【会員数別の試算つき】ジムオーナーの年収はどう決まる?|返済後の手取り
ジムオーナーの年収は「店に残る利益 − 借入の元金返済 − 税・社会保険」で決まり、決まった相場はありません。利益を左右するのは、損益分岐の会員数をどれだけ上回れるかです。ジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)では、24時間ジム30坪の損益分岐は232人で、232人を下回る間はオーナーの取り分が出ません。自分の物件・料金・借入の条件で計算し直してください。
ジムの売上がオーナーの手取りになるまで
オーナーの年収を決める3つの数字
ジムオーナーの年収は、会社員の給料のように先に決まっているものではありません。店に残ったお金から、借入の返済と税金を払った残りがオーナーの取り分になります。見るべき数字は次の3つです。
| 数字 | 意味 | 年収への効き方 |
|---|---|---|
| 損益分岐の会員数 | 毎月の費用をちょうどまかなえる会員数 | ここを超えた会員の分だけが利益になる |
| 会員1人あたりの粗利 | 月会費 − 1人あたりの変動費(決済手数料など) | 1人増えるごとに増える利益の大きさ |
| 借入の元金返済 | 開業資金を借りた場合に毎月返す元金 | 利益から出ていくため、手元に残るお金が減る |
損益分岐の会員数 = 毎月の固定費 ÷(月会費 − 会員1人あたりの変動費)です。たとえばジム開業ナビの試算モデル(2026年10月)の24時間ジム30坪は、月の費用202万円・損益分岐232人です。202万円 ÷ 232人で計算すると、会員1人あたりおよそ8,700円が費用をまかなう分になります(モデルの数字から割り戻した目安)。
大事なのは、借入の元金返済は店の費用(損益計算)には出てこないのに、手元のお金からは確実に出ていくことです。帳簿の上では黒字でも、オーナーが使えるお金はそれより少なくなります。どこまでが経費になるかは事業の形で変わるため、税理士に確認してください。
会員数ごとの年収の例:24時間ジム30坪のモデルで計算
ここでは、上の「会員1人あたり約8,700円」を使い、損益分岐の232人を超えた会員の分を利益として単純化して計算します。借入は1,500万円を10年(120か月)で元金を均等に返す例とし、元金は月12.5万円、年150万円です(利息・税・社会保険は含めません)。いずれも計算のための例で、実際の数字は物件・料金・見積もりで変わります。
| 会員数 | 店の利益(月) | 店の利益(年) | 元金返済後(年) |
|---|---|---|---|
| 232人 | 0円 | 0円 | −150万円 |
| 250人 | 約15.7万円 | 約188万円 | 約38万円 |
| 300人 | 約59.2万円 | 約710万円 | 約560万円 |
| 350人 | 約102.7万円 | 約1,233万円 | 約1,083万円 |
| 400人 | 約146.3万円 | 約1,755万円 | 約1,605万円 |
表からわかるのは、損益分岐のすぐ上では、借入を返すとオーナーの取り分がほとんど残らないことです。250人と300人の差は50人ですが、元金返済後の金額は500万円以上違います。年収を考えるときは「何人集まれば黒字か」ではなく「何人で生活できるか」を先に出しておくと、計画の甘さに気づけます。
パーソナルジムは形が違います。試算モデルの15坪・マシン4台は月の費用187万円・損益分岐46人で、割り戻すと1人あたり約4万円です。会員数は少なくても、1人の増減が年収に与える影響が大きくなります。たとえば損益分岐より10人多い56人なら、10人 × 約4万円で月40万円ほどが利益の目安です(計算のための例)。
オーナーの働き方と、個人・法人で変わること
同じ店でも、オーナーがどれだけ現場に入るかで年収の見え方が変わります。試算モデルの24時間ジムは月の人件費40万円を入れています。オーナー自身が受付や清掃を担えば人件費は減りますが、その分は「オーナーが働いて得たお金」であり、店の実力で生まれた利益とは分けて考えると、2店舗目を出すときの判断を誤りにくくなります。
| 形 | オーナーの収入の出方 | 確認先 |
|---|---|---|
| 個人事業 | 事業所得(総収入金額 − 必要経費)が所得になる。青色申告の特別控除を使えることがある | 税務署・税理士 |
| 法人 | 会社から役員報酬を受け取る。会社の利益と個人の報酬を分けて設計する | 税理士・社会保険労務士 |
| オーナーが現場に入る | 人件費を減らせるが、オーナーの時間が店に縛られる | 自分の働き方の計画 |
| 運営を任せる | 人件費は増えるが、複数店舗を見る時間ができる | 店長・業務委託の契約内容 |
国税庁の案内(2026年10月23日確認)では、事業所得は「総収入金額 − 必要経費」で計算します。青色申告で正規の簿記により記帳し、期限内に申告するなどの要件を満たすと最高55万円、さらにe-Taxで申告するなどの要件を満たすと最高65万円の青色申告特別控除があります。どちらの形が向くかは利益の大きさで変わるため、税理士に試算してもらいましょう。
会員数・月会費・退会率を入れると、売上と利益がどう動くかを試せます。「生活に必要な手取り」から逆算して、目標の会員数を決めるのに使ってください。
収益改善シミュレーションを無料で使う年収を上げる順番:会員数・単価・退会率・店舗数
オーナーの年収を上げる手段は、大きく4つです。どれから手をつけるかで、かかるお金と時間が変わります。
- 退会率を下げる:会員数が落ち着く先 = 月の新規入会 ÷ 月の退会率。毎月20人が入会する店で、退会率が5%なら400人、4%なら500人に近づきます(計算のための例)。広告費を増やさずに会員数を伸ばせる手段です。
- 単価を上げる:パーソナル指導・物販・回数券など、月会費の外の売上を足します。1人あたりの粗利が増えると、損益分岐の会員数そのものが下がります。
- 新規入会を増やす:広告やキャンペーンで入会を増やします。入会金を下げすぎると、退会しやすい会員が増えることもあります。
- 店舗を増やす:1店舗目が損益分岐を十分に上回ってから考えます。2店舗目の借入は、1店舗目の返済と重なります。
開業資金を日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月23日確認)で借りる場合、返済期間は設備資金で20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金で10年以内(同)と案内されています。返済期間を長くすると毎月の元金返済は小さくなり、手元に残るお金は増えますが、利息の総額は増えます。審査があり、希望どおりにならないこともあります。
よくある質問
ジムオーナーの平均年収はいくらですか?
ジムオーナーの年収をまとめた公的な統計は、確認した範囲では見つかりませんでした。業態・会員数・借入で大きく変わるため、平均の数字より、自分の店の損益分岐と目標の会員数から計算するほうが確かです。
開業1年目から年収は出ますか?
会員数が損益分岐に届くまでは、オーナーの取り分は出ません。試算モデル(2026年10月)では、初期費用の回収は24時間ジム30坪で17か月目、パーソナルジム15坪で32か月目です。その間の生活費を、開業資金とは別に用意しておくと安心です。
フランチャイズに加盟すると年収は変わりますか?
ロイヤリティなどの支払いが毎月の費用に加わるため、同じ会員数でも利益は減ります。一方で、集客や運営の仕組みを使える面もあります。本部が示す収益の例は、根拠と計算方法を必ず確かめてください。
パーソナルトレーナーとして独立するのとどちらが稼げますか?
トレーナーとして独立すると、店の固定費が小さいぶん少ない顧客で収入が出やすい一方、自分が指導できる時間が上限になります。ジムオーナーは固定費が大きい代わりに、人と仕組みで売上を増やせます。どちらが合うかは、使える時間と資金で決まります。
出典
- ジム開業ナビ「ジム開業の費用」試算モデル(2026年10月)
- 国税庁 タックスアンサー「事業所得の課税のしくみ(事業所得)」(2026年10月23日確認)
- 国税庁 タックスアンサー「青色申告特別控除」(2026年10月23日確認)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年10月23日確認)
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