内臓脂肪レベルの目安は9以下が標準 タニタ・オムロンの基準と減らし方
体組成計の内臓脂肪レベルの目安を、タニタとオムロンの公式説明で整理した。どちらも10から「やや過剰・やや高い」、15から「過剰・高い」となる。医学的な基準である内臓脂肪面積100cm²との関係、メーカー間で数字を比べられない理由、運動と食事で内臓脂肪を減らした研究を解説する。
体組成計の内臓脂肪レベルは、タニタでは9.5以下、オムロンでは1〜9が「標準」だ。両社とも10からが「やや過剰」「やや高い」、15からが「過剰」「高い」になる。医学的な基準は、CTで測った内臓脂肪面積100cm²以上で、腹囲では男性85cm・女性90cmに相当する。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
家庭用の体組成計に乗ると、体脂肪率と並んで「内臓脂肪レベル」という数字が表示される。8なら安心なのか、12なら何をすべきなのか。本記事は、タニタとオムロンが公式サイトや取扱説明書の別冊で公開している内臓脂肪レベルの説明と判定基準を10月21日時点で確認し、医学的な診断基準、運動や食事で内臓脂肪を減らした研究とあわせて整理した。
内臓脂肪レベルの目安は?タニタとオムロンの判定基準
内臓脂肪は、おなかの中の内臓のすき間につく脂肪だ。皮膚のすぐ下につく皮下脂肪とは別もので、タニタは公式サイトで、内臓脂肪の過剰な蓄積は循環器系疾患などの生活習慣病の発症と密接な関係があるとされていると説明している。両社の判定基準を並べると次のようになる。
| 判定 | タニタ | オムロン |
|---|---|---|
| 標準 | 9.5以下 | 1〜9 |
| やや過剰/やや高い | 10.0〜14.5(やや過剰) | 10〜14(やや高い) |
| 過剰/高い | 15.0以上(過剰) | 15〜30(高い) |
| 表示の範囲 | 1〜59 | 30段階 |
| 対象年齢 | 18〜99歳 | 18歳未満は表示されない(機種による) |
出典:タニタ「体組成計の測定項目の見かたについて」「タニタマガジン」、オムロン体重体組成計の取扱説明書別冊「活用ハンドブック」(HBF-911)、オムロン ヘルスケアストアの製品ページ。
タニタは判定ごとの捉え方も示している。「標準」は内臓脂肪蓄積のリスクは低く、今の食事と運動を維持する段階。「やや過剰」は適度な運動とカロリー制限で標準を目指す段階。「過剰」は積極的な運動や食事制限による減量が必要な段階で、医学的な診断は医師に相談するよう求めている。業務用のInBody270Sでも、メーカーの資料は内臓脂肪レベルについて「10を超えると注意が必要」と説明しており、各社とも10前後を一つの境目にしている。
内臓脂肪レベルはどうやって計算しているのか
内臓脂肪の量は、本来は病院で腹部のCT(X線断層撮影)を撮り、へその高さの断面に写る内臓脂肪の面積で評価する。家庭用の体組成計にCTの機能はないため、各社は独自の方法で推定している。
オムロンの活用ハンドブックによると、内臓脂肪レベルは、腹部CT画像を使って内臓のまわりについている脂肪面積の大小を自社データに基づいて30段階にレベル化したもので、同社独自の推定式で算出される。タニタは、測定した電気抵抗値から性別、年齢などの情報を加味して、内臓脂肪蓄積のリスクを統計的に評価したものだと説明している。
つまり内臓脂肪レベルは、CTで測った面積そのものではなく、体に流した微弱な電流の通りにくさと入力した情報から計算した推定値だ。計算式はメーカーごとに異なり、表示の範囲もタニタが1〜59、オムロンが30段階と違う。同じ「10」でも、メーカーが違えば同じ量の内臓脂肪を意味するとは限らない。記録をつけるなら、同じ機械で測り続けることが前提になる。
筋肉の多い人は数字がずれることがある
オムロンの体重体組成計HBF-230Tの製品ページには、正しく測定できない場合がある人として、高齢者、発熱中の人、妊娠中の人などに加え、ボディビルダーやスポーツを職業にしている人、またはそれに近い人が挙げられている。体内の水分量などの体組成が平均的な値と大きく違う可能性があるためだという。また、体重以外の指標は同社独自の推定式を用いているとも明記している。トレーニングを積んで筋肉量が多い人ほど、表示された数字を絶対値として受け取らない方がよい。
医学的な内臓脂肪の基準は何cm²か
医学の世界で使われる基準は、CTで測った内臓脂肪面積100cm²だ。厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、日本では2005年に日本内科学会など8つの医学系の学会が合同でメタボリックシンドロームの診断基準を作った。その必須項目が内臓脂肪の蓄積で、ウエスト周囲径(へその高さの腹囲)が男性85cm以上、女性90cm以上と定められている。この腹囲は、男女とも内臓脂肪面積100cm²以上に相当する値として設定された。
| 区分 | 項目 | 基準 |
|---|---|---|
| 必須項目(内臓脂肪蓄積) | ウエスト周囲径 | 男性85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪面積 男女とも100cm²以上に相当) |
| 選択項目(3つのうち2つ以上) | 脂質 | 中性脂肪150mg/dL以上 かつ/または HDLコレステロール40mg/dL未満 |
| 血圧 | 最高130mmHg以上 かつ/または 最低85mmHg以上 | |
| 血糖 | 空腹時110mg/dL以上 |
出典:e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」。同サイトは、CTスキャンなどで内臓脂肪量を測ることが望ましいとも注記している。
100cm²という線には根拠がある。オムロンの活用ハンドブックは日本肥満学会の委員会の報告を引用し、内臓脂肪面積別に健康障害(主に2型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧など)の数を調べると、100cm²を超えると合併数が一段と上昇して平均1.5個を超え、150cm²以上ではさらに増えて平均2個を超えたと紹介している。タニタも、CT画像による実測値で100cm²を超えると生活習慣病を引き起こす可能性が高いといわれていると説明している。
ただし、体組成計の内臓脂肪レベルの「10」が内臓脂肪面積100cm²にあたると公式に説明しているメーカーの記載は、今回確認した資料には見当たらなかった。家庭で医学的な基準に近い目安を知りたいなら、メジャーでへその高さの腹囲を測る方法がある。腹囲の基準と平均はウエストの平均と基準で詳しく扱っている。
内臓脂肪は運動と食事でどのくらい減るのか
タニタは、内臓脂肪は女性より男性につきやすく、若い人より中高年に多い傾向があり、皮下脂肪に比べると短期間で変化しやすいと説明している。実際に、運動や食事で内臓脂肪がどれだけ減るかを調べた研究は多い。主なメタ分析(複数の試験をまとめた分析)は次のとおりだ。
| 研究 | 対象 | 主な結果 |
|---|---|---|
| Ismail ら(2012年、Obesity Reviews) | 過体重・肥満の成人を対象とした35試験 | 有酸素運動は内臓脂肪を有意に減らした。筋トレ単独では対照群と有意差がなかった |
| Vissers ら(2013年、PLoS One) | 過体重の成人、15研究・852人 | 運動で内臓脂肪は減少。食事制限なしの有酸素運動でも、12週間でCT上の面積が女性で30cm²超、男性で40cm²超減る効果が示された |
| Verheggen ら(2016年、Obesity Reviews) | 117研究・4,815人 | 運動も食事制限も内臓脂肪を減らす。体重が減らなかった場合でも運動では内臓脂肪が6.1%減り、食事制限では1.1%とほぼ変わらなかった |
| Wewege ら(2022年、Sports Medicine) | 健康な成人、58研究(54研究をメタ分析) | 全身の筋トレは、運動しない対照群に比べて体脂肪率を1.46ポイント下げ、内臓脂肪も有意に減らした |
研究から言えるのは、まず有酸素運動が内臓脂肪を減らす中心になるということだ。Verheggenらの分析は、体重計の数字が動かなくても運動で内臓脂肪は減りうることを示しており、体重だけで成果を判断しない方がよい理由になる。筋トレの効果は研究によって結果が分かれるが、健康な成人を対象にした新しい分析では内臓脂肪の減少が確認されている。筋トレで体脂肪が減る仕組みは筋トレのダイエット効果、マウスで筋トレが内臓脂肪の細胞を縮めた研究は筋トレ7日間で内臓脂肪の細胞が縮小で紹介している。
おなかの運動だけでは内臓脂肪は落ちない
腹筋運動をすればおなかの脂肪が減る、と考える人は多い。しかし、特定の部位を動かしてその部位の脂肪だけを減らす「部分痩せ」は、研究で支持されていない。内臓脂肪を減らすには、全身の運動と食事で体全体のエネルギー収支をマイナスにすることが基本になる。詳しくは部分痩せはできるかを参照してほしい。
内臓脂肪レベルを正しく記録するには
内臓脂肪レベルは体の電気抵抗から計算するため、体の水分の状態で数字が動く。業務用InBodyのメーカー資料は、食後は2時間ほど空ける、運動や入浴の前に測る、トイレを済ませる、できるだけ午前中に測るといった注意を挙げている。家庭用の体組成計でも考え方は同じだ。
- 毎回同じ時間帯(例:起床後、トイレの後、朝食の前)に測る
- 運動・入浴・飲酒の直後は避ける
- 同じ機械、同じ場所(床が硬く平らな所)で測る
- 1日の数字ではなく、1〜2週間の平均の変化で判断する
オムロンは活用ハンドブックで、測定結果は診断のためではなく、肥満ややせを早期に発見するための目安として見るよう求めている。体脂肪率が低くても内臓脂肪レベルが高い場合や、その逆もあるとも書いている。体脂肪率と内臓脂肪レベルは別の指標として、両方を見るのがよい。
よくある質問
内臓脂肪レベル10は危険なのか
タニタでは「やや過剰」、オムロンでは「やや高い」の入り口にあたる。タニタは、適度な運動とカロリー制限で標準を目指すよう勧めている。病気かどうかを判断する数字ではなく、医学的な判断は健診の結果や医師の診察で行う。
タニタとオムロンで内臓脂肪レベルが違うのはなぜか
計算方法が各社独自だからだ。タニタは電気抵抗値に性別や年齢などを加味して統計的に評価し、オムロンは自社データに基づく独自の推定式で算出している。表示の範囲も異なるため、別のメーカーの数字は比べられない。
痩せているのに内臓脂肪レベルが高いことはあるか
ある。オムロンは、体脂肪率が低くても内臓脂肪レベルが高い場合があると説明している。見た目では分かりにくいため、体重やBMIだけでなく腹囲や内臓脂肪レベルも確認したい。
内臓脂肪レベルは何歳から測れるのか
タニタの対象年齢は18〜99歳だ。オムロンも、確認した機種では18歳未満は内臓脂肪レベルが表示されない(HBF-230Tは17歳以下は測定できないと記載)。
KINNIKU TIMESの視点
内臓脂肪レベルは、家にいながら内臓脂肪の増減の向きを追える便利な数字だ。ただし、メーカー自身が推定値であり診断ではないと書いている点は押さえておきたい。特に筋トレを続けて筋肉量が多い人は、オムロンが正しく測定できない場合がある例としてボディビルダーやそれに近い人を挙げているとおり、数字が実態からずれることがある。
初心者への助言は3つだ。第一に、1回の数字ではなく、同じ条件で測った数週間の流れを見る。第二に、レベルが10以上なら、週に数回の有酸素運動と全身の筋トレを組み合わせる。研究では有酸素運動が内臓脂肪を減らす中心で、筋トレは筋肉を守りながら体脂肪を減らす役割を担う。第三に、食事は極端に削らず、たんぱく質を確保したうえで少しずつ摂取カロリーを抑える。食事の配分はPFC計算で確かめられる。
そして年に一度の健診で、腹囲と血圧・血糖・脂質を確認する。体組成計の内臓脂肪レベルは日々の目安、健診の数字は医学的な判断材料と役割を分けて使えば、どちらも無駄にならない。体組成計の数字全般の読み方はInBodyの見方や体脂肪率の目安も参考にしてほしい。
出典
- タニタ「体組成計の測定項目の見かたについて」
- タニタマガジン「【内臓脂肪レベル】からだの情報と改善アドバイス」(2025年7月16日)
- オムロン ヘルスケア「体重体組成計 活用ハンドブック」(HBF-911 取扱説明書別冊、PDF)
- オムロン ヘルスケアストア「体重体組成計 HBF-230T カラダスキャン」
- インボディ・ジャパン「InBody270S 結果項目の説明」(PDF)
- e-ヘルスネット(厚生労働省)「メタボリックシンドロームの診断基準」
- Ismail I, et al. A systematic review and meta-analysis of the effect of aerobic vs. resistance exercise training on visceral fat. Obes Rev. 2012(PubMed)
- Vissers D, et al. The effect of exercise on visceral adipose tissue in overweight adults. PLoS One. 2013(PubMed)
- Verheggen RJ, et al. Exercise training versus hypocaloric diet: distinct effects on body weight and visceral adipose tissue. Obes Rev. 2016(PubMed)
- Wewege MA, et al. The Effect of Resistance Training in Healthy Adults on Body Fat Percentage, Fat Mass and Visceral Fat. Sports Med. 2022(PubMed)
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