【公的基準と研究で解説】内臓脂肪を落とすには?腹囲の目安と運動の選び方
内臓脂肪を落とすには、食事でとるエネルギーを見直しながら、続けられる運動を積み重ねることが基本です。メタボリックシンドロームの診断基準では、腹囲(へその高さのウエスト)が男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪蓄積の目安としています。61件の試験をまとめた研究では、有酸素運動・筋トレ・高強度インターバルトレーニング(HIIT)のいずれも、運動しない群と比べて内臓脂肪が減ったと報告されています。ただし効果には個人差があり、健診で異常を指摘された人や持病のある人は、運動を始める前に医師に相談してください。
メタボリックシンドロームの診断基準(2005年)
②収縮期血圧130mmHg以上 または 拡張期血圧85mmHg以上
③空腹時血糖110mg/dL以上
内臓脂肪と腹囲の目安
内臓脂肪は、おなかの中の臓器のまわりにつく脂肪です。厚生労働省の検討会資料では、内臓脂肪がたまると、中性脂肪やコレステロールの異常、血圧の上昇、血糖の異常が重なりやすくなり、心臓や血管の病気につながると説明されています(厚生労働省 検討会資料)。
内臓脂肪の量を正確に測るには腹部CTが使われますが、健診ではかわりに腹囲が使われます。同資料では、腹囲の基準(男性85cm以上、女性90cm以上)は内臓脂肪面積100cm²に相当するとされ、BMIが25未満でも腹囲が基準を超えれば内臓脂肪型肥満と判定されます。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 腹囲(必須) | 男性85cm以上、女性90cm以上 |
| 脂質 | 中性脂肪150mg/dL以上 かつ/または HDLコレステロール40mg/dL未満 |
| 血圧 | 収縮期130mmHg以上 かつ/または 拡張期85mmHg以上 |
| 血糖 | 空腹時血糖110mg/dL以上 |
腹囲に加えて、脂質・血圧・血糖のうち2項目以上があてはまるとメタボリックシンドロームと判定されます。薬で治療中の場合は、その項目にあてはまるものとして扱われます。
腹囲の測り方
同資料では、腹囲は「立った姿勢で、軽く息を吐いたときに、へその高さで測る」とされています。へそが下のほうにずれている場合は、肋骨のいちばん下と腰骨の出っぱり(前上腸骨棘)の中間の高さで測ります。自分で測るときは、毎回同じ時間帯・同じ条件で測ると変化を比べやすくなります。
研究でわかっている運動の効果
過体重・肥満の人を対象にしたランダム化比較試験61件(参加者4,136人)をまとめた2026年の研究では、調べたすべての運動が、運動しない群と比べて内臓脂肪を減らしたと報告されています(Changら, 2026)。
| 運動の種類 | 研究での結果 |
|---|---|
| HIIT(高強度インターバルトレーニング) | 比べた運動のなかで減り方がもっとも大きく、少ない運動量(400METs・分/週)でも効果がみられた |
| 有酸素運動+筋トレ | 内臓脂肪が減った。はっきりした効果には多めの運動量(1,100METs・分/週)が必要だった |
| 有酸素運動 | 内臓脂肪が減った。はっきりした効果には多めの運動量(1,100METs・分/週)が必要だった |
| 筋トレ | 内臓脂肪が減った。減り方は4種類のなかでもっとも小さかった |
METs・分/週は、運動の強さ(METs)に時間(分)をかけた1週間の運動量の単位です。この研究では、運動の種類を問わない全体の運動量でみると、730METs・分/週が内臓脂肪の減少がみられる最小の量とされています。
この結果は「HIITだけをすればよい」という意味ではありません。HIITは息が上がるほどの強い運動をくり返すため、運動に慣れていない人や持病のある人には向かない場合があります。研究は平均的な傾向を示したもので、一人ひとりの結果を約束するものではありません。続けられる運動を選ぶことを優先しましょう。
内臓脂肪を落とすための進め方
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に次のような目安を示しています(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023)。
| 項目 | ガイドの目安(成人) |
|---|---|
| 身体活動 | 歩行かそれ以上の強さの身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上) |
| 筋トレ | 週2〜3日 |
| 体脂肪とエネルギー | 体脂肪1kgを減らすのに必要なエネルギー量は約7,000kcal |
同ガイドでは、減らしたい体重(kg)×7,000kcal÷期間(月)÷30日で、1日あたりに減らすエネルギー量の目安を計算する方法も紹介されています。たとえば2kgを4か月で減らす場合、2×7,000÷4÷30=約117kcal/日です。この分を、食事と運動の両方で少しずつつくる考え方です。
- 食事:間食や飲み物、揚げ物、主食の量など、減らしやすいところから見直す
- 日常の活動:歩く時間を増やす、階段を使うなど、ふだんの動きを増やす
- 運動:有酸素運動と筋トレを組み合わせ、慣れてきたら量や強さを少しずつ上げる
- 記録:腹囲と体重を同じ条件で定期的に測り、変化を確かめる
筋トレをするときは、息をこらえないように注意しましょう。運動のメニューや食事の組み立てを一緒に考えてほしい人は、パーソナルジムも選択肢です。ダイエット向けパーソナルジムのおすすめで比べています。
よくある質問
腹筋運動をすればおなかの内臓脂肪は落ちますか?
今回の研究は、運動の種類ごとに内臓脂肪全体の変化を比べたもので、特定の部位を鍛えると、その部分の脂肪が落ちることを示したものではありません。腹筋運動も含め、全身の運動と食事の見直しを組み合わせて考えましょう。
内臓脂肪はどのくらいで減りますか?
減り方は、食事や運動の量、もともとの体格などで人によって違います。腹囲や体重を記録して、数か月単位で変化を確かめましょう。
体重計の「内臓脂肪レベル」は信用できますか?
家庭用の体組成計の値は、機種ごとの方法で推定したものです。健診では腹囲が基準として使われています。体組成計を使う場合は、同じ機種・同じ条件で測った変化をみる目安にしましょう。
やせ型でも内臓脂肪はつきますか?
厚生労働省の資料では、BMIが25未満でも腹囲が基準を超えれば内臓脂肪型肥満と判定されるとされています。体重だけでなく腹囲もあわせて確かめましょう。
健診で数値の異常を指摘されました。運動してもいいですか?
血圧や血糖などの異常を指摘された人、治療中の人は、運動の種類や強さを医師に相談してから始めてください。
出典
- 厚生労働省「生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会」第3回資料「メタボリックシンドロームの考え方」
- Chang Y, et al. Unveiling the perfect workout: exercise modalities and dosages to combat visceral adipose tissue in individuals with overweight and obesity. Nutr Metab (Lond). 2026
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
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