FFMIの平均と目安は?ナチュラルの上限25の根拠と限界、日本人の計算例
FFMI(除脂肪量指数)の平均は一般男性で19前後、運動部の大学生で23前後。「ナチュラルの上限25」の根拠であるKouriらの1995年の研究の中身と限界、25を超えるアスリートの報告、日本人の体格での計算例を論文から整理した。
FFMIの平均は、スイスの一般成人調査で18〜34歳男性18.9、女性15.4(中央値)。米大学の男子選手は平均23前後。「ナチュラルの上限25」はKouriらの1995年の研究が根拠だが、対象は74人で、25を超える選手の報告もある。
2026年10月21日 公開|KINNIKU TIMES 編集部
FFMI(除脂肪量指数、Fat-Free Mass Index)は、脂肪を除いた体重を身長で割って、筋肉の多さを比べやすくした指標だ。筋トレをする人の間では「ナチュラルでは25が限界」という話がよく知られている。本記事は、FFMIの平均と目安を論文の実測値で示し、「25」の根拠になった研究の中身と限界、日本人の体格での計算例を整理する。体脂肪率の基本は体脂肪率の目安と正しい測り方で解説している。
FFMIとは?計算式と補正の仕方
FFMIは、除脂肪量(体重から脂肪の重さを引いたもの)を身長(m)の2乗で割って求める。BMIの「体重」を「除脂肪量」に置き換えた形である。除脂肪量の求め方は除脂肪体重の計算で詳しく扱う。
| 項目 | 計算式 |
|---|---|
| 除脂肪量(kg) | 体重(kg)×(1 − 体脂肪率÷100) |
| FFMI | 除脂肪量(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m) |
| 補正FFMI(Kouriらの方法) | FFMI + 6.3 ×(1.80 − 身長(m)) |
補正FFMIは、Kouriらが1995年の論文で、身長1.8mの男性を基準にそろえるために加えた補正である。背の高い人ほどFFMIが高く出やすい傾向を調整するためのもので、身長1.8mより低い人は数値が上乗せされ、高い人は差し引かれる。「上限25」は、この補正後の数字で語られている点に注意したい。
FFMIの平均はどれくらい?一般の人とアスリートの目安
FFMIの「平均」は、誰を測ったかで大きく変わる。代表的な実測値を表にまとめた。
| 対象 | FFMI | 測定法・出典 |
|---|---|---|
| スイスの一般成人(18〜34歳)男性 | 18.9(中央値) | 生体電気インピーダンス法、5,635人(Schutzら, 2002) |
| 同 女性 | 15.4(中央値) | 同上 |
| 米大学(NCAA 3部)の男子選手98人 | 23.37(平均) | 空気置換法(Brandnerら, 2022) |
| 同 女子選手92人 | 17.54(平均) | 同上 |
| 米大学のアメリカンフットボール選手111人 | 23.50(平均、範囲18.1〜27.7) | 生体電気インピーダンス法(Fieldsら, 2024) |
| ステロイドを使っていない男性選手(Kouriらの対象) | 上限が25.0付近 | 補正FFMI(Kouriら, 1995) |
| ステロイド普及前のミスター・アメリカ優勝者20人(1939〜1959年) | 25.4(推定の平均) | 補正FFMI(Kouriら, 1995) |
スイスの調査(Schutzら)は、健康な成人の男性2,986人、女性2,649人を測ったもので、男性では年齢によるFFMIの差がみられなかった。一般の男性は19前後、運動部の大学生で23前後というのが、表から読み取れる大まかな目安である。ただし表の数字は測定法がそろっておらず、補正前と補正後の数値も混在している。自分の数字と比べるときは、どの方法で体脂肪率を測ったかを意識したい。
「ナチュラルの上限25」の根拠は?Kouri 1995の研究
「25」の出どころは、米マサチューセッツ州のマクリーン病院のKouriらが1995年にClinical Journal of Sport Medicineに発表した研究である。男性アスリート157人(アナボリックステロイド使用者83人、非使用者74人)のFFMIを計算した。
- ステロイドを使っていない選手の補正FFMIは、はっきりした上限である25.0までの範囲に収まった。
- ステロイドが広まる前(1939〜1959年)のミスター・アメリカ優勝者20人の補正FFMIを推定すると、平均は25.4だった。
- ステロイド使用者の多くは25.0を簡単に超え、30を超える人もいた。
Kouriらは、この結果を「予備的なもの」としたうえで、FFMIがステロイド使用を疑うための最初のふるい分けに役立つ可能性があると結論づけた。つまり、もともと「25を超えたら薬物使用者」と断定するための基準ではない。
「上限25」の限界は?超える例と注意点
対象が少なく、90年代の米国の選手に限られる
非使用者は74人で、ステロイドを使っていないかどうかは本人の申告に頼っている。ミスター・アメリカ優勝者のFFMIも、実測ではなく推定値だ。平均が25.4だったということは、当時の優勝者の中にも25を上回る人がいたことを意味する。
25を超えるアスリートは報告されている
2024年のFieldsらの研究では、米大学のアメフト選手111人のFFMIが18.1〜27.7に分布し、ラインマンの平均は24.8だった。著者らは「アスリートのFFMIの上限は25を超える可能性がある」と述べている。この研究はインピーダンス法で測った補正前の数値で、薬物検査の結果は要旨に書かれていないため、全員がナチュラルかどうかは断定できない。それでも、25が誰にも超えられない壁ではないことを示す。
日本の大相撲の力士37人を水中体重法で測った研究(Kondoら, 1994)では、最も大きな力士の除脂肪量は121.3kg(身長186cm、体重181kg、体脂肪率33.0%)だった。編集部が計算するとFFMIは約35になる。著者らは除脂肪量と身長の比(kg/cm)に着目し、0.7kg/cmが人の上限ではないかと提案している。体脂肪の多い大柄な人は、FFMIが高く出やすい点にも注意が必要だ。
測定法の誤差が大きい
FFMIは体脂肪率から計算するため、体脂肪率の誤差がそのまま響く。筋トレを続ける男性32人を調べた研究(Farleyら, 2021)では、日をまたいで測ったときの除脂肪量の誤差の目安が、インピーダンス法の一種で約4.0kg、DXA法で約2.0kgだった。身長170cmの人なら、4kgの差はFFMIで約1.4にあたる。家庭の体組成計で「25を超えた」「届かない」と一喜一憂する意味は小さい。
日本人の体格でFFMIを計算すると?
補正FFMIは身長1.8mを基準にしているため、平均身長が1.8mより低い日本人男性では、補正で数値が上乗せされる。いくつかの体格で計算した例を示す(数値は編集部の計算)。
| 身長・体重・体脂肪率 | 除脂肪量 | FFMI | 補正FFMI |
|---|---|---|---|
| 170cm・65kg・15% | 55.3kg | 19.1 | 19.8 |
| 165cm・60kg・12% | 52.8kg | 19.4 | 20.3 |
| 175cm・80kg・12% | 70.4kg | 23.0 | 23.3 |
| 172cm・85kg・10% | 76.5kg | 25.9 | 26.4 |
| 女性 158cm・52kg・25% | 39.0kg | 15.6 | (補正式は男性向け) |
170cm・65kg・体脂肪率15%という体格は、FFMI 19前後で、スイスの一般男性の中央値(18.9)とほぼ同じ水準になる。補正FFMIで25に届くには、身長172cmなら体脂肪率10%で体重80kg台前半が必要になる計算だ。Kouriらの補正式は男性のデータから作られたもので、女性にそのまま当てはめる根拠は示されていない。
よくある質問
FFMIはいくつなら筋肉が多いといえる?
一般の成人男性の中央値は18.9(スイスの調査)、米大学の男子選手の平均は23前後だった。表から見ると、22〜23は運動部の大学生に近い水準である。ただし測定法で1〜2ずれることは珍しくない。
FFMIが25を超えたらステロイドを使っている?
そうとは限らない。Kouriら自身が「予備的な結果」とし、ふるい分けの目安として提案したにすぎない。25を超えるアスリートの報告もあり、体脂肪率の測定誤差でも数値は動く。FFMIだけで他人の薬物使用を判断するべきではない。
女性のFFMIの平均は?
スイスの一般成人女性(18〜34歳)の中央値は15.4、米大学の女子選手の平均は17.54だった。女性の上限に関する定まった研究は見当たらない。
FFMIとBMIはどう違う?
BMIは体重全体を身長の2乗で割るため、筋肉が多い人も脂肪が多い人も高く出る。FFMIは脂肪を除いた重さを使うので、筋肉の多さを比べるのに向いている。
KINNIKU TIMESの視点
「FFMI 25」はSNSで、他人をナチュラルかどうか判定する道具として使われがちだ。しかし元の研究は約30年前の米国の74人を対象にした予備的な報告で、著者自身もふるい分けの目安と位置づけていた。数字を他人の評価に使うのは、研究の趣旨からも外れている。
日本の一般のトレーニーにとって、より役に立つのは自分の推移を見る使い方である。FFMI 19前後から始めた人が、数年かけて21、22と上げていけば、筋肉が着実に増えている証拠になる。測定は同じ機器・同じ条件でそろえ、体脂肪率の変化と合わせて記録したい。筋肉を増やすためのたんぱく質量は体重1kgあたり1.6gを示したメタ分析が参考になる。ナチュラル選手の大会結果はINBA東京2026の結果でも紹介している。
出典
- Kouri EM, et al. Fat-free mass index in users and nonusers of anabolic-androgenic steroids. Clin J Sport Med. 1995
- Schutz Y, et al. Fat-free mass index and fat mass index percentiles in Caucasians aged 18-98 y. Int J Obes Relat Metab Disord. 2002
- Brandner CF, et al. Sport Differences in Fat-Free Mass Index Among NCAA Division III Collegiate Athletes. J Strength Cond Res. 2022
- Fields JB, et al. Fat-Free Mass Index in a Large Sample of Collegiate American Football Athletes. Int J Exerc Sci. 2024
- Kondo M, et al. Upper limit of fat-free mass in humans: A study on Japanese Sumo wrestlers. Am J Hum Biol. 1994
- Farley A, et al. Short-Term Precision Error of Body Composition Assessment Methods in Resistance-Trained Male Athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2021
この記事の次に読まれている記事
筋トレに使える無料ツール
コメント
この記事について思ったことを書けます。誤解を招くのを避けるため、誘導のある宣伝、他者への中傷、個人情報、法令に反する内容は公開しません。体調や治療に関わる判断は、必ず専門家にご相談ください。