を、編集部が表にまとめました。

特に3つ目は、トレーナーが変えられる点です。利用者は、気分が高まったり、遠慮したりして、痛みを言い出せないことがあります。

だからこそ、トレーナーの側から聞く仕組みが求められます。「今、痛みや違和感はありませんか」と、毎回声をかけるだけでも違います。

トレーナーが今すぐ行うべき2つの対応

報告書は、基準づくりを待たず、現場で今すぐ行う対応を2つ挙げています。

対応 報告書の内容
訴えへの対応 不安や違和感があれば、安全を最優先にする
初期段階の指導 初回から数回目は、十分な説明と低い強度

※報告書の図14「Ⅱ トレーナー側が直ちに行うべき対応」の要約です。

初回から数回目は「正しいフォームに慣れる」期間にする

報告書は、初期は正しいフォームを覚えて、負荷に慣れることを目的にするよう求めています。

NSCAジャパンの会員向け声明も、同じ考え方です。初心者には、高度な技術がいらない種目から始め、動作に慣れてから負荷を決めると、傷害のリスクが下がるとしています。

訴えがあったら、運動を変えるか止める

痛みや違和感の訴えがあれば、安全を最優先にします。声に出したのに続けさせることは、事故の典型的な流れです。

NSCAジャパンの声明では、エクササイズが苦痛を伴う場合は、修正または中止する必要があると引用されています。

初回の面談で聞くこと

報告書のアンケートでは、トレーナー582名のうち、プログラム作成で「病歴や既往症」を重視する人が90%でした。

一方で、「少し負荷をかけすぎた」と感じることが「たまにある」人も42%いました。経験者でも、強度の見極めは難しいことが分かります。

  • 現在の病歴や既往症、内服薬
  • 過去のケガや骨折
  • これまでの運動習慣
  • 当日の体調

上の4つは、報告書が身体状況の例として挙げた内容に、アンケートの回答を合わせたものです。毎回の記録に残すと、確認の漏れを減らせます。

資格は事故防止にどう関わるか|国家資格はなく、水準は多様

報告書によると、パーソナルトレーニングを提供するために、特定の国家資格は必要ありません。資格のない人も、実際に提供しています。

フィットネス分野の民間資格は、国内だけで100以上あると紹介されています。1日の講習で取れるものも、大学卒業が条件のものもあります。

項目 報告書の説明
国家資格 必須ではない
民間資格 100以上。内容と水準は多様
今後 業界団体が知識と手順を体系化する想定

※報告書の「関連する制度等」と「再発防止策」の要約です。

報告書は、基準づくりは業界団体が進めるのが適切だとしています。経済産業大臣には、団体への働きかけを求める意見が出されました。

資格団体は、報告書をどう受け止めたか

NSCAジャパンは2026年6月、会員向けの声明を出しました。報告書で、NSCA-CPTが資格の一例として紹介されたことに触れています。

声明は、有資格者による指導がないと、傷害や訴訟の原因になり得ると述べています。基本知識を持つ質の高い指導が必要だという立場です。

資格ごとの難しさや費用は、NSCA-CPTの難易度と合格率で確かめられます。選び方はパーソナルトレーナーの資格の選び方で比べています。

独立・所属を問わず整えたい体制|手順書と賠償責任保険

報告書は、事業の運営者にも責任があるとしています。トレーナーの育成と管理を、基準に沿って見直すことが必要です。

アンケート項目 回答
業務フローが「ない」 22%
賠償責任保険に未加入 18%
保険加入が「分からない」 16%

※トレーナー582名への報告書のアンケートです。保険は、所属先の保険、自分の保険、資格団体の自動付帯の合計で加入の状況を聞いています。

独立する人は、手順書と保険を、自分で用意する必要があります。契約の注意点は、トレーナーの業務委託契約と保険にまとめています。

事故が起きたときの連絡先と手順を、事前に決めておくことも大切です。報告書のアンケートでは、事故時の手順書が「ない」人が12%いました。

迷ったときの考え方とよくある質問

迷ったら「低い強度から、毎回聞く」を守る

迷ったら、強度を下げて、毎回、痛みと違和感を聞きましょう。報告書の再発防止策の中心が、この2点だからです。

  • 向く人:これから指導を始める人、独立を考えている人
  • 向かない人:すでに医療機関の指示で運動する人(医師の指示を優先します)

この報告書に、法的な拘束力はありますか

報告書は、事故の再発を防ぐための意見であり、トレーナーに新しい義務を直接つくるものではありません。ただし、今後の業界の基準づくりに影響する可能性があります。

トレーナーに国家資格は必要になりますか

報告書は、国家資格の創設を求めていません。業界団体が、知識や手順の基準を整える方向を示しています。

利用者は、何に気をつければよいですか

報告書は、低めの負荷から始めること、気になることを伝えること、不安が残る運動は止めることを挙げています。

利用者向けの注意は、消費者庁が2026年8月に公開した資料にも載っています。トレーナーも、自分の利用者に伝えやすくなります。

※料金の水準を知るなら、パーソナルジムの料金比較(新宿区)もチェックしてみてください。

まとめ

  • 事故DBの登録は、2019年〜2025年で196件。2025年は44件でした
  • 原因は、身体状況の共有不足と、修正・中止の遅れです
  • 今すぐ、初回から数回目は低い強度にし、訴えには安全を最優先にします

報告書の再発防止策を原文で確かめる

消費者庁のサイトに移動します(2026年10月確認)。

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